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本日、遺書が届きました  作者: 森野くま
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封筒違いです



本日、アパートのポストを開けるとそこには【遺書】と大きな字で太ぶとと刻まれた封筒が1番上に鎮座していた。

僕は1回バンッと大きな音を立てて蓋を閉め、一番最初に思ったのは「ラブレターじゃないんかあ…」と唇を噛みしめながら呟いたのだった。



21歳、童貞にまだ救いの神は降りてこないらしいと空を仰いだ。



―――――――――――――――――――――――――


この世界は異世界でもファンタジーでも何でもない世界。嫌でも現実という2文字が付きまとう。




僕は、遺書という肝を冷やすような物を今まで生きてきた人生の中で貰ったことがない。大抵の人は遺書を貰う機会なんてそうそうないと思うが。




さて、この事実を誰に相談すべきなのだろうか。そもそも誰からなのか恐ろしくて中身も開けられない小心者である。




「はぁ」



5秒程伸びやかなため息をこぼし、携帯電話の連絡先を開く。上から母、父と続いて相手の名前が並んでいた。僕は静かに名前をタップタップして発信ボタンを押した。




プルルルルとコールが10秒続いた所でその音は途切れ、相手が出た。



「はい、お世話になっております。こちら…あ?悪ぃ間違えたわ」クックックッと電話越しから笑い声が聞こえたのと同時にスハーッと口から空気と共に煙も吐き出しているような音も混ざって聞こえてきた。




耳は良い方だ。良過ぎて『僕は影が薄いからいるのかいないのか分からない』らしいとクラスの輩が会話している所を聞いた事があるくらいだ。これはシンプルに僕の運が悪いだけの話。



それはそうと


「僕も間違えたから切ってもいい?」と相手に告げた。



すると相手は口から空気も煙も吐き出すのを止め、



「は?いやいや、お前から掛けてきたんだよな?あ、分かった。17年の付き合いだから分かる、分かるぞ!彼女、出来たんだろ?」




全然違う。




かすっても無い。むしろ、自分でも今回の出来事についてはかすって欲しいとでさえ願ってしまう話題だ。





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