~ユウとタルトの出会い~(ユウ)
「ヤッホォー!」
そいつは、突然僕の部屋のベランダに現れた。
カラフルな帽子、白と黒が真ん中で別れた仮面。
いうならばピエロ……だろうか?
僕は驚いたけど、叫べなかった。叫べるわけない。これ以上迷惑かけるわけには……。
というか、今何時だと思ってるんだ。もう夜中の2時になるんだぞ。
僕はまだ中学生だぞ。ぐっすり寝てたのに……。
でも、そいつは何かを気にする素振りも見せずに、
「ボクはヒトリボッチなの、キミのナマエハ?」
なんだ、突然来ておいて。
まぁ、それぐらいなら教えても……いやいやダメだろ。
見ず知らずの怪しいやつに……でも……
「ボクはジブンのナマエダケしかオボエテナイの……トモダチもイナイの……」
ひとりぼっちじゃない、友達がいるだけ僕のほうが恵まれているだろう。
だからだろうか、放っておけない。
「僕はユウ、水森ユウだ。」
そいつの顔は花が咲いたようになり、
「ボクは……タルト……タルトだよォ!」
タルトは嬉しそうに答えた。
「ヤッタ!トモダチだ!ハジメテのトモダチダァ!」
声がでかい。喜んでくれるのは嬉しいけど、今は深夜だ。
僕はタルトに帰るよういった……んだけど、タルトは精霊らしく、
契約を結んだら契約主と一緒にいないといけないらしい……
っておい!
「契約!?」
僕は思わず声を上げた。しまった、叔父さん達を起こしてしまう。
「タルト!契約ってなんだよ!」
僕は声をひそめてきいた。契約なんてした覚えがないぞ。
「……?」
タルトは首をかしげ、その後、
「ダッテトモダチでしょ?」
いやまあ、友達にはなったけどタルトにとっての友達は契約なのか?
「えっと……タルトのいう友達っていうのは……どういう……」
「トモダチってイウのはーナカヨシでーイツモイッショってコトダヨ。」
……うん、あー、そっか。
「わかった!タルトはこれから僕の友達だ!」
もはや半分自分に言い聞かせるようにしていった。
とりあえず……寝よう。明日も学校だ。
「あ、ボク、ユウくんとイッショにネタイ。」
……しょうがないな。
僕は無言で布団の中で半分ずれた。布団は1枚なんだ二人で分けることになる。
正直さみしかったからちょっと嬉し……
何を考えてるんだ僕は。
「~♪」
タルトが喜んでるからいいか。
「おやすみ……」
僕はタルトにきこえているかも分からないくらいの声で……
すぅ……