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5-8






じわじわと、

脳内勾玉から色が抜けていく、、、





「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」









虚飾が解除される。





イービル化。

なかなか癖が強い。この先何度やっても慣れそうにない。



なんというか、人でなくなる感覚がある。





「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」





この部屋の壁、四方八方に蜂の巣のような穴が開きまくっている。



同じく、蜂の巣のようなフェニックスさんも、、、





ジリス………悪いが、脱出するよ…







だが、まだだまだ仕事が残っている。





「あんたなんだろ?黒幕は?」























「私はただの執事ですよ…」





そう答えるは、

おそらくミレニアル世代の執事。







いつからだろう、、、



自然とそこにいたことに恐怖を感じる。

ウージングアウトのスキルでもあるのだろうか……





「だいたい、お嬢様が死体で、執事さんが死体でない以上、このパターンはお約束なんですよ」





この執事が実はネクロマンサーかなんかで、

フェニックス嬢を操ってたのだと僕は予想する。











「……何をおっしゃっているのか分かりませんが、、、その洞察力、流石です」





そう言いながら、執事はグリップに手を掛ける。





大丈夫。

メカニズムは分からないが、脳内に勾玉を感じる。





執事が一対の刃を構える。









勾玉が薔薇色に染まる。







イメージするは、

拳ヒーロー、サック・ナックレストの技。



「浮拳」





僕を取り囲むように、

花弁で形作られた拳たちが出現する。







「うらぁぁぁぁぁぁぁ」



「剣舞スキル 潮の舞」





僕が放つ、拳のラッシュを執事の剣が次々に撃墜させてゆく。







「まだだ!!」





勾玉が紅に染まる。





感情のエンジンが爆発する。





「炎塵爆発」







放つは、誰よりも爆弾を愛するヒーロー。

ファイア・ボンバーの決め技。









「剣舞スキル:磯の舞」





しかし、

あの執事は軽々と切り裂いて行く。





こいつ、爆炎をも切り裂くのか?







「剣舞スキル:汐の舞」





迫る、一対の刃。









極界の寒さを司る、

冷徹なヒーローが蘇る。





「ヒーロースキル:変身」









脳内が、群青色に弾ける。







「モード:パンデミック」





パンデミックは、全てを掌握する。





〝コントロールは現実から遊離してはならない〟









計数中。





計数中。





「っ!?」







僕の動きの変化に、執事の目が見開く。







執事の右からの水平を僕は叩き割る。





続く、もう一つの刃も、執事の手首ごと粉砕する。







計数中。計数中。





「くっ!?」





執事はどこからともなく、刃を出現させる。







「青吹」





僕は、輝く絶対零度の息吹を放つ。





「剣舞スキル:神楽の舞」





執事が、刃に纏う灼熱で相殺する。









熱気が遠く離れたこちらまで伝わってくる。









計数中。計数中。計数中。









「いやはや、私にこの龍刀を使わせるとは…」





執事は手首を再生させながら、そんなことを言う。







「剣舞スキル:刃の舞」







執事から、斬撃が舞うように飛んでくる。









「青嵐」





僕は身に迫る斬撃を全て凍結させる。







そして、その隙間を縫うように現れた執事に冷気を集約した蹴撃を放つ。









「くっ!?剣舞スキル:理の舞」







計数中……









僕は、左の逆袈裟、右の逆袈裟を回避する。







計数中。計数中。





「あなたは何者なのですか?次々と未来が形を変えてゆく………」







「僕が何者かなんてあなたに関係ないでしょ?」







「くっ!!剣舞スキル:糊の舞」







計数中。







ここだ!!このタイミングだ!

ジリスの仇は僕が取る。





そんな想いが、勾玉を薄紅色に照らす。









「ラヴァ・ウォール」





溶岩ヒーロー、ラヴァ・ブラスターの防御技が炸裂する。







「っ!?それでも私は負けるわけにいかないんだ…」







溶岩の壁が一対の剣によって爆ぜる。









「青海」







青き極寒が執事を襲う。









「っ!?剣舞スキル:彩の舞」







僕の寒波を執事は色彩豊かに光る剣で両断する。







「はぁ、はぁ、はぁ、、、私のスキル:先見の明をもってしてもこの程度とは…」







執事はその龍刀を構える。









「青木」



僕は右手に蒼いオーラを纏う。







「青空」





僕は、左手に碧いオーラを纏う。





「青葉」





僕は、全身に葵いオーラを纏う。









「私は負けない。主人のために。」





「僕は負けない。ジリスのために」















「剣舞スキル:龍の舞」







「青龍」











その時、世界が凍えた。













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今日は君とのドライブデート。



カーステレオからは、砥部焼についての特集が流れる。





「あれ?、雰囲気変わった?似合うね!」







君は顔をしかめる。、







「そうやって、すぐ女に課金する……」





「僕は推しにしか課金しないよ?」







ここは、ウラジオストク。

ここに来て初めて、デフロストの意味を知った。





「ねぇ、好きって言って…」





「何?言って欲しいの?」





「ふふ、女は耳で恋をする生き物だよ」





「ふふ、男は目で恋をするんだよ?」







そんなたわいも無いやりとり。

君とは、ゴルコンで出会った。







「ねぇ、こんなにもロマンチックな光景なんだから、口説いて見せてよ…」







「じゃあ…君の瞳に乾杯とか?…」







「何それ?ボルジア時代?」







「ねぇ、ちゃんと言ってよ!」





「わかった…愛してる、誰よりも…」





君の瞳に涙が溜まる。





「ねぇ、仕事じゃなくて私をここから…」







「はい、それではお時間ですので代行サービス終了でございます」







君の顔が無表情な色を描く。







「最低……今度こそはって信じてたのに…」







僕は退勤報告をしながら言う。















「別に好きになってもらうのは僕の仕事ではないので……ではまたのご利用をお待ちしております。」











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僕は、走る。ただひたすら走る。



空飛ぶ、バリクリーンのような屋敷を背にして。







「はぁ…はぁ…はぁ…あの執事しぶとい…」


なんとか脱出には成功したが、おそらくまだ追ってくるはずだ。



僕は今、にれの木のようなものが茂る遍路道みたいな道をひたすら進んでいる。





あ、村発見!!





ぼんやりとだが、人の暮らす灯が見える。







「集落だ。あそこに逃げ込めば…」





利き足を踏み出そうとして気づく。





立ちはだかるように、異様なヤシの木が佇んでいることに、、、







「まさか…トレント?」





僕は、勝手に破壊しまくった木の妖怪?を思い浮かべる。







「待て!危害を加えるつもりはないんだ」





ヤシの木がわらわらと震える。





そして、地中から伸びるようにヤシの木が出てきた。





「な、長っ!?…」







まるで、ヤシの木が蛇のようにその身体をウネウネさせる。







「こいつはパームスネークだ!」





パームスネーク?

何それ、ジャパンレジリエンスアワード?





「てか、誰?」







振り返るとそこには、

五人組の冒険者がいた。











なんでわかるかって?







だって…五人とも……







ネームラインに冒険者って書いてあるもん!














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