4-3
僕はホラーが嫌いだ。
怖いんじゃない。
大嫌いなんだ。
それは君がホラーを好きだから、
だから、僕はホラーが嫌いだ、
あれはいつからだろう、、、
確か、8/14。
友人が新しい車を買うということで今乗ってる車を売りたがっているらしい。
それほど状態も悪くない車だがタダ同然の値段で売ってくれるみたいだ。
俺も自分の車が欲しかったところだし譲ってもらおうかな。
8/27
必要な手続きが完了した。
これで俺も晴れて車持ちだ。
しみじみと感動。
家や学校の近くを走ってみたがこれだけじゃ満足できない。
今週末は少し遠出してみよう。
8/31
今日は思い切って隣の県まで行ってみた。
自然豊かな場所でドライブにはピッタリだ。
風を切る感覚がすごく心地いい。
もっと早く車を手に入れるべきだったかもしれない。
そういえば今日気づいたけど走行中にどこかからカタカタと音が鳴っていた。
中古車だから仕方ないのだろうか。
点検してもらうのも面倒くさいしそこまで大きな音でもないから気にしないでおこう。
9/4
この間の音が少し大きくなったような気がする。
よく聞いてみると何かを引っ掻くような音にも聞こえる。
どこかの部品が擦れているのだろうか。
もう少し様子を見て、これ以上音が大きくなるようなら点検に行こう。
9/7
大変だ。
後部座席の足元から水のようなものが染み出していた。
匂いを嗅いでみた限り少なくともガソリンではないと思う。
引火の心配はなさそうだ。
でも少し生臭いな。
内部に雨水でも溜まって、それが腐ったのだろうか。
このまま放置しておくのは流石に不安だ。
今日は遅いから明日すぐに点検してもらおう。
9/8
どうしよう。気づいてしまった。あの耳障りな音も生臭い液体も全部。逃げたい。でももうだめだ。車から降りるわけにはいかない。怖い。頼むから誰か助けてくれ。
9/11 くるしい、からだが痛いずっとはしってる。つめたい?おとが大きくなってる。まうしろからだ。助けてなんでおれが。痛い、許さない殺す。やわらかい、殺す。ころして
9/23 顔
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「実はな、俺らとチームを組んで欲しいんだ!もちろん、損はさせない!」
そう言ったのは、
ダミ声の主、カーズ・ボルボン。
僕に声をかけてきた男だ。
そんなこと言われたってな…
僕は今、目の前の奇妙な二人組を他所に、食事に励んでいた。もちろん、お代は向こう持ちだ。
「それもさ、ずっとじゃねぇんだ、期間限定なんだ」
美味っ!?これ、菖蒲酒ような味わいを感じる。こっちはガルフストリームか!?
「実は、三人じゃねぇと受けられないクエストがあってな…」
これは、マタドールか?
この、エスニック麺に似た食感もあり!
クコの実みたいなやつと合うな〜
「もちろん!危険はねぇ!報酬は倍払う!」
これ、出汁どうなってるんだ?
フュメ ド ポワソンに近い感じもするが…
「カーズ…こいつ…聞いてない…」
「ん?、何だと!?」
「サフランライスに…ベジョータ……」
「って!おい!聞いてんのか?てか、どんだけ食うんだよ!?」
ん?、なんだこいつら?
なんでこっちを見てんだ?
「おい!話を聞くって条件で奢ってやってるんだろうが…!!」
「だから聞いてやってんだろうが!」
「じゃあ、答えろや!」
「いくつか気になることがある…」
「お、おう…というと?」
「まず、そんな人数制限のある依頼がギルドボードにはなかった!」
速読は得意ではないが、趣味だ。
バードウォッチングの経験が今、役に立った。
「次に何故僕なんだ?」
新米冒険者の僕をスカウトするなんて、
何か後ろめたい噂があって、新米で何も知らない僕しか誘えなかった?
それとも、新米という雑魚さから、
囮や罠にでもするのだろう…
「ぐっ!…それは……」
ちょうど食べ終わった。
最後の、タイ米みたいなやつも面白い味だった。
「ん?何?図星なの?じゃあ行くね!」
とりあえず、クエストボードだな…
薬屋・〝希望の館〟でのアルバイトか、
逸れた伝書鳩を探して行く依頼、どっちにしようかな…
「ちょ、頼むよ!待ってくれよ!」
「離せ!!」
僕は、手首と肘を掴み、振り解く。
「ちょ、頼むよ!ほんと!」
「くどい!!」
僕はそのまま、
オールド・ラング・サインを歌いながら、
クエストボードへと歩いて行った…
「な?あったろ?手首に…」
「………あれは精神干渉系のスキル」
「精神干渉?そんなもんを自分にかけるってことは、あいつには何か隠したい事があるということだ!ギルドにも知られたくないようなことがな…」
「まさか…人間じゃない?…」
「ならなんだ?人類にあだなす者か?」
「どちらにせよ、要確認だな…」
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結局、あの後は薬屋さんのクエストを受け、
ウェットコンプレスを貼りまくった。
頂いた額、1000ワイ。
これから行こうと思っている宿代は
500ワイらしいので、割りに合った値段かどうかわからない。
今は、ギルドからの帰り。
僕が今回の達成依頼を持って行った時にはもう、あの着物エルフはいなかった。
僕は、別れのワルツを歌いながら、
ギルドの説明について思い返す。
まずランクは、S〜fまである。
ランクアップはギルドから通達される。
ちなみに、条件などは不明だ。
なお、受けるクエストに制限はないとのこと。
別に、f級でもS級のクエストを受けることは可能らしい。
僕は、ふと、ガーゴイルとの戦いで、
吹き飛んだ足を見る。
「この世界、スキルさえあればなんでもありだもんな…」
あんだけ、吹き飛んだ足も、
痛みも、今では元どおりだ。
シャリーヌさんの魔法薬ってすごいなと思う。B級が持つアイテムでこの効能だもんな…
後の説明はよくあるやつなので聞き流しておいた。なんなら、その都度説明されるし…
ん?、古い教会…?
そんなことを考えていると、
古びた教会が視界に入った。
ブライダルネイルの経験なのか?分からないが、即視感を覚える。
「すいませーん!」
作りは、僕の世界のチャペルとあまり変わらない。
ウエディングベルとかまんまだし。
僕は、辺りを見回す。
一人、二人、三人、
なんか、お祈りしてる。
この世界の宗教関連は分からないが、僕の世界でいうところの、アグヌスデイみたいなものかな……
勝手はわからないが、
とりあえず、
アンジャリムドラーをしておいた。
 




