エピローグ~妹、そして恋人~
リンルートの正真正銘最終話、エピローグでございます。最後まで仲の良い兄妹、カップルでいて欲しいと思って書きました。
「ただいまー」
穏やかな夏の日の夕方。
夕食の準備をしていた時、彼女の声が玄関先から聞こえてくる。
やがてばたばたとした足音と共にリビングへ彼女がやってきた。
「ただいま、ハル兄っ」
無邪気で明るい性格と屈託のない笑顔はいつまでも変わらない。
俺の義理の妹になる前から、ずっと変わっていない。
「おかえり、リン」
そう言いつつ頭を撫でてやる。
小さな頃から繰り返してきたスキンシップは今でも健在だ。
俺は何かあるとリンの頭を撫でることが癖になっているようで、周りの友人からは色々言われるのだが本人同士が気にしなければそれまでだ。
「今日のご飯は何?」
そしてそんな彼女の二言目はこれだ。
思わず苦笑してしまう。
「まずはとりあえず手を洗って来い。話はそれからだ」
「はーいっ」
まるで親と子供のようなやり取りをすると、リンは洗面所の方へ歩いて行く。
今年で俺は都内の大学三年生。教師を目指して勉強している途中だ。
リンは保育士を目指している大学二年生。俺と同じ大学の後輩。
今は二人で大学の近くのマンションに部屋を借りて住んでいる。
アルバイトとの両立は大変だが楽しいキャンパスライフを送れているし、何よりリンと二人暮らしを出来ていることが俺の密かな喜びだったりする。
リンは最近忙しいらしく、俺の方が先に家に帰っていることが多い。それでも出来る限り一緒に帰ったりするようにしているが。
「あ~、お腹空いた~」
「今準備するから待ってろ」
夕食の片づけを終え、別々に風呂に入った俺とリンはリビングで一息ついていた。
「ハル兄、眠い」
「じゃあ寝ればいいだろ」
「そこは『じゃあ一緒に寝るか……特別に腕枕してやるよ』じゃないの?」
「それっていつものことじゃないか」
「とにかく眠いの! 一緒に寝ようよ!」
いくつになっても子供っぽいリンに少し呆れつつも、やっぱり可愛いと思ってしまう。
仕方がないので寝室へリンと一緒に行く。
二つのベッドがくっ付いている上に寝転がると、急に疲れを感じる。
数分くらいこうしていれば眠れそうな気がした。
「ハル兄も眠そうだね」
「うん……意外と眠い」
「明日は遅刻するわけにもいかないし、早く寝よ?」
「寝るのはいいんだが……くっ付くな、暑い」
リンは俺にべったりとくっ付いて寝ようとしている。
……これじゃ寝れそうにもない。
今までちょっと甘やかし過ぎてきたからだろうか……。
次の日。
ふと起床する。体が起きる時間を覚えているのだろう。
時計を見ると時刻は午前五時五十分。うん、いつも通り。
ぱっと隣を見るとやけに服の乱れたリンが隣ですやすやと寝息を立てていた。
ところどころ白い下着が見え隠れし、朝から刺激的な光景だった。
俺が何かしたんだろうか……まぁいいや、見なかったことにしよう。
気持ち良さそうに眠るリンを起こさないようにベッドから出て、そこから始まるいつもの日課。
ニュース番組を垂れ流しながら家事をすることおよそ一時間。
「ハル兄~……おはよー……」
「おはよ、さっさと顔洗って支度しろよー」
「その前に……」
リンはゆらりと近づいてきて俺の唇を口で塞いだ。
「んむっ……んん……ふぅ……よしっ、目が覚めたから顔洗ってくるねー!」
「俺は眠気覚ましの作用でも持っているのか……」
何はともあれ、今日も騒がしい一日になりそうだ。
朝食を終えた後、俺とリンは出かける身支度をしていた。
「ハル兄、準備出来たー?」
「おう」
「じゃあ行こっ」
リンは楽しそうな様子でそう言うと先に玄関の外へ出て行く。
俺もその後を追うようにして玄関を出て鍵をかける。
熱い日差しが地を照りつける程の天気の良さ、きっと暑い一日になるんだろうな。
俺とリンがやってきたのは街の中にある公園。
自然の形が残る地形と大きな池があるのが特徴で、池の周りは整備された散歩道になっている。
その道に配備されたベンチに俺達は座っていた。
「んふふー、楽しみだなー」
「そんなにか?」
「うん。だって久々に琴姉とふー姉に会えるんだよ?」
「琴姉はともかく風花は毎日会ってるんだけどな……」
風花は俺達と同じ大学に進学した。
一応、風花も家を出て一人暮らしをしている。
ここ数ヶ月位はお互いの家に行っていないのだが。
てかリンは同じ大学なのに風花と会うのが久々なのか……風花のこと、家に連れて来ても良かったかもなぁ。
「もしかして……ハル兄って大学ではふー姉と二人きり?」
「え? んー、まぁ」
高校時代の仲間達は皆俺達とは別の道を歩み、俺と同じ大学なのは風花だけだった。
故に風花と俺はいつも一緒だった。
リンの友達だった真由子ちゃんや真央ちゃんはそれぞれ違う大学へ進学したらしい。それでもたまに連絡は取っているようだった。
「へぇ……」
リンは少し低い声を吐息のように漏らす……これはやばいフラグか?
「……いや、ふー姉なら大丈夫か」
どうやら勝手に納得したようだ。
確かに風花の場合、俺とリンの関係を誰よりも祝福してるからな……あちらから迫ってくることは絶対に無いし、こちらから迫ったとしたら縁まで切られかねない……いや、迫らないけどさ。
「風花なら大丈夫だろ」
「うんうん、私なら大丈夫ー」
「風花もそう思うか?」
「うん。よく分かんないけどね。何の話?」
「……」
「……」
「さり気なく混ざるスキルでも持ってるのかお前は」
「えへへー、まぁね」
持ってるんかい。
「ふー姉! 久しぶりだね!」
「リンちゃん! 久しぶりー! 相変わらず可愛いー!! ハル君から私に乗り換えない?」
むしろリンに迫ってるよこいつ。
「えー、どうしよっかなー」
リンはわざとらしく悩む様子を見せた。
こいつらが絡むとこの茶番はもうしばらく続くんだよなぁ。
俺は今までに何度も目の前の光景となった二人の茶番を、どこか懐かしいと思いつつしばらく眺めていた。
「相変わらずね、あんた達は」
「お」
少しして、琴姉が苦笑しながらやってきた。
「久しぶり、琴姉」
「琴音先生、お久です!」
「わー、琴姉ー! 会いたかったよー!」
「ん、皆久しぶりー! すっかり大人びちゃったわねー」
琴姉が嬉しそうに笑う。
そんな琴姉はそろそろ婚期も終わりそうなはずだが、相変わらず美人で肌も綺麗で、昔と変わらない気がした。
「んー? ハル、もしかして久々にお姉ちゃんに会えて泣きそうなのかしら?」
「久々に会えて嬉しいのは確かだけど泣きはしないよ」
俺とリンは時間がある時は実家に帰省するようにしているが、琴姉とは会えない。
それもそのはずで、琴姉はリンが高校卒業すると同時に一人暮らしを始めた。
父さんと母さんは寂しがってたけど、いい歳して居候の身であることが本人は快く思わなかったらしい。
一人暮らしを始めるって決めてから料理の練習とかその他の家事の練習につき合わされたのも今となっては笑い話でありそれなりに楽しかった思い出だ。
「ホント、久しぶりね……」
感慨深そうに琴姉が呟く。
「……なんか急に琴姉が老けたような」
「ん? なんだって?」
「うっ……」
冷たい笑顔と共に足の甲を踏みつけられる。地味に痛い……。
「あはは、まぁまぁ。とにかく、そろそろ行こうよ」
そう。
俺達は今日、久々に再会して出かける予定を立てていた。
他の友人達はそれぞれの予定があるらしいので今日は四人だけだったが。
まぁ、それでも楽しい一日になると信じている。
人が多い市街へやってきた俺達は様々な店を見ながら歩いていた。
「なんか、ただ歩いてるだけでも楽しいかも」
と風花。
「でもそろそろお腹空いてきたかも」
と、リンが言うと琴姉が
「じゃあどこかでご飯食べましょうか」
と提案した。
どこがいいかな、と皆で歩きながら店を探していく。
どの店も人はいるが特に込んでいる様子はなく、どこにしようとすぐに昼食を食べることは出来そうだ。
「で、皆は何が食べたいの? 何でも奢ったげるから言いなさい」
「え? 琴姉、俺は別に……」
「そうだよ琴姉。私も別に……」
「奢ってくれるの!? やったぁ!!」
「見事に分かれたわね……とりあえずそこの兄妹。大学生とはいえバイト生活なんだからこういう時はお姉ちゃんに奢られてればいいのよ」
と、琴姉は俺とリンを見て言った。
「それに、一人暮らしだと結構貯金も貯まるんだから……ふふっ……」
貯金が貯まるのはいいことなんだろうけど、琴姉の口調は憂いに満ちていた。
「でも……いいの?」
「いいの、てかお姉ちゃんに奢らせなさい。久々に再会した可愛い従兄妹と教え子なんだから」
「ハル君、ここはお言葉に甘えていいんじゃないかな。それにお礼なら後でいくらでも出来るよ」
と琴姉と風花が言い、俺は少し考えて
「ん……じゃあ、お言葉に甘えて」
「ハル兄がそうするなら私も」
「ふふっ、よろしい。あとお礼とかしなくていいんだからね?」
どの店がいいか考えていた最中、風花が「あっ」という声と共に思い出したように言った。
「そういえば、結ちゃんが言ってたんだけどさ。沙夜ちゃんがお店を経営してるらしいんだよ」
「え? 本当か?」
「うん。なんか、お兄さんやお姉さんと一緒にお店を開いたらしいよ。結ちゃん、それに陽菜ちゃんがそこでバイトさせてもらってるんだってさ」
驚いたな……というか皆思った以上に人間関係変わってないんだな……。
「私、そのお店行きたいかも」
「俺もそこでいいや」
「じゃあ決まりね! そこにしよっ!」
「そのお店ってどこにあるの?」
「んーと、確かー……駅の近くの景色がいいあそこ?」
どこだよ。
「まぁ、とにかく行ってみようよ」
というわけで駅の近くまで歩くことになった。
来てみると、確かに駅の近くには海や民家がぽつぽつと並ぶ丘陵があり、それなりにいい景色に囲まれている所があった。
俺達の一行は海沿いの歩道を歩く。
「んー、潮風が気持ちいいわね」
琴姉が潮風に髪を揺らしながら言った。
確かに潮風は気持ちいいんだけど……。
「風花、結局どこにあるんだ?」
「えっとー……あ、あそこだ」
風花が指差した先には小さな店があった。
どうやらカフェのようで、綺麗な外観をしている。
店内に入ると、店の制服と思われる服装の店員が出迎えてくれる。
「いらっしゃいま……って、風花達じゃないか」
「あ、沙夜ちゃん! ひっさしぶりー!」
「よう」
俺は軽く手を振る。
沙夜は俺達を一人ひとり見回して、
「なんだか懐かしい面々だな。まぁいい、こちらの席へどうぞ」
沙夜に案内され、俺達は席に着く。
「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください。それではごゆっくりどうぞ」
そう言うと、沙夜は店内の掃除を始める。
少し無愛想なのは元々だから仕方ないとしても、まさか沙夜が接客とはな……。
「ねぇ、沙夜ちゃん。他のお客さんは?」
「昼食時はもう過ぎているからな。今はお前達と……そこの男だけだ」
沙夜が視線で示した席を見ると、新聞を広げている客がいた。
こちらに気づいたのか、新聞を下げその顔がこちらを見る。
「誠也!?」
「やぁ、久しぶりだね」
「お前も来てたのか」
「はは、まぁね」
誠也は以前と変わらない爽やかな笑みを浮かべながら答えた。
「誠也は常連みたいなものだな。毎日のように通ってるし」
「だって、ここのコーヒーや料理は美味しいから」
「それはどうも。とはいえ、兄さんも姉さんも今は休憩時間に入っているがな。今の時間は私と、ほら、そこで隠れてこっちを見ている二人だけだ」
沙夜がカウンター席の方を指差して言った。
カウンターの向こう側には、ちょこんと顔の半分をこちらへ覗かせている二人の女性……結論を言えば、結と陽菜がいた。
「あ、バレた」
「もー、驚かせようと思ったのにー」
「二人が働いてることは知ってるから別に驚かないけどね」
と風花がマジレス。
「結局、全員大集合って感じなのね」
琴姉が苦笑した。
「それにしても、沙夜がお店を開業なんてねぇ」
「いつまでも父親の権力の恩恵にすがるわけにもいかないですから」
「んー、立派ね。その志」
自分の教え子の進んだ道を賞賛する琴姉は本当に嬉しそうだ。
「ところでー……ハルっちとリンちゃんは今同居してるんだっけか?」
「あ、それ私も気になるなー。二人の事情とか聞きたいかもー」
「は!?」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら尋ねてくる結と陽菜は完全に俺をからかうモードに入っていた。
「きっと夜は二人で大冒険の日々なんだろうな……」
「いやいや結ちゃん。むしろ朝からとか……」
お前らは何の話をしてるんだ。
「そんなこと言ってるお前らはどうなんだよ」
「察しろ」
「察してよ」
「ごめんなさい」
急に冷たくなった結と陽菜にビビりつつ謝る。まぁ……そういうことか。
「あはは、私も独り身だから仲間だよー」
「……こいつらと仲間なのは辛いな」
どうやら風花と沙夜もそういうことらしい。
こいつら……むしろ男には放っておかれない存在なのになんでなんだ。
「ん、待てよ。お前達がこのままだとすると……」
えっと……。
『沙夜ちゃ~ん』
『陽菜~』
がしっ。
『陽菜は小さくて可愛いな。守ってあげたくなるぞ』
『あはは、じゃあ一生守ってね。沙夜ちゃん。私……沙夜ちゃんがいないと……』
とか。
『結ちゃん! 一緒にお風呂は入ろうよ!』
『いいけど、お風呂に入ること以外の目的に時間を割くぞ?』
『あはは、やだなぁ……最初から……そのつもりだよ……』
『風花……今日もいっぱい可愛がってやるぞ……』
理想の男性を見つけられなかった美女達は、一番近くの親友との友情を育み続け……やがて愛情へと変えていくのであった(ナレーションは誠也)。
「おーい、春斗。お前何か変な想像してないか?」
「してないよ」
「まぁとりあえずー……ハルっちとリンちゃんのために精力の付く料理を振舞ってあげようじゃないか」
「いや、普通に注文させてくれよ」
「リンちゃんが凄く疲れちゃうくらいに春斗君を強化しようよ」
「しなくていいから」
「独り身の女には刺激の強い話だな……」
「感心してないでお宅の店員さんを何とかしてくれよ!?」
つ、疲れる……。
こいつらの相手ってこんなに疲れるんだっけ……。
「春斗……ドンマイ」
「誠也……その爽やかな笑顔が今は一番ムカつく」
「沙夜っち。私達は今は確かに独り身だ。でも……ハルっちがいるだろ?」
「そうだよ沙夜ちゃん。いざとなれば春斗君を……」
こいつらなんてことを。
「あ、あぅ……あぁ……」
「リン!? なんか魂が抜けてるぞ!?」
「きっとショッキングだったのね、ハル。リンのケア頑張ってね」
「琴姉……完全に他人事だね……他人事だけどさ」
「あはは、結局皆ハル君のことが大好きなんだね」
「それでまとめたつもりかお前は」
「ハルっちは実際皆に慕われてるからしゃーないな」
「やーい、この女殺しー。春斗君なんかハーレム築いちゃえー」
「わ……私は別にお前のことなんか好きじゃないからなっ? いいか、本当だぞ?」
こいつらは……もうスルーしてしまおうか。
「あ、コーヒーお代わりお願い」
「マイペースかお前は!」
「ハルも苦労が絶えないわね……まぁ私の方が苦労してるけど……独り身なめんな……」
「何で俺を恨めしそうに睨むんだ!?」
「あぅ……あぁぁ……ぁぅ……」
「リンはそろそろ戻ってこーい!!!」
「ふぅ、さっぱりした」
俺が風呂から上がると、リンはソファに座ってクッションを抱きかかえて何か考え事をしているようだった。
「リン?」
「え、あ、ハル兄……」
「どうかしたのか?」
「ううん、なんでもないよ。ほら、早く寝ないと。明日からまた学校だし」
「そうだな」
「……ねぇ、ハル兄。一緒に寝てもいい?」
「え? うん、いいけど」
やけに静かな口調でお願いしてくるリンに違和感を覚える。
いつもなら「一緒に寝よう」って強引なのに。
さっきの表情といい、何かあったんだろうか。
気になった俺は、自分の部屋に入るとベッドに座り隣にリンを座らせた。
「何かあったか?」
「え? い、いや……」
「嘘だろ。何年お前の兄貴やってると思ってんだ」
少し問い詰めるような口調になる。
リンが何かしらの感情を抱えていることは間違いなかった。
「……ハル兄モテるし周りの友達が可愛い人とか美人ばっかりだから……ちょっと不安になっちゃって」
「……」
もしかして昼のこと気にして拗ねてたのかな。
「なんていうかさ……私なんかがハル兄独り占めしていいのかなって思ったんだよね」
リンの表情は暗く、声にも元気がない。
しかし、俺はその話をそんなこと気にしてたのか程度にしか思えない。
「確かに俺の周りは可愛い子が多いと思うけどさ、リンがぶっちぎりで一番可愛いぞ」
「えっ……と」
恥ずかしそうに目を逸らしたリンの頭に手を置き、その頭を抱き寄せる。
「つか、俺が好きなのはリンだけだしな」
「ハル兄……」
「リン、俺はお前のなんだ?」
「え? んと、お兄ちゃんで……恋人」
「リンも俺にとっては妹で恋人。別にお互いに独占し合ったって文句言われないだろ」
「ん……そうだね」
顔は見えないが、きっとリンは笑っている。
「悩みも消えたことだし、さっさと寝よ」
「うんっ」
次の朝。
俺はいつものように目を覚ました。
すると、俺の顔をリンが覗き込んでいた。
「ハル兄、おはよう」
「お、早いな……おはよう」
パジャマ姿なところを見ると、リンもついさっき起きたのだろう。
「いつもは遅いのに今日は早いんだな」
「なんか目が冷めちゃった。それより……ちゅっ」
「んっ……」
リンは目を閉じて軽く口付けをしてきた。
これも毎朝のことだけど、いつになっても少し恥ずかしい。
「お目覚めのキスだよ。今日も一日頑張ってこ、ハル兄」
「おう」
彼女はかつて、妹のような少女だった。
そして、本当の妹になり、やがて恋人となった。
「リン」
「何?」
「俺、やっぱりリンのことが好きだ」
「え、な、何? 急にそんな、もうっ」
嬉しそうに恥ずかしがるリンはこの世のどんなものよりも可愛くて、この世で一番愛おしい。
そんな、俺の大事な妹、そして恋人だ。
「私もハル兄のこと大好きだよ」
好きな人と一緒にいられる、朝起きてから夜寝るまでずっと。
この幸せを越える幸せがあるというのなら見せてみろと言いたい。
「なんていうか、今改めて幸せ実感してるんだけど」
「何言ってんの……これからもっといっぱい幸せになっていくんだよ?」
「そうだな。これからもっともっと」
「ん。でも……やっぱり今は今の幸せを感じていたいよね」
そうだ。
今の幸せがあって、その幸せの中で過ごしていくからこそ明日の幸せがある。
「はぁー……ハル兄がお兄ちゃんで、恋人で良かった」
俺も、リンが妹で、恋人で本当に良かったと思っている。
そんな彼女と過ごす日常はいつもかけがえなくて、楽しくて、幸せだ。
そしてきっと今日も……。
「今日も幸せだといいな。リン」
「うん、きっと今日もいい日だよ! ハル兄!」
リンルート終了、ありがとうございました! 個人的にリンはかなり気に入ってたので書いてて楽しかったです! さてさて、次はどうしましょうかね……→陽菜 →琴音 →優希




