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1. 夢:木造住宅

読む際は、自己責任でお願いいたします。

また、読んだあとに何かあっても責任は取れません。

ご了承ください。


友人宅で遊んだ帰り道、気づけばあたりは真夜中で、私は古びた建物の前に立っていた。


築年数は明らかに古く、おそらく、私が生まれるよりもずっと前の、明治末期から昭和初期に建てられたであろう木造の外観をしていた。建物の高さからして、二階建てはあるはずなのに階段がなく、屋根は瓦、建物の敷地は何も隔てていない。ポストもなければ、建物の表札もない。



今回も含めて、夢の中でこの建物に出会うのはもう三回目になる。


毎回、これが夢であることを認識しているし、同時に、この建物がいわく付きであることもわかっていた。


いつも決まって、私はこの建物の入り口から共用廊下、突き当たりの出口までを眺める。


入り口も出口も木製の枠にすりガラスの引き戸となっている。


外観同様、内装もまた古びていて突き当たりまでの廊下、地面には砂埃が溜まっていた。


廊下を歩けばジャリッとか、カツンとか音が鳴る。


入り口から入り、廊下の右手に各部屋が出口へ向かって並んでいる。各部屋と廊下の境には大きなすりガラスの引き戸がある。その引き戸がいつもは開いていて、部屋の様子が見える。各部屋には、本が積まれていたり、散らかっていたりと、まるで学生寮のようである。部屋の天井は、現代的に言えば、ロフトのようになっていた。


各部屋には誰もおらず、外出しているのか、もとからいないのかはわからない。


廊下の真ん中あたり左手には、学校でよく見かけた蛇口が六つほど並んでいる。


廊下と左手外の境にもすりガラスの窓がある。


廊下の天井は高く、入り口から出口まで白熱灯の剥き出しになった照明が続いている。この照明は、付いているところを見たことがない。


出口も入り口と同じような作りだが、一点だけ違うのは、出口と一番奥の部屋との間には一本の道があり、その道の突き当たりにはドアがあると認識している。


この夢を初めて見たときは昼間だった。真夏日のジメッとした湿気に、ジリジリとした暑さがあった。二回目は真夜中で、一回目と同様に夏のように感じたが、このときはヒンヤリとして涼しく感じた。二回とも廊下の照明も各部屋の明かりもなかった。部屋の引き戸は開いていたから中の様子もわかった。


今回は、違った。


冒頭の通り、あたりは真夜中で、私はこの建物の前に立っていた。建物の入り口から廊下、突き当たりの出口を眺めた。


各部屋の引き戸は閉まっていて、出口側、一番奥の部屋から明かりが漏れていた。誰かが住み始めたのだろうか。


私はその光景を見て、

珍しいこともある。いつもなら引き戸が開いているのに───そう思いながら明かりの発生源へ近寄って行くと、


その明かりの漏れた部屋から、だんだんと何か、音楽がかすかに聞こえてくる。


私は、この建物がいわく付きと知っていたから、夜になると怪奇現象なり物音がすごいからといった理由で、新しく住み始めた住人が音楽を流すのかもしれないと思った。


だが、いつもは感じなかった恐怖にも近い感覚が身体中を包み始めていた。この部屋には得体の知れない何かがいるのではないか、幽霊がいるのではないかと思い、私は恐れを感じていた。


音楽はどのジャンルにも当てはまらない。

もしかすると、この部屋の誰かが喋っているのではないかとも思った。


その部屋の前を通り、出口に差し掛かり、最後に右手の通路突き当たりを見ようとした。


そのとき、私の背中に何か風のようなものが触れるのを感じた。次第に、その風は強くなり、突風となって、私の背中を押した。私は出口から外へ追い出され、風が止むことはなく、私の身体を持ち上げ、そのまま建物の敷地外へ吹き飛ばした。


「出て行け!」───そう、言われたように感じた。



目が覚める。


そこは真っ暗な私の寝室。隣には妻が眠っている。幸いにも金縛りという現象まではなかったが、なぜか背中が痛い。激痛である。


時間は真夜中の三時近く、これはダメだと思い、とりあえず、妻を無理に起こし、事の顛末を共有した。


トイレへ一緒に行くかと聞いて、


怖いの? と笑われる。


また、妻は眠ってしまった。


さあ、どうする私。


そう思いながら、呪いのビデオ的スタイルでみんなに共有しとけば、大丈夫だ!と思い、これまでのことを書き上げてしまった。


最初に自己責任で読んでくださいと書いておけば、まあ、読者に何かあっても私の責任ではないだろう。


投稿したあと、


隣の妻から声をかけられた。


「これを持って行きな」


私は、妻の好きなぬいぐるみ ヴォンバッドちゃんを託され、そのぬいぐるみを持ってトイレへ向かった。道なりにある電気を付けながら。


のちに調べてわかったのですが、明治時代に建てられた木造住宅に似ていました。外観は本郷館ほんごうかんに近いです。

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