呼び出された4人(ユウ)
~多目的室~
とりあえず、来た。
鳥越君、 石町さんの2人が来ていた。
砂川さんはまだ来ていない。先生もまだ来ていない。
……露季が来ている。
「なんで露季がいるんだよ。」
僕はつっこむ。
「いいだろ、我だって何なのか気になるんだ。隠れてるからいいだろ。」
「うん……そうだね……隠れてれば……大丈夫……。」
「いいのか?教室で柄闇がいないとまた騒がれるぞ。」
「そうだよ、露季がいないとまずくない?」
僕達は3人でつっこ……石町さんが肯定している!
「いや、隠れてもだめでしょ!バレたらまずいって!」
「……大丈夫……。」
石町さんが露季の肩に手を置いた。その瞬間、露季の体が消えた。
「ん?なんだ?我はどうなった?」
声はする。そこにいる。気配もする。だが、見えない。
「まさか、精霊の……。」
僕は思わず声を出した。
「そう……これが……私の能力……触れたものを透明にできる……本当はちょっと違うけど……」
「おおっ!これならバレない!見えない!まっちーありがと!」
「えへへ……クレープ……姿……見せられる?」
「……しかたがナイ、ミせましょう。」
その声と共に姿を現れしたのは、ベレー帽を被った金髪ツインテールで真っ白なドレスを着た女の子……
「ミーはクレープ……セイレイデス。」
「ほぇー、この子が石町さんの精霊か……。」
「我も驚いた。それに……普通に可愛いな。」
「なら、俺の精霊もみんなに紹介したい。いいかな、ワッフル。」
「アァ、リョウがイウならな。」
そう声がして現れたのは、赤いオーラのようなものを身に纏った
、赤いマントと赤いバンダナをつけた全体的に赤いヒーローのような姿をした精霊。
「オレはワッフル、モチロン、セイレイだ。」
「かっこいいね……スーパーヒーローみたい……。」
タルトも紹介して上げたいな……と思ったその時、ドアが開いて、
「ユウゥくゥゥゥゥゥゥん!!」
と、タルトが飛びついてきた。
「アノね、ムースがね、ナカヨくシマショウダッテ!」
「おおっ!良かったじゃん!」
心配だったけど、大丈夫だったならよかった。
さて、気を取り直して。
「えっと、この子がタルト。僕の友達だよ。」
「ヨロシクネェ!」
「かわいい……ふわふわしてる……。」
「なんとも可愛らしいやつだ。」
「……ずるいぞ、我だって……」
そんなこんなやっていると、ドアが開いた。
「あ、集まってる?あれ?砂川いなくない?」
松原先生が入ってきた。と、後ろから
「ごめんなさぁい!!遅れましたぁ!!」
元気な声だ。
砂川 薫さんは一言でいえば元気。良く言えば元気。悪く言えば元気。とにかく元気で活発。どうも進先輩と馬が合うらしく、昼休みに会って情報交換してるんだとか……。
友達も多く、露季とも仲が良い。
「ごめん先生!ウチ遅れた!」
「あ……うん。いいよ。大丈夫。今から話するから落ち着け。」
思いの外松原先生は落ち着いていた。でも、少しいつもとは口調が違う気がする。
「恐らく、お前ら4人は……出てこい柄闇。」
「…………」
「柄闇……その椅子の影にいるよな。」
「……わ、我はいないぞ……」
「……なんで……?」
「柄闇さんになぜ気づいたんだ?」
「……露季は……見えないはず……だよ……?」
「えっ、えやみんいるの?」
透明な上に物陰に隠れてる。ここからでも見えないけど……。
「……はぁ。とりあえず話をするぞ。4人は昨晩、精霊に会った。だろう?」
「……うん……。」
「はい。夜ですね。」
「うん。」
僕も返事をした。
「そうだぞ!!ウチ契約した!!」
……元気すぎる。
「そうだろう。そのことについて話がある。君達が契約した精霊達は、絶対に大事にしろ。それが第一。」
……突然呼び出して、あたりまえのことを……
「当然です!」
「あたりまえだよ!ウチらはもう仲良しだし!」
「……もう……大事だよ……?」
「もちろん。」
「……よし、次だ。たぶん君達は精霊と契約して能力を得ているはずだ。その能力。決して道を外れた使い方をしないこと。」
……それは……僕は……
「先生!我のことも含めて、なぜ先生は能力を持っている4人のことがわかったのだ!我はしっかり隠れてたぞ!」
「あー……うん。フェアになるべきか。うん。」
なんのことだろう?
「いやー、あのな、先生も能力を持ってるんだよ。」
………………
「えっ!?」
「なっ!!」
「っ!!」
「……ふぇぇ……。」
「先生もなのか……」
5人とも驚いた。突然の告白。
でも、先生の傍らに精霊らしきものはいない。隠れているのだろうか?
「あー、それでな、うん。」
先生は続けた。
「簡単に言うと、先生の精霊は死んだ。うん。」
……誰も声を出さなかった。出せなかった。そんな……
「でな、つまり、精霊が死んでも能力が残るんだよ、多くの場合。それを利用して精霊と契約して殺してまた別の精霊と契約……てなことをする奴がいるわけ。お前らにはそうなってほしくないんだ。」
「……大丈夫……私達なら……。」
「そうですね。俺達の心配は無用っすよ。」
「そんな悪いことするやつのことウチ、許さない。」
「タルトを殺すなんてできないよ。」
「そうか。なら、いいんだ。良かった。うん。」
いつもの松原先生に戻った。
「さて、じゃあ石町と鳥越と砂川は教室戻れ。次はちょうど良かった柄闇に話がある。」
言われた3人は多目的室を後にする。
「我にか……?」
露季の顔には?が浮かんでいる。
……僕はいなくてもいいのではないだろうか。そんなことを考えていると、
「あー、ほらその、柄闇と水森は幼なじみだろ。」
「幼なじみっても……我は……」
「まぁ、いいから、水森もこっちに来て。」
僕は先生に呼ばれたので先生と露季のいる方へ向かう。
なぜ僕まで?という疑問はあるが、呼ばれた以上行くしかない。
タルトもいるし、大丈夫だとは思うけど……