13-4 フレンチパラドクス
最上の証明は、経験だ
フランシス・ベーコン
〜料亭・腥い薬缶〜
「もぐもぐもぐもぐもぐ」
「もぐもぐもぐもぐもぐ」
インカコーラに近い味だ
こっちはベーグル、トムヤンクン、パンダウナギ、アデリーペンギン、ジャイアントパンダ、イシカワガエル、ティタノコリス、ムラサキウニ、キンカジュー、トゥパンダクティルス・ナビガンス、ピーカンパイ、エマダツィ、リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ、アーノルドパーマースパイク、バケットホイールエクスカベーター、プライズゲーム機、プリントシール機、ジェット風船、キングギドラシリス、粗茶、漉餡、ホホバオイル、カエルアンコウ、オヤニラミ、イースタンブラウンスネーク、ブラインドケーブカラシン、ロウニンアジ、
まさかなノゾータの離脱、急な爆発音だったり、突然のバトル展開だったり、全くクエストの調査がすすまっ!?、美味っ!美味しいぞ!、これ!!!!!
旨味に、脳が蕩ける。いや、解ける。溶ける。てか、食べ物じゃないのも混ざってないか!?
「どう?美味しいでしょ?膳羞よね?コーヒーを入れるのが上手な人は、心が優しいそうよ…」
そう言いながらみさきは、
葡萄茶色の飲み物を飲み干す。
ハニーナゲット、モユククサウオ、アメフラシ、ブーゲンビリア、ザワークラウト、キムラグモ、ダムカレー、オールスパイス、イクチオサウルス、なた豆、ヤマトサウルス、サタ・バタフライ、ケジントゥブ、イシクラゲ、ウシマンボウ、。
「なんか、食べ物以外もある気が……てか、これ全部食べるの!?」
「人は欲望のために戦うんだよ?食欲とかね?」
恋愛と食欲への異常性、なんなんだ?この人?
「ねぇ、あの人!」
「ん?」
「いや、あの人!!!匂うよ?」
「匂う?この、香水こと?」
「そう!香水はなりたい自分になる、自己暗示みたいなものなの!リメンバーミーみたいな!」
「remember me?の事言ってる?」
「そう!!初対面の時は覚えてください!
別れたあとは、思い出してください!過去形と現在形でその意味は異なる…」
「つまり、みさきのプロファイリングによれば、今回探しているターゲット像に近い人が、あの男なわけ?」
露悪的な前髪、粗悪なタンバルモリ、
衒っている男。衒気がビンビンしてやがる。相当な発展家だな。
文字を聞いている…ディスレクシアか?
「男なら、常に今はがピークだろ?過去なんかに縋るな!だせぇ!」
「過程や背景よりも、その発言そのものについての是非を問うたらどうだ?」
なんだ?すごい剣幕だ!!
「頼むよ?後で泣き言を言うやつ、殺したくなるからさ?だせぇから!」
男と男が言い争ってる。
「え、行って大丈夫なの?」
「大丈夫!侠気ある人は、落としやすいんだよ!」
みさきが、ズカズカと歩いていく。
「ちょ!」
「大丈夫!成田離婚もエディプスコンプレックスだろうが、追うのは論じゃなくて、情だぞ?⭐︎」
どゆこと?冷たいココアより、温かいココアの方が甘く感じるってやつか?
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釣り方を教えれば、一生生きていける?
そんなの、そいつ次第だろ!
いくら教えたって、するかしないかはそいつ次第!!!
釣り方を知っていたって、この先も釣り続けるかは人による!誰かが釣った魚を求む人生になるやもしれん。
〜瑞穂国〜
「どうだい?老後は、一緒に、あの月に住もう!!」
「黙れ!!!!パツキンパイオツだからって
私ばっか口説くんじゃねぇ!くそじじい!」
今日も盗賊に扮した爺が、金髪美女を誘う。
見慣れた光景。いつもと変わらぬ毎日。
あの、スケベな爺さんが、〝巨悪の勇者〟と呼ばれているなんて、誰も夢にも思わないだろう。箸にも棒にも掛からないってやつだ。
「確か…今日は施餓鬼だったな…みんな、元気にしてるかな…」
「エアビーで部屋を借りている!話はそこでだ!」
「ん?族車か?」
「ダスティブレードか?魔剣・我来也か?我は、どちらを右手で持てばいいのだ?」
「ねぇおじさん!ひーまー!!性愛論書とかない?」
魔王なんて本当にいるのだろうか?
軽佻浮薄だ。俄には信じられない。
確かに魔物が蔓延っている。だが、闇に包まれつつあるなんて嘘だろ?死して屍拾うものなしと誓った旅ではあるが…どこか気の緩んでいる自分がいる。ああ、魔王なんていないのかもしれない…だって、こんなにも青空が照らしてるというのに……
「なぁ、賢者!!」
「ああ、そうだな…黄経330だな…飯にしよう…」
各々が野営の準備をする中、私はシャンメリーを取り出す。今日は、ミロトンだ。ジギタリスだって、ニオイアラセイトウだってある。
焚き火は良い。パーティメンバー間を取り持つ、陳情の役割がある。私の趣味?焚き火鑑賞だ。
「何読んどるの?」
「風姿花伝」
「なぁ、健啖家!そこのお茶とって!!」
「はいよ!!!」
「おなかすいたー」
「大将!びっくらぽん二つで!」
「大将!握ってくれますか?私の手…」
「ご飯前に、今日分のボールペン字講座やらなきゃ!!」
「火打ち石でも火の粉は出ないってか?」
大空では、羊雲が太陽との博愛に興じ、山砦が一枚岩に連なり、岩路がどこまでも遥か先を往く。サボテンが生い茂る岩高原は、なんとも過剰設備の一言に尽きる。髑髏から生えるススキと目が合った気がした。
かつてこの世界は、花に喜び鳥に驚き風に和み月に酔うといった、詩的表現の似合う土地が溢れていた。時間は遡らない。今でこそ、魔物化の潮流の先頭を歩くこの荒国。かつては、黄金の国とか言われていた。ジパング。稲穂が漂い、造詣が深く、綺麗な国だった。
「周囲に合わせられないってことは、相手に合わせるように強要してるのと同じ!」
「どんな選択肢を貯金できるか、考えておけ!!」
「非科学的なくらい美味いぞ!」
「気の抜けたビールくらい需要ない!」
「あの女、YCがあるな…」
「何エロい顔してるんですか?先輩!」
「手に入らないものほど、妄想が膨らんで欲しくなってしまうもの!」
「What an ugly mess!」
「I can’t believe it!」
「ねぇ!富士山がこっち見てくる!!!」
「羅生門ってエロいよな?侍にいきなりキスされてるし!」
騒がしい集団が今日も岩道を歩く。
その喝采は誰にも止められない。
人間であっても、魔物であっても。
〝「容姿は親の遺伝で決まるが、もう少しは強くはなれるだろ?奢侈が過ぎる!!努力を怠るな!!人間!!、!」〟
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」
いつの間にかそこにいた。
平和に腐心していたわけではない。
18禁カレーに気を取られていたわけでもない。トリメタシジンを服用したわけもない。樟脳浴をしていたわけでもない。
誰もがその事実に、息を呑んで欹てる。
「闇魔法:悪魔の墳墓!」
「っ!?防御スキル:ペタロイドシールド!」
非業の死。
悪魔の登攀により、潰えた命。
「ソゲブ!!雷魔法:ライジングハンド」
「失敗率99%でも、2回やれば98.01%に下がる!!459回やれば1%だ!!!何度だってやってやる!!!!勇者スキル:フラグフトュール!」
「守銭奴め!!!!!剣スキル:噦!剣スキル:入梅!」
「私の、徐波睡眠を邪魔するな!!波スキル:ドラグニックウェーブ!!傘スキル:数数!」
「牛刀をもって鶏を割くってか?刀スキル:緑猿王の触肢!!」
「処女なんて守っていても腐るだけよ?鉈スキル:己己巳己!!土魔法:土偶固め!」
「饐えろ!!剣舞スキル:陸蓮根の舞!!!!恋スキル:極光!!!」
「how old do i look?精霊魔法:ロッシュ限界」
パーティの総攻撃は、虚しくも散り、
お返しとばかりに、火球がスライダーのように飛んでくる。
「アリストクラシー派閥のリーダー!?」
「恥豚め!!」
「射畜!!」
「多弁は自信のなさの表れとは、ガセだったのか?」
「絶望なんて、噛み砕く!」
「壊れたファービーめ!」
円らな生命が一つ、またひとつと…
「召喚スキル:閨閤の臣」
次々とパーティが壊滅してゆく様を尻目に、私はダイバーナイフに想いを込める。
雪沓がスキルエフェクトを纏い、氷平線を描く。悪魔と目が合った。
「こいよ?」
「悪魔さん!後ろよ?」
駕籠から、モジュールアップした機械鎖が悪魔を縛る。
「っ!?これは?」
私は咄嗟に、火炎スキル:ブルーレアと火炎スキル:ミディアムウェルを発動。
燃え渦巻く火炎を背に、三戦立ちで構える。
さらにルフロで集中力を上げる。
この一撃に込める。、
「睡眠スキル:音響催眠」
「剣スキル:パイソンスラッシュ」
「exスキル:二者択一」
「恋スキル:愛慕」
「精霊魔法:アインシュタインの十字架」
「干渉スキル:シュガーショック」
「緩い!、やる気はあるのか?」
「please keeping on!」
「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げるってか?」
「よもやよもやだ!」
「You are the apple of my eye!」
「臆するな!!」
「抱き殺してくれるの?」
「帰って、ママンにでも、追いLINEしてな!!」
「絶対、カラオケで洋楽歌うタイプだろ?」
「濡れ落ち葉め!!」
「マンスプレイニングだろ!」
「good guess!」
「その展開は、それはあまりにも面白くない…」
「波スキル:イヤーワーム
睡眠スキル:スリープスターツ」
「精霊魔法:スティーブ」
「干渉スキル:インポスターシンドローム」
「土魔法:花粉光環
「くそ、どれくらい戦ってる?応援はまだか?時間がわからん!」
「ジャネーの法則か?」
「召喚スキル:シャドースカベンジャー」
「超級土魔法:メテオカタストロフィー」
「イービルチェンジ:フェブルアリウス」
「通信保全監査隊はまだか?」
「プレスリリースの構成を!」
「このタイミングで悪魔とは、包摂的じゃないな!」
「喃語かかばん語、ポートマントーでも喋っとけ!!」
「皆そろって臆面か…そろそろ、しまいにしても?」
「競って奪って勝ち取る幸せもあるってな!!!空間スキル:がらんどう」
「足スキル:ビックフット」
「悪魔スキル:悪魔の鉄槌!」
「ぐっ!?」
エメラルドグリーンのスキルエフェクトが散り、ミントグリーンのスキルエフェクトが散る。
傴僂男の命が消える。
スキットル型のスキルホルダを発動する。
バターナイフに非スペクトル色のスキルエフェクトが宿る。
サーカディアンリズムで加速する。
「火炎スキル:バーニングスマッシュ!」
「鉈スキル:元気一閃!」
「恋スキル:シェルタードガール」
「強化スキル:パワーナップ」
「鉈スキル:勇者一閃!」
「波スキル:ホリゾンタルシェイク!」
「精霊魔法:スターゼリー」
「強化スキル:ケトーシス」
「どうした?どうした?もう数も半分だぞ?パーティ全滅も時間の問題だな?」
「寂しくて死んじゃうよ?うさぎより重いよ?重力魔法:ヘビーグラビトン!!」
「量から質は生まれるんだよ!召喚スキル:マキシマムレイス!!召喚スキル:フースゲンガー」
「知識は色気さ!!!! 剣スキル:切妻壁」
「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない!!恋スキル:パーフェクトラブ」
「先入観って、つまらないよね?
先入観に比例して好奇心がなくなるからさ!!!exスキル:時神の眼!」
出た!!爺さんの未来視。
この固有スキルによって、隣国をも滅ぼした、最強スキル。その眼に映るのは果たして?
「ロキソニンヘビーユーザー舐めるな!!光魔法:曙光一閃!!」
「悪魔スキル:悪魔の戴」
「が…は…あと…恃む」
パーティ機っての、ムードメーカーの魂が狂騒的に沈む。ああ、こんなことならこの間の告白受けておくんだったな…可哀想に…
「名のある戦達者だと聞いていたが…決闘を申し込む相手を間違えたか?」
「お前を倒す…」
「嘘だな!!満身創痍で何を言う?人間」
確かに満足に立ち上がることすらできない。
ギピュールのマフラーは破れ、ヒジャブは解け、ダブルブリッジのメガネはガラクタ同然。剣先は、切削油のごとく濁り、完全に切れた腱はせり上がり硬直。
十六一重表菊の盾は砕け、滑落死した仲間が足元に転がる。羊歯は枯れ、畢竟博打な植物が蔓延り、炎が捲土重来に地面を占める。
寸胴鍋…ツルムラサキ…アツモリウオ…
「嘘ではない。」
「では、なんだ?見栄か?」
「違う!!!」
「では、意地というやつか?この前の人間もそのようなことを…」
「覚悟だ!!!!強化スキル:一気呵成!火炎魔法:レッドカッター」
「前古未曾有だな!!やけずんぞ?火炎スキル:大大爆園」
「たくっ、楽しいな!!含蓄のある戦いは!!!イービルチェンジ:カルラ」
「バカほど、プライドが高いってな!!移動魔法:キャトルミューティレーション」
「闇に沈め!!光魔法:アンチェイン!」
「悪魔スキル:悪魔の暴徒」
サーモバリック爆弾に晒されたかのように、大地が揺れる。、潰滅するみんな。、
「こんなものか…無聊である…」
「手を退けなよ!!!!知ってる?その男に私は、幼稚園からずっと初恋なんだぜ?」
昨日だって、膝を突き合わせて、老後を語り合った。三点リーダーみたいなエクボが好きだった。
グッと身体に力が入る。、
死蝋化した遺体を庇うように立つ。
一説によると、目的が幾つもあると、勘が鈍るらしい。ならば、私もすべきことは…
〝人を笑わせるピエロが最後に愛される
人誑しとは道化師でなくてはならない〟
私の身体が花霧状に堕ち、本来の姿に戻る。
顰蹙を売るトリックスター
素封家ヒーロー。
フィルター・ストーカー。
それが私のかつての名だ。
それ以外は思い出せない。
カビた衣更着を羽織り、贈答品の剣を引っ提げる。無撚糸のターバンを巻き、克己心が肥大化する。敏捷性に依存心が呼応する。腰の錠前が唸り、金のソバージュにバレイヤージュされる。私のオーラでデリンジャー現象が巻き起こる。
「お前は?その姿は?人族か?」
「ん?通りすがりの、市井の臣ですよ!」
「悪魔スキル:悪魔の呻き!」
「獄炎スキル:炮録火箭!」
星が降り、スキルエフェクトが煌めき、きらきらと眩しい夜が交わる。空間が裂け、火炎と魔力が激闘する。キーゼルバッハ部位が破裂する。
「っ!?移動スキル:空中浮揚!獄炎スキル:響箭!」
「悪魔スキル:悪魔の証左!」
さっきとは比べ物にならないくらいの猛攻に、思わずバランスを崩す。
「人間は怪物以上のバケモンだな!」
「っ!?」
私は、マントルピースの剣を握る。
「悪魔スキル:要諦」
「火炎スキル:バーニングコーディネーション!獄炎スキル:飛箭!」
悪魔の思念により、
私の、人権装備が破壊される。
「悪魔スキル:悪魔の囁き!」
くっ、このタイミングで精神系!?
なんとか持ち前の気合いで持ち堪える。
適応的諦観?いや、スポ根舐めんな!
「女…やるな!!」
「知らないの?スキルなんかで女は口説けないんだよ?」
「悪魔スキル:悪魔の咆哮」
遠距離攻撃なんて、
照準点さえわかれば、見切れる!!
「っ!?」
な、何が起こった。
私はゆっくりと、胸に空いた穴に手を置く。
「苦しいか?その気持ち理解できる…」
「は?妊ったこともないくせに?」
ふらつく身体を咄嗟に剣で縫い留める。
剣の掬にだけは傷一つないことを確認し、お誂え向きな仕事をしてくれたドワーフを想う。カドリーユが好きな彼女とは親友だった。虫寿司趣味仲間で、必要条件と十分条件の違いを教えてくれた。That's the way!が口癖で、コモディテイ投資に詳しい人だった。
「綺麗に汚してあげる」
「その身なりでか?」
そんなのわかってる。
でも、引けない。みんなをめちゃくちゃにしたお前を倒す。
「荼毘に付してやる!!!!獄炎スキル:火箭!」
「悪魔スキル:悪魔の退潮!」
ぐっ!?
「みん…な…ごめん…あと…はま」
「腐った果実は腐ったまんま!青果に戻ることはない!!!!!恋スキル:恋慕!」
「精霊魔法:クエーサー」
「雷スキル:側撃!!!!!!」
「波スキル:デスシャンソン」
「精神干渉スキル:ハングザイエティ」
「イービルチェンジ:ミトラ!」
「悪魔スキル:悪魔の機運」
「時間スキル:クロノフォビア」
あれ?身体に穴がない。
というか、傷一つない。身体が軽い。
なんで?
というか、みんな…いる。
誰も傷付いてない。みんな、いる。
「っ!?何が起きた?」
「ふぉふぉふぉ、時を戻したんじゃよ!!さぁ、第二ラウンドじゃ!!!行くぞ!みんな!」
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E級クエスト
周年栽培を手伝って
B級クエスト
滅殺オーガの脹脛が食べたい!
A級クエスト
蛯龍の殲滅。
E級クエスト
坊主みのあるアイツを探して!!
C級クエスト
オウギワシの生態調査。
A級クエスト
悪法もまた法なり。
B級クエスト
マカロニな円筆。
C級クエスト
エディタソンを盛り上げて!!!
D級クエスト
禿びる頭皮と耐える毛根。
B級クエスト
おフェロな彼。
C級クエスト
召放された旦那の身辺調査。
A級クエスト
墓標に辮髪。
E級クエスト
予鈴に間に合いたい!!!
E級クエスト
花柳界への遊説。