人生は千代紙!
「お姉ちゃん、大学合格おめでとう!」
千里が近くに寄ってくる。千里は桜城の制服を着て、にこにこしている。千代は念願の翼教育大学に入ることができたのだ。千代の将来は保育士へ一本道だ。千里はまだ夢はないというが、漫画家になりたいと思っているようだ。千里が漫画を描いている姿が千代の目に浮かぶ。
「千里もおめでとうね。」
「遅いよ~」
千里はふざけるように言う。
「仕方ないでしょ?受験してたんだから」
「まあ?」
千里はやっぱり不満のようだ。
(わかってるよね)
(わかってるよ。当たり前でしょ)
二人は目で合図した。
「お母さん、開発成功おめでとう!」
千代と千里は花束をお母さんに渡した。お母さんは驚いて、涙を流した。
「千代、千里」
「お母さん、この頃体調悪そうにしてるけど大丈夫?」
千里は反射的に言ってしまった。千代にそれだけは言うなと言われていたのだ。でも、千里はそのことが心配でたまらなかった。
「うん。それは、それはいいのよ」
お母さんは千里に向かってそういった。千里は何か隠されてる気がしてたまらなかった。
「あーあ。なんで言っちゃったのよ。お母さん、そのことにはふたをしておきたいの。」
千代は千里に向かって怒った口調で言った。
「なんで教えてくれないの」
「それは…」
と、千代は口をつぐんだ。
「それはね」
と、千代は千穂の話をし始めた。
「私にもう一人お姉ちゃんがいたの!?」
「しー!お母さんには話さないでって言われてるから。」
「わかったわかった。」
そして皆が大人になってゆく。千代はこう思った
私は声を大にして叫びたい!
「人生は千代紙!」
と。