表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
農民の俺が育てた作物、なぜかドラゴンに跪かれて管理社会が崩れ始めました  作者: 森乃こもれび


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/31

第19話 それでも、線は消えない

 日が沈み、畑は影に包まれていた。


 管理の者たちは、引き上げていった。

 判断は保留。

 報告は山ほど。

 結論は、持ち帰る。


 残されたのは、

 縄と、杭と、

 沈黙だけだった。


 カイルは、畑の中央に立っている。


 枯れた芽の前。

 戻らない場所。


 そこに、膝をつき、

 土に触れた。


 冷たい。

 朝とは、違う。


「……悪かったな」


 謝罪だった。

 畑に対しての。


 彼は、縄を見た。

 守るために張られた線。

 だが、結果として――

 遮る線。


 切ろうと思えば、切れる。

 杭を抜こうと思えば、抜ける。


 だが、それをすれば、

 人の世界と、真正面からぶつかる。


 カイルは、立ち上がった。


「……まだ、早い」


 畑に言う。

 自分に言う。


 その夜、

 彼は火を落とした家で、

 長く眠れずにいた。


 夢を見る。


 深い場所。

 根が、さらに奥へと伸びている。


 だが、その先が――

 見えない。


 声はない。

 言葉もない。


 ただ、

 「近づくな」

 という感覚だけが、はっきりとあった。


 目を覚ます。


 外は、静かだった。


 畑の方角を、窓越しに見る。

 縄は、まだある。


「……分かった」


 カイルは、小さく頷いた。


「無理は、させない」


 それは、

 管理に従う、という意味ではない。


 かといって、

 壊す、という意味でもない。


 彼が選んだのは、

 “待つ” という選択だった。


 だが――

 世界は、待ってくれない。


 同じ夜、

 領主館では、新たな命令書が書かれていた。


 件名は、簡潔だった。


 《畑の管理方針・再検討》


 その紙に押された封蝋が、

 冷えて固まる頃。


 遠い空の彼方で、

 雲が、わずかに裂けた。


 白いものが、

 一瞬だけ、覗く。


 それが竜なのか、

 ただの光なのか――

 誰も、まだ知らない。


 だが、ひとつだけ確かなことがある。


 この畑は、

 もう「放っておける存在」ではない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ