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7-15





私に権利があるということは

他人にも権利があることを意味する。




トマス・ペイン











「ぐっ、、、」




スロートコート、ヨーグルトライス、マスタードシード、がんす、たろもち、クトゥルフ焼き、バロット、プレーン、青汁、プラム、、、





いつ食べたかもわからないものが口から吐瀉物として溢れる。






「油スキル:油魂!!」


「くそ!!バーニングアライアンス !!」






派手な爆発音とともに、ぼくは吹っ飛ぶ。、



「くそ、なんでだよ……」 




同じイービルヒーローで、ここまで差があるのか?だって、世界を滅する炎がだぞ…




そうか…コレが本来のヒーローの力なんだ…ぼくがまだ使いこなせてないだけ…



「ノーバディバーニング!バーニングパストラル!」



「油スキル:油拳」






「ぐっ、!バーニングブコリック!!」





だめだ、PFASの濃度が下がってきた…耐火値が急激に下がっていく……


苦しい、呼吸ができない…カエンタケか?カエルツボカビ症みたいだ…





「強化スキル:グラスフェッド!油スキル:油の舞」



レイサの腕に魚尾?が集結する。




「バーニングブーコロス」



「油スキル:油拳」













ぐっ、ふ……





大規模な爆発とともに、世界が吹っ飛ぶ。










「樹脂スキル:アンナチュラルオリーブ」






レイサの右手に負の油が収束する。






来る、大技だ……





レイサからは、これで決めるという意志が感じられた。




「バーニングメルヒェン!バーニングアシェンプテル!バーニングマァハァゥトゥ!」




僕も、対抗するかのように滅炎を纏う。





サブランカの香りが広がる。





いくぞ!!!

ぼくは、負けない!!






「バーニングファルコナー」


「油スキル:鬼油拳」

















「ぐっ…ふ………」





穿つ拳…滴る血…爆ける肉片………





大技を放つもぼくは、ヒーローの拳によって貫通、いや開通される…。





「?」




しかし、ニヤリとぼくは不適に笑う…





「使え……アラン!!」


「貰うぞ!!!!その滅炎!」





ぼくが〝渡した〟一撃をアランが己が焔に籠める。




「トドメだ!合体魔法:バーニングインフェルノ!」


「……刀…流………スキル…」








あっちは大丈夫だろう…

何せ、バーニングソウルの炎だ…




「ぐっ…………」




今はこっちに集中だ…時間がない……





「ぐっ……レ…イサ………」




レイサ……ぼくは君に何度も何度も救われた…一緒に行こう……






「飾れ!Exスキル:虚飾…」








ぼくは、レイサと融合する。




〝おおお、少年?どうする?己の二色で絵を描くのか?それとも私の200色の絵の具で描いてみるのか、?〟








その笑った顔は、どこか嬉しそうだった…






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「お待たせ!中田中くん!!!!」


「あ、どうも!!」









黄色のデコルテに、黒のトッパーカーディガンの君が駆けてくる。




「うー!今日は良いことありそうだ!行こ!」






君と知り合ったのは、大学一年生の夏。

ヤギ部に体験入部した時だった…。






「あ、あの…そのリードディフューザーすごく良い香りがしますね…」


「そ、そうですね…」


「そのツンツンは、ワックスですか?」


「…ポマードです!」


「へぇ〜!圏外なったことないでしょ?」




それから、君の笑顔が頭から目から記憶から鼓膜から離れなくなった。


君の夢を見るようになった。



これが恋なのだと、なんとなく気づいた。、

私は、恋などしたことない。、


士族の商法?屋上屋を架す?

関係ない!私は、恋に生きるんだ。



その日から、猛アプローチの日々。

はじめは、千本の薔薇を贈って、花瓶がない!と断られたこともあった。



貧すれば鈍する。

知識を身につけた、語彙を身につけた、

君の好きなことなら、なんでも身につけた。




そして、


君の誕生日には、君の好きなナインチェ・プラウス関連のグッズを贈った。





やっとのことで、君と付き合えた頃、




建築学科の私と、医学部の君とでは、全く釣り合わない…誰もが私たちをそう言った。




「それでさ!アンダーパスではね、ベネフィットが、…」


「おい!中田中!!!キャンパスでイチャつくな!!よそ行けよ!」



「ご、ごめん…じゃあ!いこっか……」






しかし、私たちの周りには、敵しかいない。

誰も認めてくれる人なんていない…。






「ならん!!結婚は認めん!!コラムニスト?中田中家には相応しくない!帰れ!」


「そんな!父上!!そんな言い方…」


「なんだ!お前は引っ込んでなさい!それに、そこの女!感情を顔に出すな!品がない!」




「っ!?…」



ま、待って…
















逃げ出した君を見つけるのに二時間半もかかってしまった…。



君は、小さな丘の上で星を見上げていた。

そこは、私たちの大事な場所…。




「遅いよ…」



泣き腫らした顔…



「ごめん…」






「中田中くんがお金持ちだってのはわかってる!だから私ね、1000万の女になる!!1000万の価値がある女なら、お父様だって認めてくれるはず!!」




「………ごめん…」




「ううん、中田中くんは悪くないよ……あーあ、今日も良いことありますように」








〝Less is more〟がモットウの君。

常に前向きな風見鶏な君は、いつも美しい。



しかし、君のその良さが仇となった。

災悪は、変な話さ、エントリーフォームに登録しなくても私たちの元へと届けられるらしいんだ。、、、、、








〝あなた方には、異世界への行ってもらいます〟



どこか、雅楽調を匂わせる両声。

異世界と言われてもピンとこなかった。

それは、君も同じ様で、お互い首を傾げあった。


その、〝勇者〟?というのもよくわからなかった。





異世界初日。


良い意味でも悪い意味でも、面黒い世界だと感じたのを今でも覚えている。





新品の頭陀袋と、剣と、スキルを与えられた私達は、ひたすらパンノキ?の森を進んだ。




オオアナコンダや、ガラパゴスゾウガメ、ビクーニャみたいなモンスターと遭遇した時は、正直と言うと辟易した。










「ねぇ、中田中くん!」


「ちょ、〝こっちの世界で〟中田中くんと呼ばない約束だろ?」


「ごめん!ごめん!!


「アレン?だっけ?」


「そう!アレン!そっちはオロナだろ!確か、好きな………」


「そう!!!アレンの冒険に出てくる、ヒロインの名前なの!!」






当初は、異世界カルチャーに戸惑いを隠せなかったが、次第にそんな憂いも鳴りを潜めた。君への寿ぎだって、考えるようになった。私は君にほの字だ。








「じゃあ、通訳するね!!音スキル:ハンドリングバーバル」




人生はじめてのクエストは、

ビゴン町で受けた。それは赤い宝石の納品依頼。





「赤い宝石って、梅干しか?」


「まさか!!」






それから私達は、次々とクエストをこなしていった。




イシゴカイ、アオイソメ、キノコバエ、タイノエ、リュウキュウヤマガメ、クルペオギツネ、モハベガラガラヘビ、モロクトカゲ、ドラゴン、ナミビアイワアガマ、オサガメ、オセダックス、ヌタウナギ、クロミンククジラ、コシオリエビ、エゾモモンガ、ホネクイハナムシ、ムラサキダコ、ワニガメ、アオマムシ、インドガビアル、サハラツノクサリヘビ、ンザンビ、、、、私達が戦ったモンスターは数知れない…。、





そして、勇者補正の影響も相まってか、A級へと到達した私達に、国王からある命令が下る。






「どうも、青いオークが出たらしい…」




その、駐在所の男が言った一言が、私たちの運命を変えたんだ…


あんなクエスト…







結論から言うと、私達は勝利した。

亜種だか、希少種だが、突然変異体だが知らないが、3日間の死闘の末、度し難いまでに粘り勝ちした。



私の、剣舞スキル:頂の舞がなければ詰んでいた筈だ……。










おお!あれが、彼の国からの…

勇者とはこれほどまでに…

勇者殿!バンザーイバンザーイ!!

さすが!さすがですぞ!!!!!







私達は、国の英雄になった。







そして、国民からの注目の的になり、

それは国外へと…









「やぁ、オロナ……!今日も美しいね!」



ある時から、オロナはフェニックス殿下に気に入られ、定期的に城に出入りするようになった。




「何?阿るのが気に入らないの?これでも我慢してるの!!アレンの為なんだから!」




そして、ある時から朝になっても帰って来ない日が続いた…。、




「ええ!そうなの!!こないだ!フェニックス様にね………」



言葉遣いも、容姿も、粧も何もかも、君は変わってしまった……。




「刺青だって!?そんなもの…」


「そんなものですって!?だって、〝あの人〟が似合うって仰ってくれるのですもの…あなた最低ね……ああ、今夜はどんな装いで参ろうかしら…」




そして、君はどんどん綺麗になっていった…





私の声はもう君には届かない……。








「だってあなた、食べ方がなってないじゃない!!」



「そんなことか!?だって元の世界とは様式が…」


「それくらいのこと?……そう、それくらいのこと…だから、なんでそれくらいのことができないんだろうと思うの……さようなら………中田中くん…」




あれから、4年…君は今、どこでどうしているのだろう?どこで何を見て感じているのだろう…






ザワ、ザワ、ザワ、ザワ








でも、私はもう…




ザワ、ザワ、ザワ、ザワ







ザワ、ザワ、ザワ、ザワ





それでは、みなさぁぁぁん!お待ちかね!

奴隷オークション開催だぁぉぉ!





ザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワ





「続いてはぁ、傾国の美女!!!!アンデス・ツツだぁぁぁ!!」




ザワ、ザワ、ザワ、ザワ





「続いても、大玉!!!な、なんと!ななんと!!!あの、あのフェニックス殿下の使用人!!!オロナ・フェニックスダァぁぁぁぁ!!!!!」



ザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワ




「妊婦でありながら、その美貌は、神々をも虜にする!!そんな深窓の令嬢!!100万からスタートだぁぁぁ!!」




ザワ、ザワ、ザワ、ザワ




「150万!!」


「151万!!」



ザワ、ザワ、ザワ、ザワ



「180万!」




ザワ、ザワ、ザワ、ザワ





ザワ、ザワ、ザワ、ザワ





ザワ、ザワ、ザワ、ザワ






ザワ、ザワ、ザワ、ザワ







ザワ、ザワ、ザワ、ザワ




もう、何も聞こえない……





ザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワザワザワ、ザワ、ザワ、ザワザワ、ザワ、ザワ、ザワ




もう、何も届かないんだ…






ザワ、ザワ、ザワ、ザワ




「もういないかぁぁ?いないのかぁ?それでは!1000万ゴールドで決まりだぁぁぁ!!!おめでとうぉぉ!!」







ザワ、ザワ、ザワ、ザワ





何も感じない…








ザワ、ザワ、ザワ、ザワ








まるで、鳥獣戯画のカエルのような男に連れられ、〝彼女〟が私の横を通り過ぎる…。





ザワ、ザワ、ザワ、ザワ






ふと、彼女の口が動く。





ザワ、ザワ、ザワ、ザワ




その口パクは……





ザワ、ザワ、ザワ、ザワ













私より良い女見つけてね!









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






1日練習しなければ自分に分かる。2日練習しなければ批評家に分かる。3日練習しなければ聴衆に分かる。






アルフレッド・コルトー。













「飾れ!!!Exスキル:虚飾」





僕は、偽りを脱ぎ飾る。





イメージするのは、〝最弱の?〟いや、


〝ぼくのレイサ〟だ。、






「精神強化スキル:リスタート」






レイサの〝強さ〟を象徴する黒い丸首のタンクトップとともに、二水石膏のようなスキルホルダで、背中に十字を纏う。



あれだ、ザビエルの蟹っぽいな……笑





ぼくは、ライラックとハシバミの香りが入り混じる戦場へと目を向ける。





「二刀流スキル:霜降」


「Exスキル:憤怒!!合体魔法:バーニングインフェルノ!!!」




バーニングソウルの炎があっても、若干押してる程度か………



「身体強化スキル:電光石火」




ぼくは、ゴールドシュミッタイトのようなスキルホルダを使う…








「いい加減にしろ!!!上級火炎魔法:ブラストインフェルノ!!」


「ふっ、、、二刀流スキル:韜晦」



「うおおおおおおお!油拳!!!!!」






気合だ!!ぶつかり稽古を思い出せ!!





「っ!?」




ぼくは、ブルーナカラーのスキルエフェクトとともに、戦いに割り込む。




「脂砲」


「くっ、来たか…二刀流スキル:鉄板」




心のAV値が上昇する。




「上級火炎スキル:マッドインフェルノ!」



「ぐっ………一刀流スキル:馬体」



「アラン!借りるぞ!!!」







男が振るう、ダークグリーンのスキルエフェクトに輝く一刀によって弾かれた炎を、ぼくは右手に纏う形で右手を振るう。



「炎油拳」




ぼくの、合体拳は、二刀の男の右肩を貫き、周りの空間ごと、焼き抉り飛ばす。












「強化スキル:守破離」



ぼくはそのまま、チボリウムのようなスキルホルダを使用する。、




「どけ!私がやる!!」



「アラン!?」





アランが、二刀の男に迫り、合体技の焔でゲールクレーターみたいになった大地を踏み締める。




「Exスキル:憤怒!!!Exスキル:憤怒!!!Exスキル:憤怒!!!Exスキル:憤怒!!!Exスキル:憤怒!!!Exスキル:憤怒!!!」




「三刀……」








まさか、ここにきて三刀流?


三刀流スキル?二刀しかないのに?…









「上級火炎魔法:ラストインフェルノ!!」



「流スキル:十六夜」






「アラン!!!!!!!」




ライトグレーの焔とともに、斬り刻まれるアラン…。




「く、くそおおおお!!脂玉!!」



「三刀流スキル:人現神」




一体何が……。




技ごと、斬り刻まれるが、なんとか気合で踏みとどまる……。




感情に亀裂が入る…。






「滅油拳」





「三刀流スキル:天邪鬼」




「くっ!!そ!!!」





弾かれる両者。、





解ける変…。、!



「三刀流を見た者は皆そのような顔をする…不思議だ…人は誰しも、心に刀を持ってるものだが……」






させねぇよ!!!!!!!






〝俺は〟、〝俺は〟負けない!!!





「纏え!!Exスキル:虚飾!!!」





ぼくは、残り火、アラン炎を纏う。







「モードレイサ:ラースインフェルノフォーム」





「っ!?その姿は…人外…」



「炎脂蹴」



「ぬ!!三刀流スキル:暗暗裏」




俺は、その三刀ごと、大きくぶっ飛ばす。




何やら、ごちゃごちゃ言ってるが、関係ない!!!!速攻潰してやる!!!





「さぁ、俺の趣味は通用するか?」




「ならば!三刀流スキル:千本桜!」



「油炎舞」




なにやら、刀にターコイズブルーや、ラズベリー色、キャメル色のスキルエフェクトが宿っていたが関係ない!!!




二刀の男が、大きく体勢を崩す。




「消えろ!!獄油葬!!」






「三刀流スキル:韋駄天!」






燃散る〝三刀〟。






「お前が、何故ヒーローについて知っているのか気になるが、〝関係ない〟!俺はお前を消すだけだ!!!!」






俺は、ヨーヨーのアラウンド・ザ・ギャラクシーの要領で体を回し、憤怒の拳を叩き込む。







ああ、気分が悪い。

早く、早く目の前のこいつを消さなければ…








「身体強化スキル:怒りの鼓動」




俺は、ギルドがら持ってきた最後のスキルホルダを使う。デスマスクみたいなスキルホルダだ。




空色のスキルエフェクトが俺を包む。





「トドメだ!!!!憤滅拳」





















虐殺の歴史は、暗黒の数章そのもの。


人々は同じ過ちを繰り返す。


それは、果たして人間だけなのだろうか?


人々は、争い、争い、また争う。



そして、〝新しいやり口〟を思いついては、続々と新しい章を歴史に書き加えていった。





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