日本語って難しい
言葉って難しいですね。
突然ですが、私は訛っています。
これまで北海道、関東、中国、四国と様々なところへ学校や仕事の関係で行きました。
そのせいか、気がついたら自分がどこの言葉を話しているのかわからなくなっていたようです。
それに気がついたのは、ベトナム人からきた留学生がきっかけでした。
「私と友達になってください」
彼女にそう言われ、私たちは友達になりました。
最初、私は敬語で話していたから気がつかなかったのですが、タメ口で話し始めて彼女に真顔で言われました。
「ごめん。日本語を話して欲しい」
あまりにも日本語学校で習った日本語と違うため、彼女には私の言葉が理解できなかったのです。それでも私は身についた方言を直すことができず、彼女が理解する方が早かったので、徐々に彼女も方言を話し始めました。
そしてある時、また彼女は私の言葉に困惑しました。
「トニーさんって誰?」
これは私もわかりませんでした。私は全くトニーの話などしていないし、そもそもトニーという知り合いなどいません。
だから私は聞きました。
「それは私が聞きたいけど、どこからトニーが出てきたの?」
「さっき、ほんトニーって言ったよ」
それを聞いて納得したと同時に、すごく恥ずかしくなりました。
私は「本当に?」と聞いたつもりだったのですが、イントネーションがおかしくて、トニーが出てきたのです。
それから何度か彼女に指摘されて直そうとしたのですが、どうしてもトニーのイントネーションが咄嗟に出てきて、直りませんでした。
最後には彼女にもおかしなイントネーションが移ってしまって、二人で笑ったのはいい思い出です。
その彼女もベトナムに帰り、向こうで日本語学校の教師になりました。
最近、共通の知人から彼女の話を聞き、楽しかった思い出と共に、私が教えた変な日本語を思い出しました。
変な日本語は思い出として取っておいて、正しい日本語を教えて欲しいと、日本の片隅で切に願います。