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14−3 経年という美学

ーーーーーーーーーーーー


かの有名な歴史上の人は、

美田を大事な人に残さなかったという。


僕もそうだ。



「裏切られたんじゃない、見えなかったものが見えただけでしょ?」


一度も寄り添ってあげなかった。

だから振られた。


強く当たるのは

あいつのためだから、、、



「戦いから逃げたあなたはまた同じことを繰り返すの!」



お前の言う通りだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「安心しろ…峰打ちだ…」

「いや、魔法に峰打ちとかあんの?」




眼前には、逃げる男と護るように立ちはだかるモンスターの群れ。陰々滅々な縮図がそこに広がっている。





僕は、群がる雑魚を蹴り飛ばし、E級ベロモービルにリヴァイ切りをかます。


E級レコグニションリザードにケタグリを繰り出し、E級ノーマライズゴブリンの首を絞める。



「しゃがんで!!!上級火炎魔法:春桜炎!日魔法:サンシュリンク!」



gaaaaacccaaaaa




みさきの放った火炎は非ニュートン流体の攻殻によって阻まれる。





C級モンスター:ハムステルンハンター。


ツクイムカデの装甲に、イワサキカレハのような弾力、トゲナナフシの身体。無顎類で、偶蹄類。鴆毒が付着した大鋸。ハチカム構造の大楯。触角からはパンタグラフ火花が散ってる。



「タフすぎない?このモンスター!慰み者くらい、キモいわね!!」


「みさき!!ターゲットが逃げる!!」






害虫と益虫の奥には、片足を引き摺りながらも走り去る、垂髪の男。


このクエストのターゲットだ。




gaaaaaaaaaa


「しつこいわね!!土魔法:竣工!」


「せい!!」


D級ゴブリンヒロインを刺突で噴き飛ばし、殺人キックで血潮を祓う。この状況を打破する術なんて、灰色の脳細胞で考えるまでもない。



「みさき!!!好兵衛を追え!!」


「分かった!女冥利に尽きるわね!壮挙よ!凪スキル:五侯鯖!」


みさきがC級アボリジニヴァンパイアを切り刻みながら、モンスターの群れを通過する。



「せい!」


殺人チョップでF級ゴブリンを殺し、オーバーヘッドキックでF級ゴブリンソードを殺す。




「大事なのは、コントロールできるかではなく、コントロールできると思うかだ!!ヒーロースキル:変身!!」



漣の舞で剣を振るいながら、

勾玉で決めポーズをとる。



「モード:ウェルネス」



〝罪人は滅する!〟


サーモクロミック液晶で彩られた仮面が玲瓏たるハルシネーションを醸し出している。

幻灯機が肩甲骨から生え、リトグラフの盾が左手に、マンモグラフィー機能付きのガベルが右手に出現する。シェフパンツにネクタイシャツというオフィスカジュアル姿。胸に内在しているアイオロスの球が震え、アクチュエーターがこれでもかと言う程、唸る。


トランスエイジにまつわる大規模レイオフ問題や、百家争鳴なエッグショックが鍵となった企業論争にも携わった裁判官ヒーロー。四次元的な性格が読者の人気の秘訣だ。



裁判ヒーロー。

ウェルネス・コーリング。




「自我のないモンスターは罪か…豈図らんや……殺した数や方法なんて関係ない!!全てを捌いてやる!!!」



みさきの後を追うモンスターの群れに狙いを定めて、小槌を降り下す。



「謂れなき…ジャイアントアースクエイク!」





地中深くから、何かが地表に迫り、

溶岩の海柱を顕現させる。



meow…quack!!



さらに、再帰性投影技術でメンタルを掘削し、死をも超える裁きを与えるオマケ付きだ。


このヒーローの思念から、死以上の裁きを持たない自分の力の無さが伝わってくる。




gaaaaaaaa



残りは、ゼブラタランチュラ、タカアシガニ、ウマヅラコウモリ、キロネックスフレッケリ

、特徴を併せ持つ、C級アトミックホッパーを打ち砕くのみだ。




「人族の身で、悪魔堕ちとは…醜いな…空間魔法:ボイド」


「なっ!?」




刹那の間で、背中の懸垂幕も、夢も希望も、半身も、全て消え去る。




「そのダメージで、哀哭も無いとは…露ほどにも思っていなかった」




目の前にはダークエルフ。

どうやら、後ろから不意打ちを喰らったらしい。



サンナクチ、胎盤食、車厘、パイコー麺、アラビアータ、プッタネスカ…半分しかない胃の中の物がズルズルと零れ落ちる。



「ダメージ?問題ない…ただの超常刺激に過ぎない」



悋気でモチベを上げ、先安観を叩き潰し、

ボクはアドレナリンの海にダイブすることで、再び立ち上がる。


正直言って強がりだが、これは不味い。

才能は結果らしいが、この状況って才能関係ないなと思う。という現実逃避が始まろうとしている。



「いや、待てよ…そもそも人族か?」


「峠族だが?」



そういうダークエルフも満身創痍だ。フォアダイス?ペイロニー病?炭疽菌?掻爬?先ほどの大規模魔法の代償だろうか?そうであっても状況は良くはない。何故敵意があるのか謎だし、とりあえず時間を稼がねば!



「好きな物の話って楽しいよね!!君は何が好きなの?」


「うるさい唇だな!強化スキル:博引旁証!」



その瞬間、視界が揺らぎ、顔にヒップドロップをお見舞いされ、歯が砕ける。


え、人間の歯って、モース硬度7くらいなかったっけ?



「あいにく、大殿籠るのは苦手でね!!」

「くそ!!なんだこれは!!」



ボクの首に着いてる、エルドリッジノットのネクタイが交接腕のようにダークエルフを拘束する。



「くっ、離せ!!…お前…魔瀬直哉という男を知っているか?」


「は?殺そうとしてきたのに、、、、知ってても教えませんよ?」



地球人か?

もしかして、僕のことをヒーローと勘違いして?






カツカツカツカツ




この特徴的な足音は…





「移動スキル:ストリクスバースト!」

「ぐっ…は、おのれ…こいつの仲間か?」




みさき。




「素敵な顔ですね!!トルコ風呂で鶏姦でもしてあげる!!」


「そう焦るな…慌てる乞食は貰いが少ないって言うだろ?」



株虹が何本も、地面から映えている。

大丈夫、ボクのヒーローの力はまだ残っている。






「ねぇ?まさか…半身だからって、くたばってないでしょうね?ヒーローは半身で死ぬ程、そんなに柔じゃなかったわ………」


「ああ任せろ!!ここ、進研ゼミでやったところだ!!」








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