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芸術部の事件簿  作者: ハルコ
桜丘高校芸術部の守るべき日常
6/61

芸術部2年生、2人の推理

部室に戻り、明はいつもの特等席。俺は一人用ソファーに腰を下ろした。

明はスマホに先程のノートの写真を映し出し、俺はルーズリーフとボールペンを取りだした

「さて、少し考えようか」

明は意気揚々と言った

「そんなに気合いたっぷりだと言うことは何か考えついたのか?」

そう聞くと

「まぁ、犯人がいる部活は絞り込めるよね」

と言うとノートに文芸部、天文部、生徒会の名前を書出した。

「犯人がこの中にいるとする。消去法で文芸部の線はないだろう。」

そう言って明は文芸部にばつ印をする

「確かに返却時間も早いしその後に顧問が絵を見に来てるしな」

「それもあるけど彼らは雪ちゃんの絵が完成したことを知らないんだ」

その言葉に充は少し疑問を感じた。

「まて、絵が完成してるかは別に関係ないんじゃないか?」

そう言うと明は自信ありげに言った。

「いや、関係あるよ。仮に、僕らに嫌がらせをするだけが目的ならもっと安全で簡単に鍵が手に入る日を選ぶと思うんだ。

例えば休日。監視の先生もさほどいない日なんて鍵を盗みやすいし絵を汚すにも人にも見つかりにくいだろ?」

俺は唸る

「なるほど、確かに絵が完成した直後に犯行とは少しできすぎてるか。

そうすると犯人の目的は完成した絵を…展覧会用の絵を汚して出展させない事になるのか?」

そう言うと明は首を縦に降った

そして直ぐに考え込む

「それもだ…絵を見て思い立って犯行したって感じじゃないか?

木曜日に犯行するんなら今日実行した方が週明けに発見されて、絵の具の乾き方で犯行時間が割り出せるなんてことは無かっただろう。」

やっぱり奴は頭がいい。ここまで洞察してるとは思っていなかった。

「という事は、犯人は天文部、生徒会に絞られ…

いや、生徒会になるか」

俺は気がついた。明も気がついていたようでニヤッとする

「そう。さっき会長も言ってたしな。天文部のことを彼女達ってな

女子の方が多いからって考えるかもだが、女子2人男1人の後輩たちを彼らって呼んでたしな。武道系で男尊意識の高い先輩だ。1人でも男がいたら彼らと呼ぶだろし、男子がいたらその存在を忘れず伝えただろうね」

「もし天文部に男子生徒の新入生がいて、たまたまその日は休みだったとしても絵の完成を知らないから犯人ではなくなるってことか。」

そう言って天文部にもバツをする

「そう考えると天文部と名乗って借りに来た男子生徒は嘘をついて鍵を借りたって事か」

「そうだね。恐らく生徒会にいる犯人は忘れ物をしたと天文部の鍵を借りて5分ほど経ったら返しに来た。その時に芸術部の鍵を借りて生徒会の合間を縫って絵を塗りつぶした。あとは帰りに何事も無かったかのように生徒会の鍵と美術準備室の鍵を返したって感じかな。

どうだい?充」

「ほとんど推理してしまったじゃないか

さすがだよ明」

そう言うと露骨にドヤ顔をした。全く最後で全てを台無しにする男だ。

「そこまで来ると犯人はさっき俺を睨んだあの男子生徒だな。

敵意丸出しじゃないか。」

「あっ、充も気づいたかい?あの目つきはムカついたね。

直ぐにでも問いただしたいけど…」

明は頭を搔く。言いたいことは分かる

「確実な証拠がないよな…何か犯人を決めつける決定的なやつ」

今のところ、犯人の可能性が高いとしか言えないのだ。絵が完成した日にたまたま嫌がらせをしただけだとも言えない。もしかしたら用務員や最後に帰った先生が絵を塗りつぶしたのかもしれない。

まだこの推理は可能性の域をでないのだ。

「何かないかな…指紋なんて取れるわけないし問い詰めてもしらバックレられるだけだ。」

明が悩む。俺は突破口を口にした

「そうだなじゃあ罠をはろう。」

明はぽかんと俺を見る

「罠?」

俺はニヤッと明を見る

「まぁ聞けよ。週明け決行するんだ…作戦は…」



ガラッ

「おい、いつまで部室にいるんだ」

俺達ふたりはビクッとした。

お互い話に夢中になりすぎた

扉を開けた人物は小木先生で、後ろには教頭や生徒指導員などの先生がいた

素直にあきらが謝る

「すいません先生。少し今後のことを話してまして…」

はぁとため息をつくが、顧問も仕方ないかという顔だった。

「まぁお前らも被害者だから強くは言わないが…」

怒るに怒れないって感じだった

「すいません。鍵は返しましたので直ぐに帰ります」

そう明が言うと先生は首を縦に降った

「では」

と、帰ろうとした時

「充、展覧会用の絵は出展するのか?まだ間に合うが」

と、聞いてきた

「展覧会用の絵…ですか…正直まだ考えが纏まっていないので来週頭に決めます」

そう言うと

「そうか、前向きに考えておいてくれ」

と、優しく言った

「はい」

そう言って部室をあとにした


帰り道、家がすぐそこの俺達ふたりは並んで夕焼けの商店街を歩いていた

特に話すことは無い。部室で細かく話は纏まった。

あとは明日雪が来てくれれば全てが丸く収まる。

作戦も単純だが考えついた。簡単すぎる罠だが、犯人は出てくしかないだろう。絵の完成系を見て唐突に事件を考える犯人が策もなくノコノコ出てくるとは思えない。気を引き締めていこう。

しかし…

「なぁ明」

気になることがあった。

「なんだい充?」

明は聞いてくる

「ひとつ…俺が気になっていることを聞いてくれないか?」

そこから俺たちは公園でひとしきり話した。

この事件のさらに奥深いところまで。

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