先輩の生存確認をしに(芽妹)
爆音。
数学の授業をしていた路野江先生が自習だと言い残し教室を出ていった。それと入れ違いにムースが教室に入ってくる。
「バクハツはタモクテキシツだソウデスワ!おそらく、タルトやユウさんガイルトコロ……!」
なっ…………
俺は隣で寝ている梨乃を起こし、ムースと3人で教室を出た。
教室は爆音のこともあり騒がしく落ち着いてなんていなかった。普段仲の良い俺と梨乃が2人で教室を出てもだれも気にしなかった。気にする余裕がなかったんだろう。
まさか先輩たちが……そんなわけないよな……
「暗い顔してもしかたないです。梨乃は先輩方を信じてます。」
「ソウデスワネ。サキホドまでタルトとオハナシしてマシタが、とてもイイコデシタワ。」
「……うん、そうだね。俺が暗くちゃだめだ。」
多目的室に到着。ドアは開いていた。中に一歩入ると血の匂い。かなり強烈に。
すぐ目に入ったのは先生だ。確か……松原先生。床にめり込み、来ているYシャツは所々赤く染まっていた。
「松原先生!?梨乃が松原先生のことやるから、芽妹は先輩探して!」
「おぉう。分かった!」
教室の後ろの方に向かう。すると、ユウ先輩が倒れこんでいた。
少し離れたところにタルトもいる。
「タルト!イキテマス!?ダイジョーブデスノ!?」
そっちは任せよう。
「先輩……生きてます……よね?返事……してください……。」
思いの外、声が出ない。どうしようかと思っていると、
「松原先生!!水森くん!!」
元気な声が。
「あっ、あなた確かチュニ部の夢里さんね!?松原先生運ぶの手伝ってくれる!?」
「は、はい。梨乃は大丈夫です。」
2人によって、松原先生が運び出される。
「ん……うぅ……あれ?……えっと……芽妹……?」
「先輩っ!……良かった……良かったよ……。」
先輩が目を覚ました。本当に良かった。とりあえず死んでない。
「メイ。トリアえずホケンシツ、イキマショ。」
「うん、そうだね。」
俺はムースに賛成してユウ先輩をおぶる。ムースもタルトをお姫様抱っこしている。
俺達2人は保健室を目指して歩きだした。