プロローグと入学初日。
郡上知美は、事故で両親を亡くした。
旅行好きの両親故に、鉄道事故だった。
遺体の損傷が少なかったのが、唯一の救いだった。
郡上知美は学びたい事があり、女子高に入る予定だったが、お金の目途が立たなくなってしまった。
叔父の神原智和が男子高で、教師をしていた。
そんな叔父から、「男子高で君の学びたい事とは全然違う、君の学力なら問題ない、私のいる高校に入らないか?お金なら、私が何とかする。」と言われた。
少し悩んだが、高校に行けないかもしれないよりかは、男子高でも入る決断にした。
そのため、男子名(偽名)を考える事にした。
それは「郡上知春」ということであさっり決まった。
あとは、男子の中に溶け込めるかどうかだった。
叔父と一緒に学校までの道のりを覚えるために電車に乗った。
これが最後の女性姿だと思うと、少し悲しくなった。
これからは、出歩くときも極力、男性姿なのだとおもうと・・・・・。
入学式の日。
桜が満開だったこの日。
慣れない、ズボンに足を通して、慣れないネクタイを結い、彼女は言う。「私の行こうとしていた、 女子高は、ネクタイ制服だったけどね。」
郡上知美は郡上知春として、入学式に臨む。
しばらくして、初のホームルームが行われた。
担任は、この提案をした叔父の神原智和が担当することになった。
叔父の神原智和は言う。「えーこれからホームルームを始めます。」
叔父は出席をとって行く。「郡上知春!!郡上知春!!聞こえてるか?」
郡上知美は知春の名で呼ばれなれて居ないので、返事が遅れて言う。「はい!!」
叔父の神原先生は言う。「中学気分だと、この先困るぞ。」
郡上知春は「はい!!!。すみませんこれから気を付けます。」
男子はざわつく。「声高いな・・・」などとざわざわ。
神原先生は言う。「はーい、声の高い低いなど、誰にでもあるだろ?はーい静かに。」
男子たちは黙った。
神原先生は言う。「素直でよろしい。」
神原先生は言う。「今年から、一年生は入学後、すぐ生徒会に立候補出来る。今は暫定生徒会だ。各クラスから一人は頼むと言われている。」
クラス皆が黙り込んだ。
「誰もおらんのか?」神原先生は言う。
郡上知春は静かに手を挙げて謂う。「はい、僕がやります。」
突然クラス全体から、拍手が起きる。
神原智和は女の子であることを隠して入れた、知春を生徒会に入れるのは正直言って不安だったが、本人の立候補したので当選したら、やらせる事にした。
帰り道、郡上知春は同じクラスの天津田啓介と話す。
天津田さんの身長は私(知美)そう変わらないくらいだ。
天津田さんは言う。「知春さんってどこに住んでるの?」
郡上知春は答える。「今は、琴塚のアパートで一人暮らしだよ。あと、あだ名で良いよ。」
天津田啓介は言う。「じゃあ、・・・・って思いつかないわーーーあだ名考えるの、俺苦手なんだよね。」
郡上知春は言う。「ごめん、なんか変なこと、言っちゃって。」
天津田啓介は言う。「いいよ。別に。大丈夫さ。心配ないから。」
郡上知春は言う。「じゃあ、天津田さん・・・これからケイちゃんって呼んでいいかな?」
天津田啓介は「ケイちゃんはありきたりじゃないか?啓介でいいよ。」と言った。
郡上知春は言う。「啓介さんはどこ住なのですか?」
天津田啓介は答える。「俺は鏡島の方だ。」
しばらくすると、車内アナウンスが流れた。「間もなく、千手堂 千手堂です。お忘れ物なさませんようにご支度下さい。」
天津田君は言う。「いっけない、降りなきゃ。ここで乗り換えだから。」
「またな知春。」天津田君は言う。
知美は言う。「またね啓介」
ドアが閉まった。
丸窓の紅白電車は終点(新岐阜)を目指した。