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本日、遺書が届きました  作者: 森野くま
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共通点


僕らは先程の会話を忘れ一時無言になった。



「実は、僕も同じものが…」今家に置いてあるけど。



「もうそれ捨てました?中身とか見ました?」



ぐいぐい聞いてくる彼女の目は好奇心で満ち溢れた目というよりも、真剣な眼差しに見えた。



「捨ててはないです。中身は、生々しくて見れてないんです。お隣さんは見られたんですか?」



「……そうですか。あ、私ですか?私も中身見てないんです」



僕の回答に対する返答の若干の間に疑問を持ちつつも、今まで共通点も何もないと思っていたお隣さんと初めて共通点が出来た瞬間であった。



「……あの、こんなこと聞くのも失礼かもしれませんが、なんで捨てなかったんですか?」



そう思うのも無理はない。いつもなら、ポストに届くイタズラの類いを感じたチラシなど粉々にして今頃捨てている頃だと思うが今回はそれが出来なかった。だって…



「もしかしたら、イタズラなのかもしれないとは思いました。でも、イタズラではなく部屋を間違えて投函していたらと考えた時、僕…俺は正しい人に届いて欲しいと思いました。なので、本来届けたかった人を探す旅に出ようと思います」




「もし、間違えた投函ではなかったら?」



「え?」



何をおかしなことを言うのだろう?という感情を僕が表情に表したためか、お隣さんは自分がおかしなことを言ってしまったということに気づいたのか動揺していた。



「あ、いえ、ただ、私のところにもこうやって手紙が同日に届いている訳ですし、SNSのこの時代にメッセージツールを使わず投函という形を取っているのがどうも不思議で。知り合いならLINEとかショートメールとかで伝えてきません?だから、イタズラの可能性しかないかなと私は思います」




確かに。よく考えなくてもそう思うのが普通だ。知り合いであればメッセージツールなどで伝えてくるはずだ。もしくは電話という手段を取る人もいるかもしれない。


それに、偶然とはいえお隣同士同じものが同じ日に届くなんてイタズラ以外の可能性がないに等しい。



「部屋を間違えて投函したとしても、2通同じものが存在するという事実はおかしいですよね。お互い共通の友人がいるなら話は別ですが」



「うん、ですよね!ちなみに、今おいくつですか?同じ大学生ですか?」



良かった。相手から年齢を聞いてきてくれた。さすがに、男の方から"おいくつですか?"と聞くのは失礼かと思ったため空気を察して聞いてきてくれたのは感謝しかない。



「21歳です。○○大学文学部の3年生です。お隣さんも大学生なんですね」



「20歳です。私が1個下でしたね。□△大学教育学科に通う2年生です」




お隣さんが年下なことや□△大学の教育学科に通う学生とは、驚きが重なる。心の中で驚いている僕を見透かしているのかお隣さんは



「この後、少しお時間取れますか?」



と新たな爆弾を落として行ったのであった。




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