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13-9 命題は真



恋の終わりは自分から立ち去ること


ココ・シャネル











〝この木はね…恋が実るのさ!〟




穀倉地帯に聳え立つ一輪の枯れ木。


我が家に靴が増えたあの日、仕事の帰り道に発見した。



カゴパクして捕まった日も、


チン毛のトリミングに失敗した日も、


ウェルビーイングの本を片手にナンパした日も、


ジンクピリチオンって美術史だよねと話した時も、


真空冷却か冷風冷却かで妻と揉めた時も、



その木だけは、いつも見守ってくれていたように感じる。







人生を例える一つに、道という言葉がある。

本来は死ぬまでの一本道。人や物と関わることによって、どんどん複雑化していくというもの。その木の枝分かれのようにね。


それは、迷路にも迷宮にも匹敵する。

人の情緒を惑わせる。






退職届と書かれた紙をじっと見つめる。


ハイパーマーケットで買い物した時のレシートのような長文。




神に感謝するべきなのだろう…






酔ってはなかった。素面だった。

記憶はあるし、感触も覚えている。







「ここにいると思いました…エイプリルフールだからといって、事実が帳消しになるわけではありませんよ?」


「理性が本能を超えなければ、理想など喰えないぞ?結果論を優先すれば自ずと慎重になるというもの…」





木を隠すなら森の中というが、

煕煕攘攘な交差点に身を隠してもダメだったか…彷徨なことはしてないはずだが…俊髦だから目が立つのだろう…






「恐ろしく勘が悪いな…耳が衰えましたか?あなたを殺しに来たんですよ?」



「親友だから…全て話さないといけないのか?くそ不味いヘイトクライムだな…」





奴の腕が藍海松茶色に発光する。


あの時に強請ったスキルホルダか…





「裏腹な言葉を使って相手の反応を伺うのが女性ですよ?なぜわからない?いつまで騙されるんだ?」


「男なら、忙しければ忙しいほど、一分でもいいから好きな女性の声を聞きたいと思うものであろう?」



常盤木の影からグラサン黒尽くめの女達が姿をちらつかせる。



「全てのことは独学で学べ…あなたに教わった言葉だ」


「主語がでかいな?…とても喰えたもんじゃねぇな!」




表出化した魔力が、地中からマグマオーシャンを水母の如く押し上げる。それは、奕葉としてきた古層を揺り動かしながらも仇讐の道を進む。逼塞した酸素。必要量に対して小満にもならない。空気が燃焼し、枯渇する。


拙遅な魔力操作だが、頑迷な魔力量が全てを覆している。輸けそうな気概を食欲で補う。




「良い匂いだ!!強さの脂が乗っている…」


「春眠暁を覚えず…残念です…波スキル:津波!」




月明かりに話しかける波飛沫が、流布したマグマ溜まりに集く。糾う乂安が、蹌踉ける空間を拐騙し、生じた空間の歪みを辷る。







「exスキル:カニバリ!」



ポケットからカトラリーを取り出す。


「土魔法:コパーショット!土魔法:クリスタルバレット!」


「exスキル:テイクオーバー!」




空間ごと打っ飛んだ俺は、回転灯を軸に立ち上がる。



「拳スキル:サーキュラーチョップ!」


「exスキル:喰切!」




薄明が照らす中、親友を打っち千切る為、

スプリットタンを高速で飛ばす。




「鬼の証明って知ってるか?お前は鬼がいないって証明できるのか?」


「何を戯言を!!!…累が及ぶ…土魔法:ピートブラスト!風魔法:胞子竜巻!超級精神干渉魔法:グリッチ!!」


「なっ!?」




打っ倒れる。


俺の血か…


打っ放したはずの手刀と舌が紙屑のように転がっている。




「外腸骨動脈を切った…あなたはもう助からない…」




死は甘美なるものと言うが、今じゃない。

オーバーローンだって残っている。


ゴリラゲイ雨が降り出した。


罷免した部下の顔が浮かぶ。




「嘘はさくらんぼ…一つ食べると十個食べることになる…武士は食わねど高楊枝」


「ん?戯言?小粒感が否めないな!最期まであなたって人は!!」





探し物は、探すのを止めると見つかるってのはどうやら本当らしいな…







「喰らえ!!!exスキル:エスカトンアペタイト」








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






合成の誤謬、ポイント還元率の低下、レ点の位置、追い飲み、斜陽文化、、、、、、、



どれも面白くない。





マヌルパン?タリスマン?ミサンドリー?イモビライザー?トロリーバス?ラカンカ?



面白くない。




知れば知るほど、面白さが薄れる。

興味や感動が削がれる。




昆布の様な面白さ?

噛めば噛むほど?は?歩合制かよ!




義憤に駆られた男娼に、処女イコールモテないと思ってるシンデレラ、衆愚主義の冥婚フェミニスト、出る杭を伸ばす非常勤、参差な双子。



いいねの数だけ価値がある?

誰も人を殺しちゃいけない理由を論理的に説明できない?絶対なんてないという考え方が独善性を繋がる?カプスラ•ムンディ?童貞は不可逆?赤ちゃんが可愛いのは生き残る為?誰もが死ぬが同じ死などない?結婚前にドレスを着ると婚期を逃す?



あーあ、感動がねぇな!!

共感なんてクソつまんねぇ!


独創性?新たな発想?

くだらねぇ!



ん?逗留の申請?




「イービルチェンジ:マイア」





死に時を選べないってのは面白くないな…



余命映画や死の運命映画が響くのって、死が怖いのもあるけど、死のタイミングが決められてるのが嫌なんだと思う。


死の自由を縛られるのはみんな、嫌なのさ。


寿命でも他意でもなく、自分で死にたいのさ。人って。








「関節は潰されるより、伸ばされる方が痛いってな!!!」




gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa




ほら、ヒーローさんよ?

怖いか?




「その程度か?青鬼さんよ?恋なんてしてるから弱くなったんじゃ無いねぇか?まさか、異世界人と行動を共にしてるとはな!!」


「恋が俺を弱くした?ヒーローが恋をして何が悪い?恋は人類にはどうしようも無いものだ…」



ん?まるで、ヒーローも人であるかの様な言い方だな?戯言を弄した?いや……まさか!?




gaaaaaaaaaaaaaaaaaaa





「ま、ヒーローの正体がなんであろうが、俺には関係ねぇ!」







面白いかどうかが全てだろ?











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




I'm very definitely woman and I enjoy it.

          マリリン・モンロー




PC画面が主張してくる、値上げお願いの例文に思わずため息が零れる。旱害に肖って台風やウイルスが蔓延した為だ。撃柝売買なんてもう死語になると思う。



部屋を見渡すと、還暦を迎えた剣の刀身に映る自分と目が合う。



剃り残しの髭を携えた教え魔の顔をしている。温和そうでもあるし、憂う男でもある。



20代のかっこよさと30代のかっこよさと40代のかっこよさは違い、全年代統一指標はないが、自分はどれに当てはまるのだろうかと常々模索している自分がいる。





ダルゴナコーヒーを飲もうとして、

ふと、レンジで温めた冷凍ラーメンを思い出す。


なんとも、蛇腹切りしたカヌレと、フェイジョアをマカロナージュしたマカロン粉末を拵えてるそうだ。ヘルタースケルターなラーメンだ。JPか?KRか?CNか?の発祥らしい。




「ああ…現代人には余暇が増え過ぎた…」





氷に、レンジのマイクロ波は効きにくいのだと思い出し、またため息が溢れる。気だるく、コンテンツを浪費する自分に嫌気が差す。





ふと、窓越しに見る梅雨空は、ハツラツとした吐水口の様で…恋心が炎症を発しそうだ。



「ああ…心まで濡れそうだ」




懐古主義のレイピストに、すぐに客体化する湯灌師、引越しマニアのセックスセラピスト、寝室でのナビゲートが大得意な零細企業社長秘書補佐、ヴィジランテ屈指のポテトファン、アーユルヴェーダマスターと目されるゴーラー、必ずワンマンパーティーに変えてしまうノマド落伍者、正義を商売にする臓卜師……いろんなパーティで冒険した。





telllllllll.telllllllllll




「誰だ?こんな時間に…?」



さまざまな候補を浮かべながらも、

ミートテンダー型の携帯電話を手に取る。


会社関係なら社用携帯だよな?

自己紹介以来誰とも喋ってないし、一体誰だ?



「もしもし?」



果てしなく遠い静けさ。

論われた方がまだマシな苦痛。





「………………」




無音が叶和す時間が、無言が苦手という認識を何度も浚ってくれる。


水密桃よりもカロリーの高い時間だ。

消化に困る…




「ああそうだった…今月、ラックが低かったんだった……」



もともと高いのかと聞かれれば疑る事案だが、自己評価を盛っても愆ちで済む。





「工業製品に対して、地産地消なんて言葉使わないだろ!それに、交通インフラは税金で賄うのが基本だろ?」




日頃のストレスを発散してみる。

意味が無いという言い方は好きじゃ無いから…意味が薄い。


やってることなんてシュレッダーの紙屑とそう変わらん。



「昨日と言ってること違うくない?変異した?笑、るせーよ!笑」



ワーキングメモリの無駄遣いだ。

なんなんだこの電話は?

何故何も話さない?

ハッキング?

それとも話せないのか?




「show me your moves」



だめだ。

英語でも反応がない。

屯困だ。

相互確証破壊の線は無さそう。



「………………切るからな?じゃーな!」



通話を切ると、アプリにメッセがいくつか届いていた。ロミオメール?いや、この場合はジュリメールか?


ガッケンホコカワゲラのアイコンと、デメニギスの背景、半風子のプロフィールが光っている。どうやら通話中の様だ。




〝よくもやってくれたわね!離婚歴なんかで私の価値は下がらないわ!!スループルなんてどうかしら?〟




誰だ?

ねぶた婚で出会った人か?

見た目と性格が比例してなかった気がする。

尊厳死医療支援で出会った人か?

なんとなくだが、交際人数と経験人数が釣り合ってなかった気がする。





ああ、そうか…転生者婚で出会った、カシワさんか?


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