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4-4





次の日。

僕は、町の図書館的な場所に来ている。



といっても、ギルドの二つ上の階。

8階建ての建造物の4階部分だ。





もちろん、当初の目的のためだ。

あーあ、この世界に情報収集衛星とかあんのかな?







とりあえず、地域の収集から入る。



なるほど!以外とこの辺り一帯に村や町がある。エリア51みたいな不思議なことがたびたび起こる場所や、マンチェスターほどある村や、オーガニック第一主義の国、蜜源植物の土地、奢多禁止令がある街など、この大陸でも様々ある。







次に歴史だ。

国の歴史はあまりなく、

人物の武勇伝ばかり出てくる。



ほとんどが、体貌ハ閑麗ナリ、放縦ニシテ拘ラズって感じの評価でどれも似たり寄ったりだ。





そういえば、この世界には供養という概念はあるのだろうか?納骨堂やウランバナとか…





そんなことを考えながら、僕は目につく本を読み解く。













あれから、長時間。

何時間たったか分からんが、分かったことがいくつかある。







まず、

この世界の究極要因など、

そもそもこの世界について書かれた本がない。





そして、









「ふーん、人族ね…」



獣人族、天使族、スピリット族…

種類だけでもざっと僕の血管偏差値を超えるだろう…







「なんだこの、スキルの量!?」





ざっと、押し花にできる花の数以上はあるぞ!



それに、呼吸もスキル、身体動かすのもスキルって…完全にゲームの世界じゃないか!





いや、待て!

ゲームなら、そんな呼吸のスキルとか作る必要あるか?ちょっと細杉くんじゃないのか?





まさか?神が作った系?



結局、そのどちらにしても、

システム外にアクセスする方法があるはずだ。



気になるは、この、ヴィンテージ感が漂う書物:美しき終焉より。

〝異界からの遺物は消し去られる〟の部分だ。



これが僕の事だとしたら、、、



別にどうしても元の場所に帰りたいわけでもない。ただ、消えたくもない。





僕にはやることがあるんだ。

叶えたい願いがあるんだ。

守らなきゃいけない約束があるんだ!!!







ん?約束…?僕は一体何も言って…











とりあえず、雨降りそうだし、帰ろう。





あ、この傘パチっとこうか…







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確かあれは、ロウバイって花だったと思う。

春はいつだって黄色の花から咲く。







君と初めて出会った場所。



よく、タロットカードの話で盛り上がったね

僕は今でも忘れない。





そして、僕が想いを伝えた場所でもあった。

辺り一面、黄色の花でいっぱいだったね















君と別れた場所でもあった。









「ごめんね、、、っ、すっごく嬉しい。

でも、もう見つけちゃったんだ。私の運命の人。」





「そ、そんな…」





な、なんでそんな悲しそうな顔をするの…



き、君も僕が好きなんじゃないの?







「だって先に彼に出会ってしまったからね…」





遅かった。

僕がもう少し早く告白していたら…



もう少し早く一歩を踏み出せていたら…







「もし、僕と先に出会ってたら…」











「…もう行くね…」































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外に出て初めてもう夕暮れだと知る。

あたりに咲く、山茱萸という花が、インスタ映えしている。











なんだあれ?赤兎馬みたいだ!かっこいい!





8階建の建物から出てすぐ、

僕は近くにある噴水広場で、

ゴツい馬に乗った武将?を中心にものすごい人集りが形成されているのに気付く。





多趣味の僕にも、総合馬術の趣味はない。

調教済みの馬なら乗れるけど…







ん?今一瞬目があった気がする。





僕は一階まで階段を降り、Art on Iceを口ずさみながら、人集りを背にしようとして、







「貴様!門前で暴れた不届きものだな!」





武将からお声がかかった。





ん?、こいつどこかで…





アミメキリンのような模様のマントに、

チャツボボヤ柄の鎧。しかも、全身真っ青。









何こいつ?痛絵馬より痛いじゃないか!









「何故、何食わぬ顔でこの町を歩いておる?あれだけの騒ぎを起こしておいて…」





「すいません、急いでるので」









なんだ?ノコギリ刀?いや、パン包丁だろそれ!





武将が何も言わず、愛刀を抜き放つ。



刀にギザギザが付いてる。、なんとも業物らしい感じだ…







僕は、懐に手を入れる。

念じるは、夢守りのヒーロー、スタンダ・ドリームレイの技。



彼は人々の夢を守る為、己の夢を燃やして戦ったヒーロー。

その最期は言うまでもないだろう…







先手必勝だ!!



僕の心臓部分が海色に染まる。





「ドリームフレア」





どこまでも青い焔を拳に纏う。





「剣スキル:早星」





見せざる連撃が僕を襲う。





「ぐっ…」





果てぬ夢を燃やし続けた彼の焔が一瞬にして消え去る。







こいつ、まさか斬撃を飛ばした?

早すぎて見えなかった…







「ほう?見たことのないスキルだ…」







「ちっ、まだまだ!!」







左胸の勾玉が黄金の輝きを放つ。





「モード:エクシード」









見習いヒーロー。エクシード・グラフ。



その右手で触れた物を、グラスファイバー製にするという能力。







なんとしても、奴に触れる!





「土スキル:マッドショット」







「剣スキル:輝星」









「がっ、、、、は、、っ」





僕は、光り輝く伸びる刀身で泥の水流ごと貫かれる。









変身が解除される…











奴は一歩も動いてない。

そして、僕も一歩も動いていない。





これは偶然?いや、戦闘の技量の差か…

あいつ、絶対ワザとやってるだろ!







ならば、これでどうだ?



隕石によって飛来してきたという謎のヒーロー、マギダ・ギャラクティクス。



かつて、世界を掌握したとされる、

最凶の光線が放たれる。







「エクスターミネイト」







「剣スキル:凶星」







僕が放つ全身全霊の黒い光線は、

武将が放つ黒い刀身に吸い込まれていった。







僕は、思わず膝をつく。



だめだ。勝てるイメージが浮かばない。











「貴様、戦争の経験は?」







「逆カプ戦争なら!」









「そうか…」







こいつ、初めて構えを…



構えといってもただ剣を頭上高く構えただけだが、嫌な予感がする…









僕は、記憶からとっておきの技を引き出す。

心臓が呼応する。





勾玉と記憶がチューニングする。



腰に下がっている傘が日本刀に変わる。











「無門」













〝俺の前に門など意味をなさない〟



縦斬りで門の鍵を壊し、

横切りで門を開けるというアンチクロス状に斬撃を放つという二連撃技。



確か、小5の時に見たのが最後だが、子供ながらにカッコ良いと思ったのを今でも覚えている。







「剣スキル:綺羅星」











どんな門も無き物にする二連撃と

過去からいくつもの偉人たちが繋ぎ、連なり、並べてきた剣技が、白熱のエフェクトとなってぶつかり合う。









「はぁぁぁだぁぁぁぁ!」



「…」













世界に、穴が空いた。


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