11-9 仮面をつけた夜
私は生まれながらに美眠家だ。
美眠家の父。そして、美眠家の母による教育の元、私は美眠家として育った。
よく、「私は美眠家だ!」と名乗ると、「何時間睡眠が理想ですか〜?」とか、「統計では、脳科学では、」とか、そんなことを言われる。
くだらない。実にくだらない。
時間だと?平均7時間?パフォーマンスに影響?巫山戯ろ!!!
大事なのは、睡眠の質!1時間で十分。
アルファ波、レムノンレム、勉強したまえ!!
「私の眠りを邪魔する者は容赦しない!!さぁ、あなたの死はどんは脳波なの?」
波スキル:静かなる睡。
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風車、風の吹くまで昼寝かな
広田弘毅
〜ペンデュラムフォレスト〜
オイフォンが聞こえるほどの静かな空。
幼少期に体験した札幌大雪祭りを思い出させるほどの大雪の中、
シニヨンヘアの女性となんちゃってツーブロックの男が咲き誇る。
「剣スキル:グラインド」
爪先上がりな丘を利用して、剣側をかわす。
「くっ、そこだ!!!!」
鏡面磨きの靴が目の前に現れるも、しゃがんで回避する。
「剣スキル:葉鞘!!」
芝生色に光る剣を下から持ち上げるように、芒の舞でいなす。
「ならば!!!!」
繰り出した突き蹴りを女性は横にいなす。
「防御スキル:フェアリーサークル」
続くカーフキックをスキルで防がれ、後ろ当てをくらう。
「蹴りスキル:ハイシャインキック」
ヒッコリー柄の靴が僕のいた、肥沃な大地を抉る。
「剣スキル:マックススラッシュ」
体重の乗った剣の振り下ろしを、潟の舞で食い止める。
「…なんで魔法を使わない?なんでスキルを使わない?剣術だけで十分?」
馬銜の舞、鐙の舞で畳み掛けるも、ガーネット色のスキルでいなされてしまう。
「っ!?………もう夜明けか…」
雪溶け後の美しい曙光が東から湧き上がる。
「そろそろ…本気出さないと死ぬよ?」
気丈な女性の瞳が真っ赤に染まる。
馥郁たる香りが広がる。
衝撃で前脛骨筋が砕け散る。
芥子坊主な頭で頭突きをもらい、そのまま、右肘を反対側に曲げられる。
「ゴブリンスキル:ゴブリンスラッシュ」
咄嗟に蹴り飛ばしたが、傷が深い。
「あなたが本気を出さなくても私は本気!!変身スキル:ドレスアップ、魔剣士・ナイトゴブリンナイト」
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今日、私には夢がある。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
そんな、そんな!ノゾータの正体は、
あの時の鯔背な魔剣士?何というオチ、いや、パンチライン。。。。
金のモアレ模様が施された鎧。焼絵皿?が描かれたマント。ニューイヤーズ・イブボールのような兜。トリアージの札みたいなのが腰にヒラヒラ付いてる。ジンジャーブレッドマンとまごころパンダを出してミシュランマンで割った感じの体格。
僕は、マイナス感情を剥がす。、
「そう……闇魔法:重慈禍…」
勾玉がドグンドグン主張する。
「闇魔法:穢麤羅如…これで邪魔は入らない…」
「ゴブリンスキ……
「お前の勇気は俺が見届けさせてもらった!!」
確か…彼は………
「どうしてここに!?」
「どうしてって、俺の抜群の傾聴力舐めるなよ?」
韓国海苔のような空の下。
襟のかかったラムースの着物。濃いオリーブ色の中折れ帽子。右手にソーダ水の瓶を一本、左手にウイスキーの瓶を二本下げて、腕まくりしながら歩いてくる。
「あなたには関係ない…見逃してくれない?」
「おいおい、橋のない川を渡れってか?ジョーダンじゃねぇ」
「剣スキル:クリアランスセイヴァー」
「拳スキル:拳万、拳スキル:柔拳」
「っ!?」
「忘れるなよ!俺は、有限だからな?だから、俺の手の届くもんには手を伸ばしたいんだ」
「ならばゴブリンスキル:ゴブリンストライク」
「拳スキル:冬拳」
ゴブリンの剣技と冬を纏った拳がぶつかり合うも、互角。
「ど、どうして…」
〝剣舞スキルに限った話ではありませんが、焦ったり不安に思ったりすることは悪いことではありませんが、後ろ向きのままでなく、必ず前向きな姿勢に剣を振るうことが大切です。〟
「おりゃぁぁ!拳スキル:春拳」
拳闘士の暴風を纏った拳が、防御ごと魔剣士を突き飛ばす。
「くっ、あなたには関係ないでしょ!」
「寝た子を起こすなってか?それは無理なソーダンだな!正しく起こしてこそだろ?」
「拳スキル:秋拳、拳スキル:夏拳」
「ぐっぁぁ」
揺れる業火の拳と激しい雷の拳が魔剣士の防御を貫通する。
「ぐっ……どうして…」
拳闘士がオールドクリーク?のようなスキルホルダを取り出す。、
「強化スキル:スキルエントラストメント」
「そう…私、迷ってたか………変身スキル:ドレスアップ、鐵精霊・タングステンマン」
「拳スキル:四季拳」
「精霊魔法:レゾルベントアルジャーノン」
「陰れ!フルオープン!!」




