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超常現象診断士の日常3 偽りの記憶と永遠の少女

作者: 真希人

 今回の事件は僕の完全敗北である

それ故この事件をきっかけに

呪い屋、加持統夜と組んで仕事をする

きっかけになった物語でもある。


 これも僕の仕事の宿命か

それとも報いか

超常現象診断士でありながら

幻覚が見えて仕方がない。


いままで一部の相談者が味わっていた、他の誰にも理解されない苦しみを体感している。


8月16日日曜日


 閉め切れていない

扉や引き出しの隙間から

大きな一つの目玉がこっちを見ている

ゴミ箱から白い手が出てきて

手招きをしている

耳元では「助けて」とか「ひひひ」とか

幻聴が聞こえる。


でも僕は解っている

何故なら相談者にも

こう言っている。


「あなたが見ている幽霊は

脳が作り出した錯覚にしか過ぎない」


じゃあ僕が見ているものは

錯覚なのだ

解っていても

ちらちら見えたり

目の前に急に現れたりすると

さすがに嫌になり

大分精神的に参っている。


仕事柄、知り合いの精神科医に見て貰ったが

僕の心霊対する持論を知っている彼が

こう言った。


「疲れが溜まってるんだよ、過労だね

一応,薬も出しておくから、しっかり休めよ」


 さらに帰り際

「まさか、本気で霊の仕業なんて言わないでくれよな、はははっ」

と白々しぃ笑いで送りだしてくれた。

大概は薬を飲めば多少なりでも和らぐはずが

帰ってパワーアップして、見えて聞こえる時間が

多くなってきた

これではさすがに

やりきれない。


 ともかく今の現状を否定したくて

暗い部屋の真ん中で、椅子に座り頭を背当てに乗せ、上を向いて目を瞑り

ひたすら自分に問いかけた。


何が自分に起きたのだ

自分は何の仕事してる

さらに問いかけた

こんな時はどうする

いつもならどうしてる。


幻覚が初めて見えた日は確か

日記に残したはずだ。


と言うことは、それより前の記録を見れば

何があったか一目瞭然ではないか

こんな事に気付かないなんて

よっぽど追い込まれている。


そう、記録魔である僕は、ようやく解決の糸口が見つかり

ようやく、調査を始めた。


自分の事は、自分が誰よりも知っている事に気付いた、記録する事

僕はは、記録する、仕事上相談者からの内容について、最初の相談を聴く所から、相手の了解を得ることが出来たなら、ビデオカメラを回し、日記とは別に業務日誌もボイスレコーダーを併用する

 ともかく記録し残してきた「うどん食べたいな」みたいな、独り言すら残されていることもある。


 ならば、幻覚を

視始める前から記録をたどれば必ずたどり着く、

幻覚はたしかに、僕に見えているそれには必ず何かしらのサインまたは原因があるはず

僕は、幻覚が見えるようになった、日付を発見する

8月9日21時頃1週間も前だ、こんなにも判断力が衰えているとは、ともかく、この日より前に必ず原因があるはず、徹底的に探すしかない、

私は、取り憑かれたように作業を進めた。

 

 一週間前のある日のボイスレコーダーに釘付けだった

なぜなら、業務日誌も、日記にも、ビデオカメラにも無い、信じられない内容が録音されていたからである。


 差し替えられた記憶、偽りの思い出と、言葉にすると、普通の暮らしをしている人間にはあまりにも無関係で実感が湧かないが、自分はどうやら普通では無いらしい!

幻覚が見える原因を探って自分の記録を遡る、大量の紙、ビデオのデータ、そして写真その中には無かった、今の自分には無かった記憶、いや記録だ

それは、ボイスレコーダーの中にあった、完全に消えていた記憶が、そして、この幻覚が見える手掛かりがあった。

それを確認して、僕なりの答えを、まとめ終わる頃には朝日が昇っていた。


 外から

「カッ、カッ、カッ」と

ハイヒールの足音が聞こえる。

 これは幻聴では無い

この足音の主は、八坂真知子

身長が低いことを気にして

常にハイヒールを履いている

現在18歳、僕の助手兼事務員である。


 高校1年の時に自分の悩みを相談しに、この超常現象総合相談所に、依頼者として来たのだ

その後、ここが気に入って

毎日ここに来るようになり

高校卒業後、正式に雇うことになった。

 休日まで毎日この相談所に来るのだ

新しい髪形や買った洋服、手作りしたお菓子を持って

僕に見てもらうためだ。

「拝先生、髪形を清楚で可愛らしいふんわりボブにしたんだけど、どうかな?」

自分で言わないと気付いてもらえないと先日文句を言っていたが

いつものことである。


「おはようございまーす」

いつも元気な彼女の声が聞こえた。


「だめですよー、いつも言ってるじゃぁないですか

30分前には明かりもつけて準備してくださいって」

仮眠が出来る奥の部屋から

のそのそと出てきた僕は

「おはよう」と

声をかけた。


「真知子ちゃん今日は営業しないよ」


「拝先生大丈夫ですか」


「顔色真っ青だし凄い寝癖ですよ」

 

「実は結構ピンチでね

幻覚見放題、幻聴24間フルマラソンはっきり言って 

限界が近い」


「病院に行って薬を貰って飲んだら経験上大分和らぐ筈なんだけど

今回のこれは全く歯が立たない

薬を飲む前より、頻繁になってしまって手に追えない。

それで、こうなった理由が解って、頼みたい事があるから、良く聞いて欲しいんだ」

 

「どうやら僕は記憶を消されたか

封印されたようだ

おまけに幻覚や幻聴が見えるように

仕込まれたようなんだ」


「ある日の記憶が消えている 

ごっそりとね、

だけど僕は仕事上、記録を残すことに気づいて

遡ったんだ記憶、いや記録を

すると一週間前に

1日分丸々記録していない日がある」


「そして、僕自信、問題の日は何も忘れて覚えていない

その日は、恐らくは相手に気を使って

ビデオは回していなかったが

黙って使用したボイスレコーダーの中に、何があったか辛うじて解る事か録音されていた

どんな事を、されたかが解る手掛かりがあった」


「ただ、何をしてどんな方法で催眠をかけてたが全く解らないんだ。

うまく消されてる、嫌、表現が良くないな」

「当日の前の記録から、とある人物と会う約束をしていた

今の時点で、当日彼と会った記憶はないし、その日の事全て忘れている

僕が会おうとしていた人物なら催眠による記憶の操作は可能なはず

問題は、どうやって、どんな内容の催眠を僕に仕掛けたのか

ボイスレコーダーから解ることは」

「あの男は人前で堂々と僕に催眠をかけた

かなり高度な技術で人前でやってのけたんだ、誰にも気づかれずにね」


「ひとつも思い出せないのですか?」


「ボイスレコーダーで録音された情報では足りないんだ

あの男は、身ぶりや、手振りで、もしかすると眼球の動きでも催眠を掛ける事が可能なのかもしれない

ともかくあの男に出会う以前と出会ってからの記憶を取り戻したい」


「どうやって取り戻すんですか」


「君が僕に催眠を掛けるんだ」


「私、催眠をかけるなんて、自信ないです」


「僕自信が、最初の誘導と初期の段階まで自己催眠で掛けてしまう、後は君の普段の僕の助手としての観察力がためされるけど

君なら大丈夫、保障するから」


「細かいやり方と質問は、ここに予めこのノートに書いておいた 

後はいつも通りビデオカメラで記録した後に確認すれば問題無いから

悪いが緊急を要するので

質問は無しだ」

そう言って僕は、準備した部屋のソファに座った。


今回の相手は危険なのかも知れない真知子はそう思ったと

以下の文をこのノートに書いていたから

拝先生を苦しんでいる姿を見るのは初めてだ

いつもなら、大概の事は準備済みだから、心配しなくていいと

言ってくれるのに

私のかけがえのない人

特に拝さんの優しく、お節介、でも諦めが悪い所が気に入ったのだ、いつも、大きめの茶色でよれよれのテーラードジャケット

頭は寝癖があってずれたメガネがワンセット、ちょっと頼りなさげに見えるけど、決めた時の先生の熱い視線に萌えている

だから負けないで下さい。

私が何か出来るのであれば全力でお手伝いします。

我ながら、恥ずかしいことが書いてあったが、これが彼女の持ち味だ

もちろん、負けるわけにはいかない。

「拝先生、準備できました」


「カメラの準備出来たかい、では、始めよう」


 あっという間に初期の誘導が終わっている

普段にはない、兆候だ。

今の僕は、幻覚や幻聴が見えやす状態にあるから

掛かりやすくなっているからか

たが耳障りな幻聴は変わらず聞こえている。


「拝先生大丈夫ですか」


「あぁ、すまない進めてくれ」

何て事だ既に初期催眠を超えた

段階に来ているはずなのに

幻聴が聞こえる

若干、不安を覚えるが、状態で行うしか無い

「真知子ちゃん初めてくれ」


「では開始します

拝さん、改めて深呼吸をしましょう

吸って吐いて繰り返すうちに

だんだん気持ちが良くなっていきます」

「そして

昨日の出来事、思い出せますか

何を昨日の夜食べましたか?」


「何も食べていません」


「では、だんだんと遡り先週の月曜日は何をしていましたか

約束をされていませんでしたか?」

「誰と

どこかに行く予定はありませんでしたか?」


「どこに?」


「それは東京ではありませんでしたか?

どうでしょう何か見えてきませんでしたか、少しづつ見えて来たはずです」


 東京?

あの日僕は何を……

そうやっと思い出した

太陽が照りつける中

ようやく辿り着いた


 国際〇〇商業コンベンションセンタービルの正面が総ガラス張りになっていて

太陽光を反射することにょって

眩しい、光の中に入っていくようだ。

 中はしっかりとエアコンが聞いていて

まさしく都会のオアシスのようだった。

 そしてロビーで周りを見渡すと、一人の白いスーツの初老の男性が白い帽子をとって

お辞儀をされたのが見えた。

初めて会うはずなのに、僕もあの人だと確信し、お辞儀を返した

だが右手のステッキを持ち、反対側の降ろされた左手は眩しい光にによって

初老の男性には左横は全て光で何も見えなかった

ここに肝心な何かがある。


「真知子ちゃん

もう少し深く催眠を掛けたい

まだこの状態でははっきり見えないんだ

これ以上深く催眠を掛けると会話が出来なくなってしまうが

支持は先程のノートの8番にやり方が書いてある

君を信じてる

この先にに真実があるんだ、やって欲しい」


「わかりました。8番ですね」

私が数を逆に数えるごとにあなたは、より深くその日の事を思いだ出します

10,9,8,7,6,そうですだんだん深く、体は重く、暖かくなっていきます

5,4,3,そして逆に頭はすっきりとして、思い出していきます

そういって額に手を添える2,1

「初老の男性は見えますか

そして左側にあるものがだんだん見えてきます

だんだんはっきりと」


その姿が見えてきた

12.3歳ぐらいの女子が初老の男性がに手を引かれている

近づいていくと

「あなたが拝さんですか」


わたくし本城○○といいます初めまして」


「こっちは助手で娘の○○です」


 なぜだが名前の部分がはっきりしない

彼女は父である本城さんの顔をじっと見ていたが

ハッとしてこっちを向いて挨拶をした。


「本城○○です、よろしくお願いします。

こちらを見ることなく父の顔色を伺っていた。


「よし、ちゃんとできたね」

 笑顔で娘をみる本城さんは嬉しそうだが

同じ笑顔でも娘さんの笑顔はなぜかこわばっていた。


「人見知りで申し訳ない、しばらくすると慣れてくはずだ」

こんな感じで少しずつ記憶のピースは

埋められていったが。


肝心なこの状態になる原因の根本的な問題を知る事で

自分が敵に回した男の破格の能力に驚嘆し

また、解決に向けての方法が自分一人で解決出来ないことを

知ることになった。


 そして僕は

廃寺に住む黒いカラスに連絡をすることになった。



 とある町の一角に

寺があったが

何らかトラブルで住職は

僧職を辞め

この町を出ていった

そして、廃寺になった。


 そこへ、ある男が住み着いた

近所の話だと

昼間はまったくといって

見かける事はなく

夕方から夜半に掛けて

1回ぐらいは見たかしらと

皆が口を揃える。


 見かけは

寺だが

表の看板は

奥出雲流鹿島道場となっては

いるが

何をしているかはさっぱり解らない。


 出で立ちは、全て黒である

ジャケット、スラックス、革靴

色白の肌が一層際立つ

長身細身だか肩幅はある

人相は整っているが

際立った特徴がないのか

印象が薄い

下手をすれば全身が黒の男としか

思い出せないだろう。


その男は書斎の座卓の上に

パソコンを置き画面を見詰めながら胡座を組んでいた

愛用の10年物のガラゲーが鳴って

電話に出た

「呪い屋の加持さんですか」

余り聞きなれない声である

俺は呪い屋の加持とはセットで宣伝していていない、

「どなたかのご紹介でしょうか」

 何のことはない、とある一件でであった糞野郎だ

思わず切ってしまうところだったが

あの時とは違い丁寧な言葉づかいだったので

仕方なく聞いてやった、

「どうしても頼みたいことがあります

あなたしかお願いできる人がいないです

謝礼はしっかりお支払しますので

お話を聞いて貰えないでしょうか」

 前回のあいつの対応から考えても気持ち悪い限りだが

謝礼をたっぷり

しっかりと言う言葉にまぁ、こう答えた

「言って見ろ」

 ところが電話では、人の命関わることだから

会って話したいと、それもすぐに会いたいと 

もう少ししたら、伺うと言う

こちらの状況はお構い無のようだ

だが、それだけ急を要するということだろう。


1時間後、ガラゲーが鳴った


「ぁぁ、本当に来たんだな」


「チャイムか聞こえている

昼間は居ない事に成っている」


「会う約束をしたはずだと、俺はてっきり悪い冗談だと思っていた

解った何度も言うな

今行くさ。」


何を考えて

俺の所に来た

まぁ、人の不幸は蜜の味だ

からかい半分で聞いてやるか。

俺は牛歩戦術で玄関へ向かった。


お寺の本堂で、向かい合わせに座って、せんべいをかじりながら聞いてやった

「ばり、がり

お前、頭がどうにかなったのか」


「なったかもしれません」


「この俺に頼みがあるだと

俺の仕事のことを言葉遊びだと抜かした奴が何言ってるんだ」


「君でないとダメなんだ」


「余計に気持ちわりいぜ」


「実は、このままでは

僕は気が狂って死んでいまうかもしれない」


「それは結構なこった

それなら俺は喜び勇んで派手に祝うことにするか」


「だからこそ、頼むんだ」


「はっきりしねぇなぁ

何をどうしたんだお前は

俺の納得の行くように説明して見ろ」


「事とお金次第では聞いてやるかもしれん、まぁお前が相手では、端から聞く気はないがな、この糞野郎」


「500万出すどうだ」


「何!500万だと

何がどうしてそんな大金を出す」


「まっ、しょうがない、聞いてやろう前向きに」


「ははっ、解りやすいだがら頼めるんだ」


「気持ち悪いし気分も最悪だ、早く喋って俺を楽にしろ」


「実は、僕に呪いをかけてもらたいんだ」


「はぁ、お前何を考えている」


「まさか、今回も俺を罠に嵌めて笑いものにするつもりだなぁ」


「ちゃんと理由もあるし、今問題を抱えている

ひとつは、今も幻覚が見え、幻聴が聞こえる、見えていけない者達が

僕を取り囲んでいるんだ」


「さぞ賑やかなだぁ

だがお前にとっては、そんなものは言葉遊びだろう」


「それは時と場合による

基本的な対処は言葉遊びにあるわけじゃない

ちゃんと専門の病院で治療を受けることだ

今回は僕も病院に行って診て貰らったが

普通ならそれで

和らげることができるはず、それにもかかわらず

薬を飲んでいるが、日が経てば経つほど悪くなっていく」


「では、呪いではダメだろう」


「人の話を最後まで聞け」


「何様だ、頼んだのは貴様の方だろうが」


「話せと言ったのあなただ、最後まで聴く義務がある」


「うるせぃ、話が長いからだろうが」

「そしてもう一つの問題は

記憶が無い」


「はぁ、今、ちゃんとここに来てるってことは

一部の記憶の話か」


「そう、消された記憶

消された、きっかけや原因すら覚えていない。」


「それで結局どうなんだ」


「実は催眠を自分にかけて

記憶を遡りある程度掴んだんだその消される時の状況を」


「器用なやつだな、自分に催眠をかけたのか

全部、自分で何とか出来るだろう?」


「何とかならないから来たんた、それについては

今から詳細を話す」


 僕は呪い屋に

ボイスレコーダーの音声と催眠から得た情報、問題のあった日の前の記録

そして、それを踏まえて新たに裏ルートで確認をとったことを

しゃべり始めた。


 その日は、まだ夏の盛りで

私はある事確かめるために、実験を予定していた、それには絶対に書かせない人物と合う予定をしていた

 その業界では、かなりの実力者でその業界をまとめる団体からの推薦を受け、協力をお願いしていた。 

それは、催眠術師で名前は本城元正と紹介された天才催眠術師、噂では表舞台には決して出ることは無いが

出会った人物が声を合わせて言う、「催眠術と聞かされていれも奇跡としか言いようがない」と

詳しいプロフィールは立場上安全面で答える事が出来ないとのことで、名前のみの紹介だったが

 そばには、小学生高学年ぐらいの可愛い女子を連れていた

娘で助手を務めるという

名前は玲子

ただ僕はその少女に違和感を覚えたのだ。

 ぎこちない笑顔

普通に何気なく接していれば

何も問題が無いだろう。

 しかし、父親の呼びかけに

反応が遅いのだ

全ての問いかけに遅いのでは無く

彼女自信についてだ。

名前。

年齢。

 聞かれればまるで誰かに確認しながらの返答だ

正し、その瞬間の感情からでる表情や言葉に送れはない。

 これは

もしや、彼女は本城氏の娘を演じているのではなかろうか

そんな疑問が頭を過った。


そこで、こんな質問をした。


「今日はどこから来たの、お母さんは来てないのかい、兄弟はいるの」

彼女の瞳はある方向動いたり、僕の方を見たり定まっていない


「私は……」

彼女は、一瞬答えが詰まった。


「母親は病気で亡くしてしまい、娘は一人で兄弟はいない」

本城氏が代わりに答えた

「どうしてその様な事を聞かれるのかな」


「いえ職業柄、本城さんのように個人情報特定できない方は稀で遂癖で、

お嬢様なら答えてくださるかと思いまして」


「ほう、それを知ってどうするおつもりでしたか」


「実は名前の収集はもちろん有名な方であれば

占術のデーターとして聞いてしまう癖がついていて

失礼しました。」

「なるほど、熱心な事ですがあまり関心しませんね、必要以上な関わり余計な摩擦を生みますから」

本城氏の瞳が鋭くなりこう続けた

「拝さんあなたは賢い方のようだが、それが長所でもあり短所にもなりうる何事もほどほどがいいですよ」


「ここまでがボイスレコーダーと僕が得た情報を照らし合わせて補完した内容、実は、当日どうやって戻って来たかも覚えていない。

ただ言える事は」


「本人では無く娘さんの秘密に探りを入れたのが

間違いだったようです。」


「僕は確実に命のカウントダウンを始めている」

このことは真知子ちゃんには伝えていない


「幻覚、幻聴の頻度は増え今では、夢の中まで

押し寄せてきて、今ですら囁き声が聞こえる

わずかだが自己催眠と普段から自己防御のスキルが

時折平穏を取り戻す

しかしだんだん平穏の時間は短くなり

一人でいる時間は発狂寸前だ」


「明日、あさって如きでは、くたばったりはしないが

1ヶ月後には正気を取り持って要られる自信はない」


「ヤラれすぎだ

相手を舐め過ぎだ

そして、全然面白くない」


「解った、もっと話せ

この俺がお前を

呪いたくなるように」


「相手は誰だ?」

「本城元正、天才催眠術師、現代日本における最高といっていい催眠術師

年齢は70を超えていたはずだが

出身地も出生年月日も今現在正確な記録がない

ただ、30代ぐらいから催眠術師として数々の

奇跡を起こした記録がわずかだが残っていた

瞬間催眠のスペシャリスト

身振り、手振り、目の動きであった瞬間に催眠をかける事が出来る」


「ちょっと待てそいつは危険すぎる

本当だとすると

無敵じゃないか」

「そうその技術をそういう技術に転用して極めようとすればだ

だが違うんだ

彼の目的は、彼が40代で催眠の世界から消えてしまった」


「それはなぜか

死人を生きかえらせるために自分のすべてを費やしていた」


「なんの為に」


「君は何故、そこまで催眠術を極めたのかという質問をされ

彼は迷わず、母を生きかえらせるためとまじめに答えたそうだ」

「それが今回、僕が虎の尾を踏む結果になったんだ

そう彼が連れていていた少女は、実は今回の最大の問題でね

僕が必死になって裏ルートの普段使わない情報網使って得た情報によると

彼の娘は、30年前に死んでいる」


「間違いないのか」

「間違いないよ、そのための裏ルートだ

これが昔の。その子の写真だ

催眠術のステージに上がっていた事があるんだその時に

撮られている。

こっちが、この前に

出会った時の商業ビルの防犯カメラから

現像化した写真がこれだ」


「まて、ありえんぞ、成長していない

30年もか

まさか、本当に生き返らせたのか」

「嫌、彼女は間違いなく生きていたと認識している

そして、僕は彼女から発している、僅かなサインを見逃さなかった

それは、彼女は自分を理解出来ていなかった」


「お前の話を信じるなら

生き返ったより

別の娘に何かしたということになる

そこには矛盾があるそ

30年も同じ姿で居られるはずはない

やはり反魂の術ではないか

そのほうが姿が変わらないのを説明出来る」


「どちらであるかは別として僕が気がついてしまったため

僕は思わず彼女にそれを確かめる質問をしてしまった

そして、逆に気づかれた、娘に疑問を抱く僕にね

そして釘を刺すどころか

深く知ると命まで取るための

催眠を段階的にかけていた」


「ようやく理解した

だがそれでも納得がいかねぇなぁ

俺が、お前に呪いをかける理由が」


「僕は、心霊現象露骨に全否定しているわけではないんだ

ほとんどの心霊現象が、人間の頭の中の処理の不完全や

高度な自己防衛機能がストレス、恐怖、危機、対して、自分のいいように

処理した結果がで、例えば、死んだはずの祖母が枕元立ったりする現象が起き、危険をお告げのように知らせるのは

いろんな情報を無意識的に集めたり感じ取った脳が、自分の意識が届かないところで

変換処理をして一番大好きだった祖母の姿を借りて、恐らく祖母が物知りで一番自分を可愛がってくれていて

さらに、彼女ならこのような危険の知らせのお告げが出来るだろうと

判断して、夢や意識が混濁した瞬間を狙って

その映像を見たり、聞いたりする、これが、幽霊、お告げ、虫の知らせの正体にすぎない。」


「だが、生霊とか呪いは違うんだ

死者は絶対に現実世界に影響することはできないが

生者は、生きている人間にはまだ解明されていない能力がある

解明されていない力の中に、呪いや生霊がある

人間は、かなり高度な情報処理能力を持ち

自分が意識しなくても敏感にいろんな情報を集めて処理をしている

人の噂や、相手の仕草や雰囲気から意識的には覚えていないだけで感じ取ることができる

他の例を出せば、自分がなにか欲しいと思えば、世界中の誰かが数人が同じように同じものを欲しがることがある

そして発明をすると、他の研究者と同時期に被ることがあるこれはシンクロシニティ共時性という理論で説明しようという

科学がある」


「呪いに置き換えれば、誰かが呪うとそこににはシンクロシティが起き

共通の情報空間を通して伝わるとされている

解明していないのはその共通の情報空間が何であってどんな方法でやり取りされるのか

ただ、この原理が正しいということがわかれば呪いや生霊があってもおかしくないことになる」

「つまり、僕の中で呪いは錯覚とは違い、生身の人間の本来持っている力のひとつで

科学ではまだ解明できていないが、実際に起こり得る現象であると認識している

だからこそ、未知なる部分がイメージをを増幅させる効果がある

ついでに言えば、人間の感情の中で恐怖とはもっとも原始的な感情であると同時に

他の感情を押しにのけて優先される傾向がある

呪いは、死という恐怖の感情を浮き彫りにするため

精神的ダメージを与える効果が高い」


「そしてこれが唯一の高度な催眠術への対抗手段になる

変性意識状態を引き起こすことで催眠状態に人間は入る。」

「僕は今現在常に入ろうとしている

そこへ、呪いがどのようにして割り込むのか

ポイントは的を絞ること

彼の狙いは最終的には何か

最初は記憶の喪失だけかと思っていた

実は違った段階的にひどくなるこれらは

最後に精神を破壊し、死に至らしめる」


「ならば其の

死を限定的に撥ね退けられればいい

つまりは曖昧な条件付けでなく

確信的な死の条件を僕に与えることによって

深い意識の更に深いところに植えつける

それには自分に対して、死という絶対的な恐怖が一番いい

それを呪いで行うことが僕に一番イメージしやすく、効果があるということだ」


「わかった大体掴めてきたが

だがその前に確かめて置きたいことがある

どうやって奴を、待ち合わせの場所に連れ出す積もりだ」


「簡単だよ、前に連絡を取った方法を取る

あいつは、自分に対して絶対的な自信を持っているから

恐らく、連絡する方法は変えていないはず

後は、会わなければ、娘さんの事を世間発表すると脅せば

必ず待ち合わせの場所に来るはず」


「では、話を戻そう、限定された条件付きの極めて悪意の高い危険な呪いで

貴様を縛り呪うことで、貴様のにかけられた催眠では死なないとういうか

死ねないものにすればいい」


「それで限定的なんだな


時間を縛る、場所を縛る、死に方を縛る」


「嫌、全てを重ねて強靭なものして

極めつけで常識ではありえない死に方を貴様に与えればいいという事だ」 


「実に面白い痛快でもある」


「さて具体的にはどうするかだが

実はもう考えてあるんだ。」


「なんだそれは、面白いそのうえで

俺を選んだんだな納得した」

本当に納得したのか、疑問が生じた。

まて俺だったらどうしている

最初の幻覚を祓えるのか

幻覚は、霊ではない

もしかすると祓えないかもしれない

だが誰がやったかぐらいは

解るはずだ俺は天才だからな

となると

必然的に俺は、催眠をかけた奴を呪い殺そうとするだろう

だが俺にかかった催眠は解けるわけではない

せいぜい同士討ち

まて考えろ

俺なら解るはず

……

しまった変なことが頭を過った。

 呪い屋が、超常現象診断士に相談するだと

前代未聞だ

しかし、一理あるあいつの知識なら

催眠を解く、あるいは別の案を考えるかもしれん

今のは無しだ

それぐらい俺だって出来るはずだ

しかし、精神的ダメージで弱っていたとしたら。


むう、悔しいがここは一つ、あいつに大きな貸を作るとするか。

「解ったいいだろう金と条件付きで受けてやろう」


「俺に任せておけ

必ずお前を呪い殺す」


「殺されたらまずいけどね」

俺は無視した。


「だがこの呪いが成功しても死ねるぞ

どうするつもりだ」


「それは後から考えるよ

どんな呪いを用意したのかは

このようにしてほしい、

時間は7年後かある条件で、僕は君によって殺される

あなたは僕をを呪う資格、理由がある

ただし、死に方が限定されている

あなたに合うたびに命が削れる

そして7回あった時

それが叶う

ただし、あなたから会いに来た場合でもカウントされる。」


 あいつは俺が毎日尋ねたらどうするつもりだと言ったら

意地でも呪いを解くと言いやがった。


 だから俺は最高の秘術で其の呪いをかける

最短で3日掛かるがそれまで生きてろ

といって別れた。


 そして

それ以外の死に方では死なない代わりにそれで死ぬという条件だ

そんな都合のいい呪いがあるのか

厳密にないかが

条件付けと代償によってオーダーがあれば可能

超一流の呪い屋の俺ができないはずはない

ちなみに俺は3回を希望してのだが

それでは金を出さんとごねたので諦めた。


 俺の楽しみが増えた7回会えばあいつを殺せる

7回もあいつに会うのか気持ちが悪くなった腹の立つ

こっそり3回で死ぬようにしてやろうか

まぁ、時間をかけてじっくり楽しもうや。


それにしても

厄介な性格だなあいつは

歩けば必ず虎の尾を踏むにちがない。

 まて、あいつ的には商売繁盛か

いや命が幾つあっても足りないということか

旗から見れば愉快な野郎だ。

 もうひとつの呪いの依頼も

この俺を試す

まるで俺の技量を測るようなオーダーだ

良いだろう誰に何を頼んだか

思い知るがいい。


そう言って俺はいつまでもニヤニヤしていた。


加地に呪いを依頼して約束の3日たった次の日の朝

僕の幻聴がぴたりと止んだ

目を開けると

すっきりとは言えないが

幻覚もなく、静かだ

すると加地の方から電話が掛かってきた。


「どんな感じだ糞野郎

もう死んだか」


「死んでたら、電話に出てない」


「そうだろうな、幻覚、幻聴はどうた。」

 

「ぴたりと治まったよ」


「そうか陣中見舞いだ」


「俺の仕事の出来を確認してから死ねばいい」


「解ったと言いたい所だが、まだ終わっていない

あいつと会ってからだ」

と言って電話を切った。




8月20日木曜日

午後14時25分発15時45分着の飛行機で成田へ


 本城との待ち合わせ時間まで

加地と綿密な打ち合わせをした後 同日午後19時、最初に本城と出会った国際〇〇商業コンベンションセンタービルへと足を運んだ

加持には、盗聴器を持たせて、ビルの外で待機するように言ってある。


二人とも、正面玄関に向かって歩いていた

遠くから、待ち合わせのビルを眺めるとと総ガラス張りの壁面に反射した景色が視えた

たくさんの高層ビルの上部の隙間からオレンジ色が少し上は紫色、最後は、もう星空の広がりが一度に見て取れる、その複雑な色合いがビルを怪しく、禍々しいものにしていた。


 そして、明るいロビーには

今から、ショーを始めるのかと

思わせるやような、豪奢な白いタキシードを着た、本城がただひとりで立っていた。

「残念だよ、気付いてしまった、解ってしまった、とても残念だ」

本城の顔はとても残念とは思えない

薄気味悪い笑みを浮かべていた。

僕は周りの人はどうしたんだとジェスチャーを送ると


「あぁ、人払いしておいたよ、この建物には私と、君の二人だけだ。」

催眠、精神操作だけでこんな事が出来る別格だ、その辺の呪い屋とは比べ物にならない。


「さてと

賢い君なら、私の忠告は解ったはずが、どうして

また関わろうとするのかね」

「しかし、どういうことだ、私を訪ねることが再びあれば

最後の後催眠が発動して君は死に至るはずだが」

しばしの沈黙の後

「君の得意分野に催眠術があって、私の術が解けたとは到底思えない

とすると、誰か他の催眠術師を頼んだか、他の分野で制御したか

後者が君が選んだ道か正解だ、催眠術で私を超えるものはいない

どうだろう、拝君、この私にどうやってやったか教えてもえら得ないだろうか」

答えるつもりはない、唯一の虎の子知られては困る。

「では、私の方から当てに行こう、その感じは、」

そう言って

僕を足元から、頭まで眺めた。

全てを見通すような感じではなかったのに

「呪いか、考えたな、実は私は呪いに掛けられたもの者を見たことがあるのでね」

「ただ、君にかかった呪いは、私の見立てではかなり強力なものだ」

「しかし、君にかかった呪いが

私の催眠を抑えている

あるいは上書きをしているか

 その呪いは確実に君が死に至るほど強力なものだ違うかね」


「答えられませんね」


「その答えでは、当たっていると言っているようなものだ」

「本当に敵わない、だからこそ、ここに来た」

「僕に掛けれた催眠を解いて貰うために来たのではない」

あなたが僕に掛けた催眠はかなり深く深層意識に入り込んでいて

簡単に解けるものと思っていない」


「本当の目的は

あなたの娘さんの事だ

確かあなたは死人返りの研究をされていたはずだ

その研究はどうなりましたか。」


「解っているのだろう、賢い君のはずだ

私に聞く前から、そうだよ死者など蘇る事などあり得ない

10数年掛かった答えがそれだ

そして、その研究から別の角度から気付いた事があった

人間が永久に生き永らえる方法をね」


「そしてあなたは実の娘でない少女に

娘さんである玲子さんの記憶を移した」


「ご名答だ、拝君

それを知ってどうするつもりだったのかな」


「私は知ったが故の不幸より

知らなかった事の幸せを選ぶ」


「君らしくない選択だ、どうしてそちらを選ぶ」


「30年近くこの曲げられた事実が

本当の現実としてまかり通ってしまったのだから

本当の事実の方が打ち消されしまった

今更、身代わりとなった娘さんのご両親に

そのことを告げたところで

何が出来る、誰も喜ぶことが無いのだから」


「僕は、間違っている事、全てを正そうとは思っていない

世の中は正しくない事のほうが多い

それを認める、けど

僕が一番危惧しているのは

正しかろうが、間違っていようが

結局苦しむのは

力が弱い者たちが

振り回され、犠牲になる事だ」


「拝くんよ、それが事実で弱い物が、強いものに淘汰されるのが

いつの世も同じだ、それが、自然の摂理というものだ」


「だが、あなたの場合は違うんです、

あの娘はまだ、あなたの本当の娘になっていません、

その事があの娘を苦しめている」


「僕はあの子が、あなたの本当の娘になって

心の底から笑っている姿が見たいんだ

今のままでは辛すぎる」

「自分が、どこの誰だがわからないまま、生き続けるなんて

ちゃんと、真剣に向かい合って彼女を本当の娘にしてやってください。」


「君は本心で言っているのか」


「彼女の目には、言いようのない不安と恐れもう一人自分がいることを

気付いています、元の女の子に戻れないなら

全てを一つにしてあなたの本当の娘にしてあげて下さい」


「もし私の周りに君のような考えを持つ人間がいたのなら

また違っていたのかもしれん。」


「私も麻痺していたようだ

自分の仕事が完璧だと思い込んでいたようだ

優しく賢い君の眼には、今の娘の本当の心が視えたようだね」


「実はいつ死んでもおかしくないのは私の方なんだ

この現世に未練がましく無理やり残っていたが

君の言葉を聞いてもうしばらく

娘のために最後の仕事をしょう

娘が本当の私の娘玲子になるための仕事を」

そう言って彼の手が伸びて人差し指が

僕の額に触れたのだ

警戒心が無かったわけでない

彼の独特の動きが

それをなした。


「いったい何をしたんですか?」

「解いておいたよ

この老いぼれに最後の希望を与えてくれた君に

あの娘に笑っていて欲しいと言う君に

死んで貰いたくなくなった。

ありがとう、そして済まない

君のような若者は得てして偽物を許さないし、私のような狂人に対しても冷たい

そう思い込んでいたようだ」

「私は 2度と  人前には  現れる事は無いだろう

だが  私は  本当の娘に 出会えるまで死なない

さようならだ」

そう言って右手で指ををぱちんと鳴らした

その瞬間、彼の姿は消えてしまった


私の前から消えた、まるで最初から居なかったように。


この後しばらくの間、裏ルートの情報屋を使って探索したが

あの親子を発見する事は出来なかった。


なんとなく

僕は何も出来ないままで終わったしまった

僕一人なら完全敗北だった

助手の真知子ちゃんや

呪い屋の手助けがなければ

もう死んでいて居たかもしれない


僕はこの時ほど感謝したときはない

生きていたこと

真知子ちゃんが助手であった事

呪い屋が思った以上にいいやつであった事に感謝だ。


最後にどんな時でも後悔しないように

僕らしく交渉したつもりだ

あいつが遠くで何か言ってる。


「お前は、本当にどうかしてる

どのタイミングで俺にあいつを呪い殺せって言うんだ

ど下手な三文芝居を見せつけられて

吐き気が止まらなかったぞ。


「俺なら、まとめて警察に突き出すか

黙っている代わりに

金を請求するがな」


「それが、何の解決になるって言うんだ

だから、3流の呪い屋なんだよ」


「て、てめぇ、2流を通り越して3流だと

命の恩人に対して言う言葉か

殺してやる、

今すぐ用意してきたもう一つの呪いを使って今すぐ殺す」


「そんなことは無理だって解っているんでしょう

出会った瞬間に呪って一瞬で殺す呪いなら

僕に掛けられた呪いよりも限定的だから転用はむりなことぐらい解るよな」


「解ってても解らねぇ」

「天才催眠術師を殺す為に用意してきたこの呪いに対してあいつは

使わない場合でも50万、使用して殺せたら500万その50万を前払いで貰ってなければ

本当にできないかどうか試してやるとこだが、まぁ今回は赦してやろう」


「無事に終わったんだ

帰りに焼き肉でも食って帰ろう

俺のおごりだ

しっかり食えや」


「あなたがおごるだと気持ち悪くて食えるか」


「遠慮する事はない

今からおごる金はお前から貰った金だ

ようは、自分の金で食った思えばいい」


「人から奢って貰った焼き肉ほど旨いものはない

それ故、俺は遠慮なしで、おごられたときはしっかり食って

美味かった、ご馳走さんと言う、それがおごらるものの礼儀と知れ

遠慮して食べてもお互いが気まずだろうが」


そこまでいうなら行ってやろう。


案外いいやつだよと再認識しながらついていくと

高級焼き肉屋に予約がしてあり

一人10万円のコースを予約してあった。


「この予約がしてあるあたりが、なんか余計にキモいぞ」

「キモイと言うな、いい大人が!」

「お前を殺すのは俺しかいない

 他の奴によって死にかけたお前にとどめを刺してところで

俺は納得しない

元気になったお前を

俺の呪いでじわじわ弱らせて

酒のつまみにした方が

どんだけ楽しいかそれを思えば安いもんだ」


 本当は、高級焼き肉店で。お一人様が恥ずかしいとは

口が裂けても言えんからな。


そして、焼き肉を食べながら

死人返り、反魂の法で無いならどうやって

30年間も別人を自分の娘に出来たか教えろというので

今回は、素直に語った、他に喋る共通の話題も無かったので。


これは僕の予想だが


 まず、生まれてきてから行動を全て記録を撮る

ビデオカメラである。

 そして言葉をしゃべり始めるころから

その日の終わりに、細かくどう感じ、どう思ったかを聞いておく

 そして幼稚園、小学校と

監視の行かない場所になると

 ボイスレコーダーと

帰ってからの聞き取りと、日記

寝る前の子守歌の後の催眠状態での聞き取りで

本人さえ気が付いていない見たもの、聞いたもの、感じたもの

思った事全てを聞き取り保管する。

 そして本人から別の誰かに移行する。

移行してしまえば、残った、本人はどうでもいいのである。

もしかするとしばらくは、本人も生きていた可能性はある 

 その記憶のみで別人に完全に移動試みるのである

別人自体の記憶は完全消去である。

 そんなことが可能なのか

俗に、催眠ショーなど行われる。

段階を追って

催眠の中程度深さと呼ばれるものから

その次の、夢遊状態と呼ばれる

そして、夢遊状態、この深さの催眠状態ではアネスティージア、感覚麻痺、アムニージア、健忘、物忘れなどの現象が起こせます。腕をつねっても全く痛みを感じません。自分の名前なのに完全に忘れて言えなくなります。

ショ―催眠で被験者が入っているのはこのレベルの催眠状態。


 この程度の催眠では、完全に記憶を消去できるレベルではない

最低でもこの次の状態でなければならない。

 エスディル状態

エスディルとは、ジェームズ・エスディル博士の名前から付けられ。深い催眠状態をコーマ(昏睡)、またはエスディル状態と呼び。

エスディル博士がインド滞在中、外科手術や開腹手術が回復するぐらい深い催眠を利用していたことからこの名が付きました

強力な催眠で、主に医学の麻酔目的で使われる深い催眠状態。


 さらに深い催眠状態が、Ultra Depthウルトラデプスと呼ばれる極度に深い催眠状態があると言われ、

このレベルで催眠について殆ど一般的に参考に出来るような文献は簡単には見つけ出せない、つまりは危険でどうなるかわからないため、倫理上試すことができない、

 恐らく本城はこのレベルでの記憶の消去と、新たな記憶の植え付けを実行した

何日もかけてそれは行われ

さらに儀式めいていて、何度も同じ手順を踏ませることで

脳や体最後に心にまで浸透させていったに違いが無い。


 ようは、まったくの他人が記憶を移植された状態

それゆえに、整形手術迄して

体裁を守ろうとした。

 そして、新たに本人なりすました別人の生きざまを記録し続け、時が来れば

また移植がする、そうやって記憶を引き継いで行く

新たな不老不死、本当にこれは不老なのか。

 ただ、その記憶は経験した情報を上書きされながら

また、移植されていく。

 ある意味で永遠なのだが。

移植行うものと、移植先の別人が必要とされる。

 本城は、天涯孤独であることを条件で養子縁組を使って

手に入れた可能性が高い。

 ただその気になれば移植先は男でも、おばあさんでも可能であり

理想のだれかに外見を変えることもできる。

 本城が、その気になりさえすれば誰がどうなるかなんて知った事で無い

彼の娘への、執着心が他の事への使い道があるのだが

閉ざすことになった、これは案外僥倖と言えるだろう。


 そして、あまりにも深い催眠のために

移植された別人は12歳の時の記憶が完全固定化され

深層意識の全域に至るところまでそれがおよび

ついには、肉体の変化すらも押し留めてしまった。

結果30年経っても彼女は12歳の時ままで成長をやめてしまった。


 しかし、そのギャップに今の彼女がついていけない

何年も他の人は違う自分に悩み

ついに自分が呼ばれる名前の人物では無いかもしれない

事に密やかにそして、ゆっくりと疑念は確信へと

変わろうとしていた。


 改めて完全な意思統一が行われた場合

心と体がつながり、止まっていた時が動き出すかもしれない

問題はその時、ゆっくりと老化が始まるのか

一気に老け込むのかは

やってみないと解らない

もしかすると

外見は死ぬまで変わらないのかもしれない

これが僕の今回の死人返りではないと

予測する理由だ。

加持は、納得しかねる感じだったが

概ね賛同するとしか、返答は無かった。



追伸、元気になった僕は

わずか3日で奴が呪い屋がかけた

呪いをかけた本人返すことに成功した

もう一人の知人の陰陽師頼んで


あいつは今頃叫んでそうだなー


「拝、何をしたー

どうして呪いが帰て来るんだ

500万では、この返しの風を返すのは

安すぎるぞー

もっと金よこせー糞野郎!!」


 今回得た教訓は、

ある道で頂点を極めた人物は、まさに天才と狂人は紙一重ということだろう。

 もし、幻覚がみえた、記憶が無いと疑い始めたら

超常現象総合相談所に連絡をしてください。

 あなたの記憶を取り戻すためなら

催眠を使うかもしれません。

呪いをかけるかもしれません。

 別の手段もご用意しております

解決するまで、けっして諦めることはありません

安心して、笑顔で生活できるその日まで。

完全、予約制ととなっております、あしからず。


超常現象総合相談所 所長 拝 頼綱




終わり
























































































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