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和解と元カノ

「よお!王子様!」

俺の友人、宗石恒雅(むねいしこうが)は始業式が終わるとすぐさま俺を冷やかしに来た。

「彼女がいるにも関わらず女の子をお姫様抱っこするなんて驚いたぜ。」

そうか、俺と愛莉が別れた事を知ってるやつはまだいないのか。

「実はな、俺と愛莉は夏休みの間に別れたんだよ。」

「っ!だからってすぐに新しい女をつくったのか…お前最低だな!」

しまった。確かに今の流れなら自然とそういう解釈になるよな…

「違えよ!俺は単に別れたという事を伝えただけだ。さっき筑紫先生も言ってたろ?幼馴染だって。」

これだけ普通に嘘を言える自分が怖くなってくる。まあ実際付き合ってる訳じゃ無いし問題なか。

「いやでも幼馴染から色々発展するパターンとか結構あるよ?」

「俺はあんまり聞かねえけどな。」

「俺は色々知ってるぜ。例えば彼女の隣で幼馴染とあんな事やこんな事をするとか…」

「お前が見てるエロ本の話は聞いてねーよ。」

と、俺がツッコミを入れた時、愛莉が俺に近づいて来た。

「あのさ、優気。茅野さん勘違いしてたんだって。優気と夏日ちゃんが友達だって知らなくて彼女と思ったみたい。私も優気の事を信じてなくてごめんね。」

愛莉がモジモジしながら言ってくる。可愛い。

それより、美咲のやつ本当の事を言わなかったのか。美咲のイタズラな笑顔が頭に浮かぶ。それでも愛莉と仲直り出来たんだ、許してやろう。

とりあえず仲直り出来たなら俺がするべき事は一つだ。

俺は愛莉と真正面で向き合うと、愛莉に直球を投げた。

「なあ愛莉。誤解が解けたならさ、また、俺とちゃんと付き合わないか?」

すると愛莉は頬を染めながら少し考えて、

「どうしよっかな。別れてから優気何も連絡くれなかったしなぁ…それに茅野さんの悲しそうな顔を見てると何だかね。とりあえずまた友達からやり直そうよ!」

これまさかもう結構冷めてる系ですかね。いや、違う。違う筈だ。愛莉は察しが良くて性格も良い。美咲の悲しそうな顔を見て遠慮しているのだろう。

「じゃあ私は職員室に用事があるからそろそろ行くね。」

「あ、ああ。」

愛莉の後ろ姿を見て俺が悲しんでいると、恒雅が高笑いをしながら言ってきた。

「リア充爆発!メシウマだわ!」

くそ。恒雅め。でも貴様は俺の周りに大量のフラグが散らばっている事を知る由もない!


放課後、俺は夏日と一緒に帰っていた。小学生の様に荷物持ちゲームをやりながら。

夏日が「荷物重い、疲れた」と言うので俺が提案した。俺は昔から不思議とじゃんけんが得意だったので、じゃんけんで負けた方が勝った方の荷物を持つというこのゲームでは俺が有利だと考えたのだ。

でも何故だかずっと負け続けている。やっとまた信号が赤になったのでまたじゃんけんをするのだが…

「よし夏日、またじゃんけんだ。」

「もうやめませんか?だんだん優気さんが可哀想になってきたのですが…」

「いや、駄目だ。ここまで負けたら夏日を荷物を持たせるまで終われねえからな。」

「じゃあいくぞ。最初はグー、じゃんけんぽんっ!」

俺が出したのはチョキ、夏日はパーを出していた。よし、やっと勝てた…

「さあ夏日、俺の荷物を持って貰おうじゃないか。」

俺は夏日に鞄を持たせる。俺の鞄は帰宅部のくせに運動部並みに大きい、そして重い。

夏日はひぃひぃ言いながら俺の鞄を甲斐甲斐しく持っている。いかん、背徳感が…

と、そんな快感に浸っていると、前から美咲と愛莉、そして何故か恒雅が楽しそうに話しながら歩いてきた。

まずい、この姿を見られると色々とまずい…早く夏日から荷物を返して貰わないと。

そう思った時には既に遅く、女性陣2人が俺の事をゴミを見る様な目で見てきた。

「いやなに、これはその、あれだ。小学生の時によくやらなかったか?じゃんけんで…」

そこまで言うと、愛莉と美咲が俺の言葉を遮るように言ってきた。

「「最低だね」」

その言葉は本気ではなかったが、それでも少しばかり最低という自覚があった俺にとっては重い言葉だった。

その俺の心中を知ってか知らぬか、恒雅が話し出した。

「まあまあ2人とも。友達ならこれぐらいするだろ。ここは俺が優気の荷物を持ってやるからさ。」

あ、くそ…さりげなくカッコつけやがって…

するとそれに便乗するように、美咲を話し出した。

「夏日ちゃん可哀想に。私もこの何故か重い荷物を半分持ってあげるよ。」

なんだよ!みんな揃って俺をいじめやがって!

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