ギャルゲとか属性とか
ギャルゲエロゲみたいな毎日って実際どうなのかな
『人前でくっ付くな! 私だって……恥ずかしいんだからな』
「……あ、デレた」
俺、日高春斗は自分の部屋でベッドに寝転がりながら、携帯ゲーム機の画面を眺めている。
画面に映るキャラはセミロングの髪、やや釣り上がった目元、そして何よりの美少女。主人公に対して突き放すような態度を取りながらも抑えきれない好意を見せた発言をする。
いわゆる、ツンデレ。実際こんなキャラがいたならばそれは鬱陶しいだけだろう、こんな性格が許されるのは二次元の世界だけだ。
俺は大好きなギャルゲに対して少し批判的になりながらも、そのキャラ達に惹かれている。なんともいえない後ろめたさを感じている。ゲーム内に登場するキャラの属性なんてものを現実問題として考えてみて、これはないなと考える半面で実は少し期待していたりもする。実際にいてもいいんじゃないか、なんて。
俺は数日前に中学校を卒業し、今は高校へ向けての春休み中だ。卒業式での告白なんてベタな展開はあるはずも無く、ただ平凡に中学校生活は幕を閉じた。そう、平凡に。
高校にも実はあまり期待していない。新しい生活が始まって、ギャルゲのように美少女に囲まれる生活なんてどうせ無いだろうから。ただ、毎日が楽しくて、自分が心から好きだと思える相手と過ごせたら最高だ。俺が高校生活に求める物はたった二つ。
平凡な生活と大切なただ一人の彼女。
もしかしたらそれさえ叶わないかもしれないが、期待するだけならタダだ。
「ハル君、今日も楽しくて激しい妄想中?」
「……っわぁぁぁぁ!?」
「おわわわっ、何? どうしたのっ?」
「どうしたのってお前なぁっ! いきなり現れんな!」
いつの間にか、俺に並ぶように寝転がってた女の子に思わず驚いた声を上げてしまう。この子は隣に住んでいる幼馴染の御森風花。心的な距離が近すぎて何も恋愛感情が沸かないといった、ある意味最もヒロインらしい属性を持っている。
それでもやっぱり恋愛感情は沸かないのだが。
俺の部屋の窓が開いていて、隣の家の部屋の窓も開いている。屋根を伝ってこの部屋に来ただろうと推理するのは簡単だった。
「ハル君、えっちなゲームは駄目だよ?」
「別に未成年が出来ないようなゲームじゃないしいいだろ。つーかなんでいるんだよ」
「なんか退屈だったからかなー。それより、ハル君ってこんな女の人がいいの?」
「べ、別に……ツンデレなんて好きじゃねーよ。大体こんなのが現実にいても鬱陶しくて仕方ねーだろ。素直になれないからって時々見せるしおらしさが可愛いとかそんなのが通じるのは平面状の世界だけだろ。現実じゃ素直で無邪気なのが一番可愛くてだな、俺だってまぁその方が好きというか。いや別にツンデレが駄目ってわけでもないぞ。ツンデレだっていつもツンツンしてる子が好きな相手にだけデレを見せるんだぜ、その相手が自分だって想像したらそれはそれで嬉しいしな。あ、でも勘違いすんなよ? 俺はツンデレなんか別になんとも」
「大好きなんだねハル君」
俺が言い切るのを遮るように風花が言った。というか俺も自分で何言ってるのか途中から分からなくなってた。
「そろそろ私は寝ようかな。とにかくほどほどにねー、おやすみハル君」
「あ、あぁ。おやすみ」
そう言い残して風花は自分の部屋に帰った。
きっと高校になっても毎日こいつと一緒に登校するんだろう。なんとなくそんな気がした。それは幼馴染だからなのかもしれないしそうではないかもしれない。ただ単に、今まで風花がいることが当たり前だったからかもしれない。
何より、高校になってもこの関係が変わらないと信じているからかもしれない。
あとがきなんて特にないんだからねっ黙