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3-5 エリザベート・ヅカ



「あのさ、君はこんなところで何してんのさ?」


「何って大変なんだ!人が、人がいなくなっちゃったんだよ」



僕は、目の前に現れた、カクテルドレスの女性に訴える。

ちなみに、すごく厚い化粧だ。この世界にリムーバーコットンは存在するのだろうか?



「ふーん…ほんとに知らないみたいね……」


なんだ、この、心を見通されている感は?



「あのさ、別に失礼なことを考えるのは別に良いけど、その焦ってるふり止めて!君の心が動じてないのがわかるんだから!」


「…………」



「まずは自己紹介ね!私はシャリーヌ・ゲキオ。君は!」


「ぼ、僕はエリザベート・ヅカ。」


この、精神干渉スキルいつ解いてくれるんだろ?

さっきから、魔法陣が光りっぱなしだ。


というか、スキルってことは、この魔法陣的なのは魔法の類じゃないのか…




「まったく!どもってるフリとか止めてって言ってるのに……」


精神干渉といえば、ヒプノシスマイクが頭に浮かぶがはたして…



「名前も、偽名ね!ほんとの名前は…何これ?ノイズが走って…」



「シャリーヌさん!しっかり!!」



突然、頭を抱えだしたシャリーヌさんを、

近くのベッドに運ぶ。



「…う…何これ………」


「シャリーヌさん!シャリーヌさん!」


僕の体から、魔法陣が消えていく……



「シャリーヌさん!しっかりして!!」


「早く逃げて……ここにも魔族が……」



「魔族?なにを言って…」


「この近…くで魔…族の…襲…撃があっ…ったの…よ……」




「なら、早く逃げましょう!!」


「………ギル…ドの人…間が現…場に向…かってるし…住…人は全…員…避…難…した…わ……」




「な、ならシャリーヌさんも一緒に!!」


「…だから…あ…なたも…逃げなさい!」



ドクン、と心臓が波打つ。

シャリーヌさんが、いつかのタンクトップ男と重なる。



「僕は、僕はシャリーヌさんを絶対に見捨てない!」」


「私…はす…ぐに…行…く…から……」



だめだ、そんなのはだめだ…



「シャリーヌさん、僕は残ります。絶対に残りますからね…」


「……だ…め……」



「おうおう、こんなところに人族がぁ!」




「っ!!」


窓を覗く悪魔と目が合った!




そいつを一言で表すなら、ガーゴイル。

よく、アニメとかで見るまんまのやつがそこにいた。



「レイサ………」


僕は、シャリーヌさんを庇うように、窓に接近する。



そして……







「きゃあああはあああ」


「っづ!!」


窓を突き破りながら迫る、鉤づめを、近くにあったまな板で逸らす。



そのまま、返す形でフックを入れようとしたが、

ガーゴイルの突きで、壁ごと吹き飛んでしまう。


「が、がああ……」


「ぎゃははははは、ぬるいぬるい!!」



僕は、痛みをこらえながらも、感情のアクセルを踏む。



「ぎゃははははははは」

続く、切り裂きを、ワンハンドエアーの要領で躱す。


「ぎゃははははは、そうこなくちゃ!!」


まるでリンボーダンスのように、上体を後ろに大きく逸らして回避し、

そのまま鉤爪を蹴り上げる。


そのまま、頭部狙いの外回し蹴りを繰り出そうとして、


「ぐ、痛い…」


グキリ、と足から変な音が聞こえた。


硬い、硬すぎる。


もう一度、膝を伸ばしたままの状態で、内側から外側へ円を描く回し蹴りを繰り出すも、当てた瞬間に痛みが発生する。



「ぎゃ、ぎゃははは、痛いか?痛いだろ?悪魔スキル:悪魔の痛みだ!!」



「ま、まだだ!」


踏ん張れ僕、せめてシャリーヌさんが回復するまで…


絶対に、絶対に見捨てるわけにはいかないんだ!!











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夢や恋を叶える方法の1つに魔法というものが存在する。



その方法でサクセスストーリーを歩んだシンデレラという少女は、

親切な魔女に出逢い、



屋敷で働く見すぼらしい雑用姿から、

優雅なドレスを着て、髪をきれいに整えたチャーミングなプリンセスに変わり、

さらにさらにそれだけではなく、

なんと舞踏会へ行くための馬も馬車もすべて用意されているという。



ここで私が注目したのは、

この舞踏会に招待状は不要で、そこでの振る舞い方もダンスの仕方も王子様を虜にする方法も、不思議なことにシンデレラにははっきりわかっているという点だ。




そもそも

シンデレラにそんな魔法は必要だったのだろうか?


金髪で足が小さくダンスができることは本当に必要だろうか?




着目すべきはチャンスを活かす、彼女の準備力だ。

チャンスを掴む力だ。

チャンスが訪れるのを待つ忍耐力だ。




どれも違う。彼女がシンデレラストーリーを歩めたのは、


彼女の、その秘めたる憧れだ。

その、憧れこそが彼女に魔法をかけてくれたんだ。











さあ、その想いは君にどんな魔法をかけてくれるのかな?



















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「ぎゃははは、もう終わりか?ほれほれ、がら空きだぞ」



僕は追い詰められている。

フライパンのバッタもんみたいなやつもボロボロ。

圧力鍋みたいなやつで殴りまくるもやつは無傷ときた。

もう、アクセルは全開だ。




そろそろ陽が傾き始める頃だ。



「悪魔スキル:悪魔の鉤爪」



「ぐはっ!!!」


僕は、両手に構える長剣ごと

近くの服屋のドレッシングルームまで飛ばされる。



「ああ、つまんねェ!!!つまんねェ!!」


まるで、砕氷船のように迫る爪に対して、左の袈裟で迎え撃とうとして、


「ぐ、ぐはっ!!!」



「なぁ、てめぇ手を抜いてんじゃねぇよ!!!」


僕は、剣を杖にして、立ち上がる。


「なあ、スキルは?魔法はどうしたよ?」


僕は、正眼に構える。



「なぁ?なんで使わねぇんだ?ほんとに人族かよ!」


「…うちは…争族だ…」



「あ、そう?ならしまいだ!!」


「レイサ……力を!!」




勾玉が光で満たされる。

繰り出すは、侍ヒーローの秘技。









「赤備えノ兜」


「悪魔スキル:デビルインパルス」















僕は…諦めるわけにいかない




























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