闇を宿す少女(ツユ キ)
私は眼帯を外す。『我の私』はどこかに飛んでいきそうだ。体全体にビリビリと電気が走ったみたいになる。でも、今はそんなことあまり気にならなかった。
それよりも、
「……許さない。」
私は左手に闇を生み出す、と同時に細かい闇の粒を校長に向かって飛ばす。粒は校長に当たると同時に小規模ながらも爆発を起こす。
私は間合いをとるために窓の外に飛び出した。と、爆炎の中から炎を纏った校長がこちらに向かって飛んで来る。
空中では避けられないので受けようと闇で防壁を張る。が、私は防壁ごと吹き飛ばされる。
地面に叩きつけられた私が校長の方を見ると巨大な光を発しておりそれをこちらに発射。レーザー光線のようだ。
私は地面を蹴り避けようとする。が、先ほどの衝撃で足が動かない。闇では肉体強化はできない。特に怪我に関しては闇ではどうしようもない。
………まずい。
死ぬ……怖い…………ユウ……
私は目を閉じようとした。しかし、レーザーは私に当たる前に軌道を変え上空に打ち上がり――消えた。
気配に気づいて後ろを向くとあの3人がいた。
「……露季ちゃん!!……」
「柄闇……なのか?」
「うわっ!?ウチ、あんなの見たことない!」
3人が駆け寄ってくる。
「……露季ちゃん……とにかく逃げよう!……あれ?……2人は……?」
「まだ、多目的室に……。イタッ……っ。」
「じゃあウチ2人を……いや、3人を避難させてくるから!」
砂川さんが走っていく。
「じゃあ、俺が校長を……」
しかし校長は消えていた。誰か来るのを恐れたのだろうか。
「……いなくなったな。」
「……とにかく……保健室……!」
「あ、あぁ。そうだな。」
「…………すまない、2人とも。」
私は謝った。あの3人が無事だといいんだけど……。
「……謝らないで……とにかく……手当……」
「3人と合流もしないとだしな。」
2人に肩を貸してもらい私達は保健室に向かった。