同士
ぐぅというお腹の音で目を覚ますと時計の針は12時を差そうとしていた。
「お腹空いたな」
起きたての声を室内に行き渡らせた後にお腹をさする。今日は休日だし自炊をするやる気が全く起きないため、近くのコンビニまで行くことを今決めた。
大学から近い一人暮らしのアパート周りは割と色々揃っている。コンビニはもちろんドラッグストア・スーパー・本屋・家電製品店など、交通公共機関がなくとも困らない立地だ。
玄関の扉を開ける時はいつだってギィイイと嫌な音が響く。開け閉めはなるべく隣人からの苦情が来ないよう気を遣う。
すると、隣からも嫌な音が響いた。いくら隣に住んでいるからといって出掛けるタイミングが合うのは珍しい。そう言えば、一人暮らしをして早3年。お隣さんを見たことあったっけか?と思い返す。
音のした方を見ると、そちらも出掛けるタイミングが被るのが珍しいと思ったのかこちらを見ていた。
「あ、どうも」
目が合ったからには挨拶をしなければとなったのか声を掛けてきてくれた。
「ん゛ん゛ッッ…すいません。どうも」
寝起きの僕は発声練習をしているはずもなく、咳払いをした。
顔は二重幅が広く唇は薄い。口元には暗めの赤色が塗られていた。服装はOLの方が着ていそうなシフォン素材が使われていた。髪はセミロングで茶髪。
身長は僕より少し高いように見えた。僕が168cmと男の中でも小さめなので、彼女は170cmくらいだろうか。ヒールや厚底の靴ではない所謂ぺたんこ靴を履いていても僕より少し高い。男として若干へこむ。女子より身長が低いというのも僕に彼女が出来ない理由の一つだろうか。
お互い会釈をしその場を去ろうとした。
すると、相手の方から「あの、、!」と声を掛けられた。
僕は声を掛けられるなんて思ってもみなかったので、咄嗟に肩が上がった。
「?はい」
「あの、変なこと聞いてしまって申し訳ないんですけど…今日ポストに変な封筒入ってませんでしたか?」
「え」
何でその事を知っているんだろうか。もしかして、隣人さんも同じものが?そんなことあるだろうか。どんな確率?宝くじより凄い。いや、宝くじの方が凄いのだけれども今僕の中では宝くじより凄い。それに、変な封筒がイコール遺書と書かれた封筒とも限らないし。
ここで
僕『それって遺書って書かれてました〜?』なんて言ったものなら
隣人さん『え?遺書??違いますけど…』と
話題を振ってきた本人よりもまさかの僕の方が変な封筒を持っている奴になってしまう!なので、敢えてここは
「何ですか?変な封筒って」
誤魔化して聞いてみる!
「!すいません。朝から気味が悪くて誰にも相談出来なくて、もしかしてお隣のあなたの所にも入っていたらと思って。警察に行くのも何だか気が引ける内容で…」
警察?!女性の方だから、もしかしてストーカーからの手紙とかか?いや、それなら"僕にも同じものが入っていたら"なんて言わないはずだ。僕に熱狂的なファンが付くとも思えないし…。あ、これ自分で思って虚しくなるやつだ。後でスイーツでも買って自分を甘やかそう。そうしよう。
すると、何やらガサガサ鞄の中をかき分け1枚の封筒を目の前に出してきた。
それは熱狂的なファンレターでも何でもなかった。
【遺書】
人に見せるのも躊躇してしまう僕が見たものと全く同じ代物だった。




