カレーはお好きですか?
「え!え!?」
この後空いている?だなんて女子から誘われたことなど皆無の僕にとって歴史的な日になりそうな予感がした。
「あ、あ!すいません!誤解を招くような言い方しちゃって。その、お互い大学は違えど共通の友人がいるかもしれないと思ってですね、それで、遺書を送ってくる相手探しといいますか。どちらかの家に上がる仲でもありませんし、ここで話す内容としては重いと言いますか…騒音で他の部屋の方からクレーム来たら困るなと思って、どこかてお話でもいかがですか?」
突然饒舌になったお隣さんは、地味な僕に淡い期待も持たせまいと筋の通る話を披露した。
「で、ですね!お隣さんさえ良ければお願いします!ん?僕はこの後予定ないですが、お隣さんはどこか行かれる予定だったのでは?大丈夫ですか?」
案の定返しの声が震えた。よもや恋愛経験の無さがここでも出るとは。しかし、僕は上はスエットに下はジャージというラフな格好をしているが、お隣さんの服装はこれからお出掛けという服装に見えた。それが僕には不思議に思えた。
「あ、あー…そのことですね。今その用事はなくなったので大丈夫です。この辺であれば、、カレー屋さんがありますね。お互い昼食の時間だと思うのでカレーはどうですか?もしかして、もう食べられました?」
今その用事がなくなった?誰とも連絡を取っている素振りがなかったのに?もしかして、1人行動が好きなタイプの人で、これからショッピングでも行こうとしていたのだろうか。なるほど。それなら納得がいく。
「まだ食べてなくて、丁度買いに行こうと思ってたのでカレー屋で大丈夫です。お隣さんこそ、服にカレー飛ぶ可能性ありますけどカレー屋で本当にいいんですか?着替えて来ます?待ってるので」
いくら何でもその服装ではカレーはすぐには落ちずらいだろう。僕の懸念は無かったかのようにお隣さんは笑った。
「ふふっ。良いんです。どうせ汚す予定でしたので。お気遣いありがとうございます」
「そうですか。じゃ、じゃあ行きましょうか」
素敵な服装を汚す予定があった?どんなイベントだそれ。気にはなったがとりあえず聞かないことにした。
そして、また吃った。恥ずかしい。部屋に戻りたい。
「そうですね。あと、"お隣さん"といちいち呼ぶの大変だと思うので、私、高橋花梨と申します。呼び方は何でも良いです」
「ああ、はい!では高橋さんと呼びますね。僕は、日坂昇です。僕も呼び方何でもどうぞ」
「はい!じゃあ、先輩で!行きましょう。先輩」
先輩?!先輩だって!可愛い後輩が出来たことに僕は、だらしなくなりそうだった顔を何とか真顔にすることに全力を注ぎ、高橋さんの後を追った。




