12-4 種苗
「カモちゃんのその努力、成功する人と同じだな!その調子で精進なさい!」
「まぁ、よく出来たわねぇ!カモちゃんが使う魔法にママもかかりたいわぁ!」
「パパ、ママ、僕、もっともっと頑張るね!!!それでね、魔法でみんなを幸せにするんだ〜」
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配られたカードで勝負するっきゃないのさ、それがどうゆう意味であれ
スヌーピー
「マタイ!おい、マタイ!!」
「あ?聞こえてるよ?!」
ああ、イライラするな
「や、やりすぎじゃねぇか?」
「あ?この人が絡んで来たんでしょ!!」
なんだよ?その魔法!イライラするな
「て、てかさっき、めちゃくちゃ可愛い子通ったからナンパ行こうぜ!」
「ま?行こう!すぐ行こう!!」
「助けて…助け…」
「あ?まだ生きてんの?なんかさ、天は二物を与えないってほんとみたいだね!この人は何一つ持ってない!」
ったく、ボクより魔力ある癖に、そんな陳腐な魔法使うなよ!魔力の無駄遣い!ムカつくな
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クエスト名:館長の備忘録
逐次に記載するよりも、抄訳した方がより露呈されると信じ、ある彙報から一部抜粋いたします。
⁂以下一部抜粋
この依頼を読んでくれているあなたに、子ども達への魔法の指導をお願いしたい。
非常に緊要性のある内容である。筆を取っている今はまだ尚早な時期ではあるが、私が亡くなった頃にはきっと必要になってくるだろう。だが、陰に陽に慣行が崩れていると感じている。あなたがこれを読んでいる時に存在しているか定かではないが、そう、スリッポ流魔術派の影響だ。
流派というのは、貴賤は無くても周りからの偏見はある。それはこの剛直な館も同じ。組織というのはそういうものだ。
子は鎹。と言いますが、私をこの世に繋ぎ止めておくにはもう抗力が足りない。
そういえば、今日は娘の誕生日であり、私が父になった誕生日でもある。あ……いや、年寄りの憂愁なざわごとを書くのはやめよう。
喧々囂々な子ども達ですが、何卒、よろしくお願い申し上げまする。
この依頼書は私が償還に狂奔してた、周旋屋時代に出会った秀逸な妻に渡しておこう。きっと惚れるぞよ?
以上が今回の依頼となります。
子ども達の為、毅然たる指導をお願い致します。
館長の嫡子より
成功報酬:
ハデスの誓約書
館長の定款
館の童歌
館の産着
繭玉獣の餅花剣
音魔法:インフラウェイブ
光魔法:ウルトラマフラッシュ
防御魔法:セイントシールド
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〜町の斎場〜
「え、ほんとに30分しか遊んでくれないの?って絶対お前俺達に言ってるぜ?頬肉に眼鏡が乗っといて何だけどな!」
「というか、あの人に似てない?あー、名前出てこないなー!でもめっちゃ似てる!名前出てこないけど!笑」
「え、気になる!(笑)」
「逆に誰に似てるって言われる?」
「えー、ナイトレクス•キャパレイとか?」
「あー、それ、友達が似てる!笑」
「ほんとに?ほんとに似てるか気になるから、その人も誘ってみんなで飲みに行こうよ!」
「いや〜、マタイ!豊作だな!」
「あー、だるいな〜、依頼行かなきゃ」
何が、子供に魔法を教えるだ…怠いな!
「そういえば、ヤキパ?そっちの依頼は大丈夫なの?」
「いやさ、どうせ今回も無理だろうと思ってさ!!!!単身討伐に向かうソンと、ボロボロのカシワだぜ?うちのチーム無理ゲーだわ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「っ?」
「っ!?」
女の声?
「おい、今のって?」
「ああ、向こうからだ!」
「まぁ、誰かが助けに行くっしょ?あ、おい!マタイ?おい!…………ったく、お前はほんと…悪になりきれないよな……」
〜町の涵養域〜
ボクは、若い女の拷問現場に遭遇する。
敵は二人。
女剣士と男魔法使い。
剣士はわからないが、あの魔法使いの魔力は雑魚レベル。ボクならやれる。
「っ?」
「気をつけて!攻撃されてる」
まずは先手煙幕玉。
からの火打ち石で………
「闇魔法:ホーンデッドランス」
「がっ、、…」
「隠密性は高い…魔力コントロールはなかなかのものだが、実戦は皆無か?せいぜいE級か…」
「お?なかなか良い顔してんじゃん!あたしに殺させてよ?」
「悪い!遅くなった!喰らえ!連結剣!!」
「防御魔法:トライアングルシールド」
「剣スキル:横斬り」
「おい、大丈夫か?マタイ?すぐここから…」
「剣スキル:縦斬り」
「させるか!喰らえ!連結剣!!」
「闇魔法:蚊柱」
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「無駄…動きに無駄が多すぎる…実践を舐めてるのか?」
〝だってみんな言ってたよ!!!そんな無駄なことするなって!!!〟
〝たしかに…無駄や手間を出来るだけ省き、実践に対応する魔術…それが主流だ!でも、パパを誰だと思ってる?あの、大魔法使いだぞ?〟
〝でも、実戦で手間なものは省けって!先生が…〟
〝カモちゃん、いいか?手間は省くんじゃない!!積み上げるんだ!!〟
「何が…積み上げるだよ…全然意味がわからないよ…パパ…」
「拳スキル:ソニックパンチ!!」
「レオスキル:ジュラシックバイト!」
「ぐっ!?」
「ばがぁぁばぁ」
「おいおい、なんだこの状況は?雨降るなら、傘をさせってか?」
「闇魔法:経年劣化「レオスキル:トルネードバイト「がぁぁぁぁ…なんだこの速さは…」
「邪魔しないでよ!剣スキル:Zスラッシュ」
「蓋を見ても開けるなってか?それは無理な相談だな!拳スキル:梅拳!!」
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想像出来るなら、それは創造出来る。
トム•フィッツジェラルド
「おい、ヤパキ!何サボってんだ?行くぞ?」「い、痛い痛い痛い痛い!耳はやめて、耳は…」
おいおい、こいつほんとにボクと同じE級かよ……それよりも、
「大丈夫か?」
「ああ…助かった!この身体にもだいぶ慣れてきたところだ…」
青左髪に黄右髪。
多分、トロット地方出身か?演歌や馬術が盛んか地方だ。あと、愛猫家が多い。
「ジム•ヒッコリー!私の名だ!」
「カモボ•マタイ!」
お?こいつも魔力ないじゃないか!!
よし、優しくしてやろう!!
「マタイ…?どこかで聞いた名だな…?まぁ良い!幸甚なひと時をどうもありがとう…何か御礼を…む?お前さん、魔力が〝無いな?〟」
「な」
「だが、お前さんのような〝剣士〟も魔法の基礎を習えば立派な魔法使いになれる可能性だってある!そう、魔法は無限d……」
「うっせぇよ!うるせぇぇぇぇぇ!語るな!語るんじゃねぇ!何が魔法は無限だ!無限大だ!、黙れ黙れ黙れ!しね!かす!ぼけ!黙れ!だま!!だまーだらさしねぇねでねねてめねゆけよれ!、だま!!」
「おい、落ち着くのだ!おい!」
「ふざけよ!お前に何が湧かんだ?らぁ?しね?黙れ!!!!だま!!ね!おかしいか?ボクが魔法使いじゃ?魔法が使えなきゃダメなのか?やっちゃいけないのか??なんだ?なんのか?こいよ?こよいよ?かかってこいよ?しね!やるのか?カス!こら!あ?あ?こい!こいってば!!こい!」
「べ、別にダメだとは言っておらん!それに、魔法使いという職業は、魔法の得意不得意だけで務まる仕事なのか?今一度考えるといい…」
「黙れ?黙れよ!やったさ!やったさ!できることは全部やった!!!魔法の基礎だと??何年もかけてやったさ!何さ?やるのか?ふざけんなよ?向いてる向いてないの話じゃない!才能の話じゃない!!!魔力が魔力機関が、魔術回路が、ねぇんだよ!!!精霊もダメ、媒体もダメ!!移植もダメ、魔道具もダメ!!せめて下級のスキルホルダぐらいだ!黙れよ!ひね!いね!だまね!どけ!うせろ!出ろ!!消えろ!何なんだよ?お前は?きもいんだよ!いなくなれ!なれよぁぉぉぉぉ!」
「何故そこまで、魔法にこだわる?」
「は?それはなぁ…ざけんな!黙れよ!!うるせぇんだよ!わかってんだよ」
「魔法で何を為したい?」
「は?そんなの、、、、、、、」
「お前さんにとって魔法は何だ?」
〝魔法はアートだ!〟
「魔法ってのはアートじゃなく、ビジネスだ!!!魔法で金を儲けるんだ!!!そうだろ?」
「では、今一度聞く、魔法で何を為したい?」
〝パパ、ママ、僕、もっともっと頑張るね!!!それでね、魔法でみんなを幸せにするんだ〜〟
「は?金儲けだよ!!!だって冒険者だからな!!!!、生きる為だよ!金だろ?かね!人を助けて金を儲ける!そういう仕事をしてんだ!!!」
「何で助けるかじゃなく、誰を助けるか?ではないか?魔法にこだわらんでも良かろうに…」
「いや、魔法だ!それでもボクは……………………ボクは…魔法使いだ!」
「悪振りよって…素直になれぬか…良き…着いてこい!!魔法の真髄を教えよう…」