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5-6




良いか?熱意に勝るものはない!と言うが、



少し違う。







たしかに、技量やその人のスペックが高いなら全てを凌駕するだろう。





しかし、人間は情や環境に流される生き物。





そんな生き物が、時間をかけて何かを極めるのは難しい。





だから、熱意だ。



熱意があれば、時間をかけられるだけのモチベーションが生まれるというもの。





しかし、これらの理論には、



人は時間をかければどんなことだってできるというのが大前提だと考えてる。







もし、人間が時間をかけても不可能なことに直面したら?時間さえかけさせてもらえない状況だったら?





熱意に勝るものはないのではない。





想いに勝るものはないのだ。





そう私は考える。









人の想い。

誰かを想う想いは、剣にもペンにも勝る。

人の可能性も凌駕するのかもしれない。








----------------------------------------------------------------------------------







は?、ジリスは死んだのか









アビスの呪い?いや、大学で漁ったウェルナー症候群の資料のまんまだ。



あの、

女ウケしそうな陶器肌は見る影もない。







「ジリス…」











ん?、何か…違和感が……





服装も最後に見た時のまんまだ。

等身大の台に横たわっている。





「ん?…」





右手が強く握られている。



僕は、強く解く。









手には、一斗二升五合の紙が…















〝これ?誰宛だ?まぁ良い!

にぃちゃんが俺に託してくれたんだ!

絶対離さないぜ!〟



〝旅は道連れってな?

にぃちゃん、これからよろしくな!〟





〝いいんじゃないの?

人間らしくて…〟









ないはずの勾玉が震えた気がした。







「何をするかと思えば、

結局、ジリス殿ですか……」







藤の花の香りとともに、背後から声がかかる。





「冒険者って薄情だって話をよく耳にしますのに…パズルさんは仲間思いなんですね…」





振り返ると、お嬢様は、

僕の、チョップスティックのギルドカードをぶらぶらさせていた。





「G級の冒険者が私の魔法をどんなギミックで防いだのかと思いましたが…」





「なぁ、わざとなのか?

僕ら二人を殺そうとして、たまたま僕だけが生き残ったのか?」





「ええ、あのような愚行、万死に値しますわ」







「そっか…」





「これ以上は時間の無駄のようですね…」





「ああ…」







「具現化魔法:傀儡の摂理」





手。





手。







手手手手手手手手手手手。



サイコお嬢の背後に亀裂が入り、

その隙間から腕が、一本、二本と飛び出す。





手てててててててててててて







僕の意識は腕の濁流に流された。











----------------------------------------------------------------------------------




このオムニバス作品〝ヒーロー〟は、私一人の力では完成しなかった。





特に、私の遅筆を許してくれた君には多大なる感謝を申し上げる。







私がこの作品を取り組もうと考えたのは、単に金儲けではない。



とにかく金を儲けることが、神聖な不文律になっている〝この世界〟において、信じてくれる人はいないだろう。







この作品の真の目的は、クーデターだ。



今もなお、世界に散らばる同志達にこの作品に隠されたメッセージを送りたい。







我が同胞よ。もう一度集まる機会はもうおそらくないだろう。



だが、一人ひとりの声は大きくなくても、戦いは至る所で行われ、広がり、やがていつかは勝利が我らの上に輝くだろう。





その時を私は待つ。







もう一度、人外の存在を世間に示すのだ。


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