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芸術部の事件簿  作者: ハルコ
幽霊部員を目指して
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幽霊部員をめざして2

まるで嵐のようだった。

毎日毎日1年生が部室に詰め寄り、

毎日毎日同じようなコメントを発表する。

まったく高校生活で最も疲れた1週間だった。

しかしその期間も過ぎると部室は少しは静かになり、俺はいつもの特等席で絵を書く生活に戻った。

部室には俺と明の2人。まるで1年前の部室のようだった。

「いや~すごい1週間だったね」

明のはやっと空いたソファーに寝そべり、スマホをいじりながら話す

「だな、あれだけ見学に来てほとんどが入部しないんだから雪も骨折り損だ」

「まぁ文化部にしてはいい人数が入ったんじゃないかい?」

そう言って明は今まで使ったことの無い西側にある扉を見る

その扉は隣にある美術室に繋がっている

美術室では今まさに雪が新入部員に部長として指導をしていた。

「まぁ野球チームを作ってもお釣りが来るな…

いや、来すぎだ」

部活見学期間を乗り切った次の週、部室には5枚の入部届けが出された。

それだけでも多いが、その後も1枚、また1枚と増えていき、結果10枚の入部届けが集まった。

文化部としては最も多い入部数。運動部を含めても野球部、サッカー部の次に多い。

そして仮入部期間が始まる今週。13人では美術準備室は狭すぎるという事で、急遽美術室の使用許可をとったという訳だ

そして今、雪を含めた新しい芸術部の顔合わせをしている

ちなみに俺たちは初めの数分で挨拶を済ませてそそくさと居心地のいいこっちに逃げてきたわけだ。

まぁすぐに居なくなる俺達より、新生芸術部で話を進めて欲しいという願いもあった

「顧問の話じゃこの人数で行くと部室は美術室になるそうだ。

美術準備室は学校に返納だってさ」

スマホに飽きた明はお茶を飲みながら話す

「まぁそうだろう

この部室じゃすし詰めだ」

俺絵を描きながらそれに返す。

「まぁ僕らの時代もついに終わりを迎えるわけだ。

そういえば引退はいつにする?」

「そうだな、野球部よろしく夏のコンクールが節目でいいんじゃないか?

俺達も大学入試があるし」

「そうだな、まぁ引退しても顔は出すだろうけどね。

…そういえば充、進学するのかい?」

「そうだな…今のところはそう考えてる

学科はきめてないが」

「東都芸大から推薦来てるんじゃないのかい?」

その言葉に俺は驚いた

「なんで知ってるんだよ。」

「まぁね。風の噂さ

名門中の名門からオファーが来てるってさ

…で、本当なのかい?」

全く噂とは怖いものだ。先生と俺だが知ってたんだ…

恐らく流出は先生たちの誰かだろう

俺は大きくため息をついた

「来てる。学費免除の特待生って肩書きだ」

明はそれを聞いて驚いた

「凄いじゃないか。それなら進学だな」

俺は筆を止める。

「まぁ芸術を真剣に続けてもいいんだが…

色々先の見えない職業って事でさ」

この絵を仕事にしたい…とは思うが、画家なんて狭き門だ。

ならいっそ趣味と割り切って普通に仕事した方がよっぽどいい

「なるほどねぇ…」

明もそこは分かっていたらしく、話はここで途切れた

俺はもう一度絵と向き合う。おそらく俺は絵を一生描き続けるだろうが、それは仕事なのか…趣味なのか…

そんなことを考えながらもう一度絵を描こうとした時だった

美術室の扉が開いて、雪が戻ってきた

「おつかれ雪ちゃん」

明はいつも通りに声をかける

「いや、驚きました」

と、雪は返す。驚いたとは何事だ?

「充先輩、明先輩、これを見て貰えますか?」

雪はそう言って明の前に1枚の紙を出した。

それを見た明は明らかに目の色が変わった。

そして数秒経ったあと

「なんだ…これ…」

そう呟いた。

どれどれ、どんな絵がと気になり見に行く。

しかし明の手にあるものは想像以上だった。

思わず声を失う

明の手の中にあったのはクロッキー。

しかしクオリティが高い…いや、おかしいと言えるくらいに高かった。

雪は驚いた俺たちに補足してこういった。

「充先輩、この絵…たった1時間で書き上げたんです

1年生の女の子が…」


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