第2話 まずは畑の粗起こしから
親父は「雪も無くなったから、早よ起こさんかい。直ぐに苗を植えないとあかんぞ。」と言った。
3月も終わりに近い日曜日、まだ寒いのにと思ったが、親父があんまりうるさいので、仕方なくスコップを担いで畑に向かった。首にタオルを巻いて、両手に軍手、雨ガッパを着て、長靴を履いたという出で立ちで。
一緒に消石灰の袋も持っていった。
畑の一角に立って、スコップを足で踏ん付けて、深く挿し込みゴボッと土を起こしてひっくり返す。これを三回横にスライドしながら繰り返して、最初の部分が終わる。
次に1足分後ろに下がって、またスコップを突き刺してそれを3回繰り返して、2列目の粗起こしが終わる。
これを何度も繰り返して、幅80cm、長さ3mの畑の1畝の粗起こしが終わる。
それから、起こした土の上に消石灰を白く撒いて、もう一度スコップで土を割るようにしながら起こして、消石灰を土の中に漉き込むようにして、1畝の作業が完了。2回もスコップで起こすと雨ガッパの中が汗でベタつく。
ここで、楽をしようと考えて、最初に畑の表面に消石灰を撒いて、それからスコップで粗く起こして土をひっくり返す方法に変える。1回分減って、楽になるかと思ったが、消石灰がうまく土の下に混ざらないので、再度土を砕いて起こしてひっくり返す作業を繰り返す事になり、あんまり楽にはならんなぁと思う。
この作業をもう一度繰り返して、畑の2畝の粗起こしをした。これで南の畑の粗起こしは終わった。雲がかかって寒くなって来たので、道具や消石灰を片付けて、ひとまず作業は終了する事にした。東の畑はまた今度にして、汗だくの下着を脱いで、シャワーを浴びて、着替えて炬燵に潜り込んだ。