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最低の評判

私、才賀かもめの世間での評判は最悪だ。

いわば因果応報、自業自得…過去の行いが積み重なった結果だろう、振り返れば大人達が必至で敷いたレールを幾度となく踏み外し、期待を裏切り善意をドブに捨て生きてきた…

漢字で書くと可萌女という名前、女の子らしい名前に女の子らしい習い事、金銭的にも恵まれた何不自由のない生活のはずだった。

ただその自由がある日を境に私にとってたまらなく窮屈で息苦しい物へと変貌していった事に違いはないだろう。

年頃の男女なら誰しも訪れるであろう異性を異性として認識するという当たり前の事、それは子孫を残そうとする為の生存本能的感情であって悪い所なんてこれっぽっちも無い。しかしそれが私にとって受け入れがたい憎悪の対象に他ならなかったのだ。

特に性的行為に対する私の見解は世間と比べて凄まじく歪んで偏見に満ちた物だろう、全てを支配されモノとして相手を扱い扱われ人格すら醜くおぞましい獣のように姿を変えてしまう、だからそんな酷い事をしたいと思っているのは一部の人だけと自己暗示をかけ生きてきた。

しかしそんな暗示が通用するのはせいぜい中学生までか、成長するにつれて周囲の会話や学校の授業等からその考えは間違いなのだと嫌でも思い知らされることになった。

だからそれを知ってから私は人として好意を持っていた相手であっても女として見られていると知った瞬間恐怖が勝ってしまう、薄情な事に気持ち悪いとさえ感じてしまう体質になっていった、最低だ。

よく勘違いされるのだが別に性別に違和感があるとか、男に生まれたかったとかそういう訳じゃ無い、ただ日に日に子供を産める体へと変化していく自分がどうしょうもなく受け入れられない。

だから出来るだけ女性として見られないように、伸ばしていた髪を切ったし習い事やプールも無断欠席した。

両親は私に理解を示してはくれず不良行為とみなされ、口論になる事が増えたばかりか一連の行動を一種の嗜好や依存症と捉え矯正という形で私を「普通の子」にするよう取り組んだ。

今でも記憶に焼き付く程印象に残っているのは可愛らしいリボンやフリルの施されたアイドルの衣装の様な服を無理やり着せさせられて町を歩かされたた事。

その時感じたのは丁度、昔の時代罪人を罪状の書いた札と共に連行し公然に晒す市中引き回しの刑を体感しているかのような羞恥と絶望の感情だった。

拒絶の反応を見せれば女の子らしく育って欲しいからとその名前をつけた、良い配偶者を見つけて子供の顔を見せて欲しい、それが常識であり自分は間違っている駄目な子だと散々叩きこまれる。

そんなの知ったこっちゃないと…ある日例の服をハサミでビリビリに切り裂いた、当然両親が黙っているはずも無くお前は期待を裏切る最低な奴だ、お前なんか誰も愛さないと罵られた。

その時彼らが本心で言ったのかは定かでは無いが今まで築かれてきた親は何があっても味方でいてくれる、無償の愛を注いでくれるという安心感がこんなにも一瞬で崩れ去ってしまうとは思わなかった。

この世は不条理に満ち溢れている、突然産み落とされたそこには既に絶対的な常識があって、それにそぐわなければ変人やクズのレッテルを張られる。

ただありのままの自分を受け入れてくれる場所が欲しいだけなのに、何処かにあるはず、大人になって自立してそしたら見つかるかな?漠然とした僅かな期待にすがるしかない。

高校には進学せず自立する為の生活費を稼げるようにとアルバイトを始めた。

頑張った分いつか報われると信じて、しかしそんな期待も長続きはしなかった。

私、才賀かもめは炎上する。


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