プロローグ-1
僕は平凡に生きるのが嫌だった……
平凡に生きている自分が嫌だった……
友達と遊んでいて「楽しい」と思ったときもそれがすでに他の誰かが「楽しい」と思って遊び飽きたものなんだろうと思うとそれ以降全然その遊びが楽しくなくなった。
自分はオンリーワンになれない……今この瞬間もどこか離れたところで同じことを考えている人がいると思うとすごくつまらなくなる。
人の人生をなぞってるんだ……そう思えて仕方がなかった。
僕はこの生き方を変えようとしなかったわけではない。
小学校高学年の時には夜中にこっそり抜け出して心霊スポットに行ったことがあった。
「幽霊を見た人なら世界でもあまり多くないはず、それに幽霊がいるっていう確実な証拠を見つければきっと僕は世界でただ一人になれるはず」そんな考えで僕は向かったんだ。
けど、その心霊スポットにたどり着いたとたん僕は怖くなって結局入れなかった。
結局こういうとこが僕を平凡なままにしているんだと思う。
頭の中では押さえつけていても恐怖は体に出てしまう。
怖い……足がすくんで動けない……
誰だって思うはずだ。
みんな幽霊は怖いだろう。
みんな死ぬのは怖いだろう。
さすがに考えすぎってわかっていてもそのことが頭によぎり結局前に進めない。
僕はそれ以降心霊スポットには行ってない……怖いからだ。
中学に上がるととたんにすべてに興味がなくなった。
平凡から抜け出したいって思っていても後一歩で平凡から抜け出せるかもしれないってとこで急に怖くなり逃げ出した自分に嫌気が差したから……
平凡から抜け出したいって心から願っても変わってくれない世界に嫌気が差したからだ。
そうして周りから隔絶し拒絶し周りのことすべてを除外している自分が周りとは違い非凡に見えたから……
そんなことないって頭のどこかではわかっていてもそれを考慮し思考することなんて腑抜けた僕にはできなかったんだ。
そのまま僕は高校に上がった。
結局変わることはなかった。
あえて変わったとするなら僕に根暗で薄気味悪いって評価がついたくらいだ。
僕は周りのことに興味を失ったせいでまわりで起きている少しおかしな事態にきずけなかったんだ。