表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
農民の俺が育てた作物、なぜかドラゴンに跪かれて管理社会が崩れ始めました  作者: 森乃こもれび


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/43

第4話 襲来――だが、剣は振るわれない

 それは、降りてきた。


 風圧が市場を叩き、露店の布が引きちぎられる。

 石畳に亀裂が走り、誰かが転んだ。


「ドラゴンだ……!」


 叫びが重なり、悲鳴に変わる。

 人々は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


 冒険者たちは剣を抜いたが、足が前に出ない。

 力量差が、理解できてしまったからだ。


 巨大な白銀の竜。

 鱗は朝の光を弾き、眼は氷のように澄んでいる。


 咆哮――は、なかった。


 ただ、重い息遣いだけが響く。

 それが逆に、恐怖を煽った。


「……攻撃、来ない?」


 誰かがそう呟いた瞬間、

 竜の視線が、ゆっくりと動いた。


 人ではない。

 武器でもない。

 建物でもない。


 露店の一角――カイルの前で、止まった。


 正確には、籠の中。


 竜は首を下げ、鼻先を近づける。

 深く、息を吸い込んだ。


 空気が、震えた。


「……な、なんだ……?」


 カイルは後ずさることもできず、その場に立ち尽くす。

 心臓が痛いほど鳴っている。


 竜の眼が、細められた。


 怒りではない。

 殺意でもない。


 ――戸惑い。


 そして、微かな、懐かしさ。


 竜は、もう一度だけ息を吸い、

 ゆっくりと前脚を折った。


 重い音を立てて、膝が地につく。


 市場が、完全に沈黙した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ