終章:幸せいっぱい
「ここをこう折って、ほら」
千代は彩羽に鶴の折り紙を見せた。
「わぁ!ママすごーい」
悠里はそれを遠くから見ていた。
「悠里もやりなよ。見てばっかりいないで。」
「俺、不器用だから」
「いいからいいから」
と、悠里を押した。
「わぁ」
「彩羽も、あと3年で小学生ねぇ」
千代は息を吐きながら座った。
「あと3年もあるじゃないか」
「何よ。娘の成長が楽しみじゃないの?」
千代にバシッと言われた悠里はもごもごした。
「あと3年でいろはもしょーがくせー?3年ってながいねぇ」
彩羽は感心したように何度もうなずいた。
「いろちゃんはかわいいね。おばあちゃんに会いに行く?」
千代は彩羽の頭をぐりぐりと撫でた。
「行く!」
彩羽はガッツポーズ(?)らしきポーズをした。
「おばあちゃんのご飯おいしーの」
彩羽はよいしょと立ち上がって駆け回った。
「それじゃいこっか」
千代が彩羽を抱き上げる。悠里もそれについてきた。
「そっちはどう?レストランとか」
「順調だよ。今度、お偉いさんに認めてもらったら2つ星になれるはず」
「すごいね!」
千代は感心したように言った。悠里はそんな素直な千代が好きだった。
「れちゅとらん?」
「うん、パパはね、レストランやってるんだよ」
「行く!いろはも行きたい!」
「そうね、また連れてってあげるね」
千代はまた彩羽の頭を撫でた。彩羽は満足そうにうなずいた