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スキル練習

 この村で生活していく上で、自分に何ができるのか検証をしてみることにした。


 まずは自身の能力などをチェック。

 天使に身体能力を強化してもらったが、どれくらい上がっているのか試してみた。


 脚力は少し上がっていることが判明。

 ストップウォッチがないので正確には計れなかったが、100メートルを12秒ほどで走れた。前まで14秒以上はかかっていたのでかなり早くなっている。

 ただし持久力は上がっていなかった。少し走っただけですぐに息切れする。

 総合的にみて、瞬発力だけ上がった感じだろうか。


 腕力はちゃんと上がっていた。

 今までは無理をすればなんとか30キロの物を持ち上げることができる程度だったのに、普通に40キロある荷物を持ち上げることができた。同時に握力も上がっている気がする。

 頑張れば50キロもいけるなと調子に乗っていたら先に腰がやられた。背筋力は上がっていなかったようだ。

 腰痛で寝ていると、村長がグレンダさんに調合してもらったという塗り薬を持ってお見舞いに来てくれた。

「腰は大事なので気をつけてください」と薬を塗ってくれて、さらにマッサージまでしてくれた。確かにヘルニアなどになったら大変だし、気を付けようと思った。

 でも村長、フトモモはマッサージしてもらわなくても大丈夫だったんですが。

 あと尻のマッサージなんて初めて聞いたんですけど、それ本当に腰痛に効果があるんですか?


 後はなんとなく動体視力と反射神経も上がっているかな、という気はした。

 でもこれは前よりは多少はマシになった、程度のものだろうか。



 次はスキル【水の領域】でいろいろと試してみた。

 最初に効果範囲の確認。握りこぶしほどの大きさの水を浮かべ、それをゆっくりと正面に移動させてみる。

 30メートルを超えた付近で制御が難しくなり、35メートルを超えたところで地面に落ちた。体調や残り魔力によって多少は変動するが、この辺りが限界距離のようだ。あと、消費魔力は俺から距離が離れるほど増えていた。

 使い慣れると効果範囲が広がるのかはまだわからないので要検証である。


 一度に操作できる水量も再検証してみた。

 ルーティの畑を手伝っていたときに湯船2杯分が最大水量だと思っていたが、手で触れた状態だと3杯分以上の水を操作できた。


 どうやらこの『水に触れている』というのはかなり重要な事柄だったらしい。

 水に触れている状態だと『消費魔力が減少する』『操作性が向上し考えた通りに水を動かせる』『効率もよくなり温度変更などが早くなる』などの恩恵がある。



 この検証結果で得た知識をルーティに話しながら畑の手伝いをしていると、横で聞いていたピュティが不思議そうな顔をしていた。


「お兄ちゃん、水に触っていたほうが沢山の水を動かせるんでしょ? なのになんで井戸から水を汲むときには水に触っていないの?」

「え? それはもちろん井戸の奥にまで俺の手が届かないからだけど」

「最初に井戸から糸みたいに細長くした水を持ち上げて、その水に触れば井戸の水に触っていることにならないの?」

「…………」


 この幼女は天才だと思った。


 実際にやってみる。

 糸だと目に見えないかもしれないので毛糸ぐらいの太さで井戸から水を持ち上げる。つまり水でできた紐を井戸の底から引き上げてきた状態だ。

 この紐状の水は井戸の底の水と繋がっているので、俺が井戸の水に触れているのと同義である。

 結果は成功だった。


 これを応用してバケツに汲んだ水を紐状の水にして井戸の底に垂らしてみる。わかりやすく言えば、釣り糸を池に垂らしているような状態だ。

 問題なく井戸の水に触っていることになった。


 さらに応用して、紐状にした水をゆっくりと正面に移動させてみる。もちろん俺が触れた状態でだ。

 50メートルを超えた付近で制御が難しくなり、60メートルを超えたところで地面に零れ落ちた。

 距離は倍近くまで伸びているのに消費魔力はかわらない。むしろ少し減っていたような感じがする。



 スキルの検証は終わったので、今度は使い方の練習をしてみることにした。

 もしまたクマッピーのような魔物に襲われたときに、少しでも戦えるようになっておきたいからだ。

 積極的に戦う気はないが、練習しておくに越したことはない。


 村の中で練習をしていて万が一にでも誰かに当たったら大変なので、村の外でやった方がいいだろう。


 村の北は森となっていて、その森を進めば大きな山がそびえている。

 村の東も森となっているが、東の森は広大で、さらにクマッピーのような凶悪な魔物が巣食っているらしい。

 村の西は林や丘となっているが、こちらは人魚の住む湖に続いているので別の意味で危険だ。

 村の南は平地となっていて、ところどころに木や大きな岩が見える。平地にも魔物は出るが、見通しがいいので森の中と比べて察知はしやすい。


 両手に水を入れたバケツを持ち、南門から外に出る。

 出てすぐのところにある2メートルほどの高さの岩をまとにすることにした。


 水を弾のようにぶつけたり、鞭のようにしならせて叩いたりしてみる。

 やってみた結果、速度はあるが威力には期待できなさそうだった。

 多分、鳥のような魔物を撃ち落とすのには使えるだろうが、クマッピーのような硬い魔物には効果が薄い。そんな手応えだ。


 バケツの水が無くなったので補充をしようと思い、空のバケツを持って井戸に行こうとしたら見学していたピュティにまた不思議そうな顔をされた。


「お兄ちゃん、どうしてわざわざ井戸まで行くの?」

「え~っと、水が無くなったからだけど。南側には川がないから村の井戸が一番近いはずじゃ……」

「いま使ってた水を地面から吸い出して、そのまま使えないの?」

「……………………」


 この幼女は凄すぎると思った。


 実際にやってみる。

 的にしていた岩のところに行くと、濡れた地面に手を触れる。地面から水を吸い上げるイメージで【水の領域】を発動させると成功した。

 水を吸い上げた地面を確認してみるとカラカラに渇いている。これを応用すれば洗濯物を乾かすこともできるかもしれない。

 ただし使った水をすべてサルベージできてはいないようだ。


 試しにバケツにめいっぱいの水を入れ、それを地面に流す。水が地面に染み込んだ後で吸い出すと、流した水の2割ほどが減っていた。

 何か理由があるのかもしれないが、よくわからない。そういうものだと認識しておこう。



 ここまでやってから水を氷にしても操れることを思い出した。練習ついでに検証をしてみる。

 水を氷にした場合、そのまま操ることは可能だが消費魔力が一気に増えた。それとスキルを解除した瞬間に氷は溶けて水に戻ってしまう。さらに氷だと水のときよりもコントロールが難しく反応速度も悪い。


 ツララを作って岩に向かって撃ってみる。甲高い音を響かせて氷が砕けた。

 岩の表面を確認すると傷が付いている。硬度はそれなりにあるようだ。


 攻撃手段としてはやはり氷のほうが威力は高い。しかし水と比べて速度が遅いのでかわされる可能性が高い。

 水と氷の両方を練習しておきたいが、まだ魔力量が足りずにあまり練習もできない。

 どちらを優先で練習するべきだろうか。両方を交互に練習したり、あるいは水と氷を一緒に操れるように練習するのも手かもしれない。


 しばらく悩んでから人に相談してみることにした。何か良いアドバイスが聞けるかもしれない。

 相談する相手はもちろん決まっている。


「もしピュティが俺のスキルを使って魔物と戦うことになったら、どうやって戦うかな?」

「んーとねー……。氷になる直前の水を使って戦うかなー? 魔物に当たる瞬間に水を氷に変えたりとかー。あっ! 魔物の顔に水をぶつけて、そのまま凍らせたら強そう!」

「………………………………」


 なんなのこの幼女の発想力。こわい。


 実際にやってみた。

 練習なのでまずは氷を作る。それを水に戻すと、凍る直前の温度の水になった。

 その水の温度をそのままに保ちながら飛ばし、岩に当たる直前で氷に変える。数回練習してできるようになった。

 ただし、水に触れてない状態の制御可能域は30メートルから35メートルだが、氷にするためには約25メートル以内である必要があった。

 この間隔も練習して覚える必要がありそうだ。



 最後に一つ、気になっていたことも検証してみた。

 熱湯を沸かす場合は何℃まで上げることができるのかということだ。


 結論、よくわからなかった。

 温度を計る方法がないので確認のしようがなかったのだ。

 ただ、見た感じではボコボコと激しく泡立ち、蒸気が噴き出していたので100℃は超えていたと思う。

 これは取り扱いに注意したほうが良いだろう。





 ちなみに、ピュティに相談した件で後からルーティに怒られた。


「あの、ピュティに物騒なことを考えさせるのは止めてもらえませんか?」


 ルーティは笑っていた。やんわりと注意されただけだった。

 でも森でクマッピーに出会ったときよりも恐怖を感じた。


 土下座して謝った。



書き溜めていた分がなくなりましたが、次話は明日更新できると思います。

多分…

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