表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
芸術部の事件簿  作者: ハルコ
前を向くのが怖くって
62/62

22話

もしかしたら遅れて「ミライ」さんが来るかもしれない

そんな淡い希望を持って俺たちは待った。

新谷は慌ただしく動いていた。

校長に暗号の件を連絡し、巡回をしている先生、OBに伝えてもらう様お願いしていたらしい

その間にも俺たちは一年生を交えて議論をした。

しかしそれも堂々巡り。頭が煮詰まり、雰囲気も悪くなりかけた時

「一旦休憩しない?」

と、明は無理に作った笑顔でテーブルを指さした

テーブルを見るとお湯を入れてからほったらかしにしてしまったカップ麺が4個。

1時間近く放置をしてしまった

新谷と園花を見るとどちらも頭を使いすぎたのか疲労が見える

その意見には2人も同意だった

一年生達は昼をすでに食べたと言い、業務をこなすと巡回に出ていった

俺たちはボソボソの麺を無理矢理腹に押し込めた

食べ慣れたはずの味が、今日に限り味がしない

食べ終えて時計を見るともう2時。なんとも無力に時間が過ぎてしまった。

文化祭が終わるまであと3時間。

できる事は限られていた

俺は一息つき、疲れている新谷に提案した

「なぁ、もう俺が狙われていないって事ならこの部屋から出ても問題ないよな?」

その問いに新谷は少し考えた後

「まだ断定はできませんが…」

と言った。奴の中ではまだ俺が狙われていないと断定できないようだ

「なら、僕が一緒に回れば問題ないかな?何かあればすぐに連絡するし」

明が助け舟を出した。

そこで園花も口を挟む

「先輩、巡回に加わろうとしてるんですか?」

俺は頷き

「あぁ、ここにいても何もできないしな。

ここまできたら巡回するしかない」

「確かにそれはいえてるね。巡回者が増える事に越したことはないよ」

そう言って俺はソファから立ち上がる

明もそれを見て立ち上がる

新谷も諦めが入っているのか

「分かりました。一応校長に連絡してからでもいいですか?」

そう言って新谷は内線で校長に確認した

校長の回答は「無理はしないように」とのことだった




新谷は仕事があると生徒会室に残ると言い、俺たち3人に

「色々ありがとうございました」

と改めて礼を言った

しかし何も解決できてないこの一件。

その礼は俺たちには無力感を感じさせるだけだった。

生徒会室を出て左手を見ると、曲がり角には図書室がある。

あの時、犯人を捕まえられていればと悔しい気持ちが込み上げてくる

「やるせないな」

思わず口に出てしまった

「あの時は、私たち全力でしたよ」

と、園花は苦笑いで元気付けた


その後、俺たち3人は何となく階段を降り、いつもの渡り廊下まで歩いてきた

昇降口まで来たところで、スマホの着信音が鳴った

どうやらそれは園花のスマホからだったようで、立ち止まり画面を見ていた

そして難しい顔で言った

「私は外のブースを巡ってみます」

と言った

明は笑みを浮かべ

「いいと思う、巡回も大切だけど園花ちゃんも文化祭を楽しまないとね」

と言った

俺も同意見だ

「園花、ここまで付き合わせて悪かったな」

俺は素直な気持ちで言った

園花はぺこりと頭を下げて昇降口に向かった

「さて、どこに行くか」

そう聞くと明は少し考えたのち

「造形研にいかない?馬場さんが気になるし」

そう提案した。確かにそれは心配していた

「そうだな。元気付けたいし行ってこよう」

それに賛成し、俺たちは造形研のブースに向かった



こんな事があったんだ。造形研は暗い雰囲気に包まれていてもおかしくはない。

そう考えていたのだが、その予想は大きく覆された

時間は最終日の2時半。

お客も疎になる頃合いだが、

「すごいなこれは」

明もつい呟く

それもそのはず、造形研の前には行列ができており、列の一番後ろには造形研の部員が「今並んでいる方で終わりです」

と一生懸命に叫んでいた。

何の行列だ?その疑問を胸に行列の横を歩いてブース中を覗く

すると中の様子にも驚いた

初日の様相とは変わり、長机が教室の真ん中に2列並んでいるのだ

机の上では子供から大人まで多くのお客がフェルト細工を作っている。

そのお客さんに対し、楽しそうに馬場と成弥はレクチャーをしていた

他の部員も同じ様にレクチャーする者もいれば会計と物販を担当する者とうまく連携をして明るくブースを盛り上げていた

行列待ちをしている人の話を盗み聞きした所、どうやら馬場は何とか持ち返し、フェルト細工教室を開催する事にしたそうだ。

良くも悪くも発見された首なし干支事件は校内でほとんどの人が知っている噂になっている。

しかしそれ以上に細工のクオリティが高かった事が噂になっているようで、その作者から直々にレクチャーを受けられるならとお客さんが殺到したらしい。

そして馬場を元気づけ、教室を開くことを提案し、ここまで持ってきた功労者は成弥という事も聞いた。

「やるじゃん成弥」

俺は誇らしい気分だった

一声かけてこようかと思っていたのだが、あれほど忙しく、楽しそうにしてる所に水を刺すのは野暮なことだ。

俺たちは造形研を後にした


その頃、生徒会室に残った新谷は1人で頭を抱えていた

どうしよう、このまま事件が起きてしまったら

彼は不安に苛まれていた。

彼の不安の根源、それは先代から託された文化祭というバトンに傷を付けてしまわないか。という事だった

彼にとってそれが一番大切だったからだ

「先輩の名誉を少しでも挽回する為には、事件を防がなければ」

頭が割れそうな程の不安。それがピークに達しようかという時に、教室のドアがノックされた。

こんな時に誰だろう。一年生が巡回を終えたのか?

「どうぞ」

新谷が扉の外にそう声をかける。

すると失礼しますと声がして、扉が開いた

新谷の顔が引き攣る。過去の事もあり、彼女には少し苦手意識を持っているからだ

新谷はそれを押し殺し、重い口を開いた

「芸術部部長、春風雪さん。どうしましたか?」

扉の外には真剣な表情の雪、そしてその後ろには一葉が立っていた

雪は新谷に向かってこう言った

「生徒会長、首なし干支事件について話があります」

遅くなりましたm(_ _)m

見てる人いるかな〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ