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千代は高校生になった。よもぎでは高校進学確認テストというのがある。そのテストで30点以下だと高校には入れない。千代のクラスで落ちた人はいなかったが、4組の4分の1は落ちたらしい。千代が高校になるまでの間に起こったのはこの2つ

・澪奈とは関係があんまりになったこと

・華恋と親友になったこと

今回はこの二つのことと高校になるときに起こったことを紹介する

・澪奈とは関係があんまりになったこと

理由はいくつかある。

一つ目の理由は澪奈が高校受験をするから。澪奈はよもぎを出て高校受験をすると決めたそうだ。澪奈がそのことを決めてから澪奈は千代に対して冷たくなった。「私高校受験するの。えらいでしょ。」みたいな圧力を出すのだ。千代が澪奈に話しかけても見下してくる。千代は澪奈が怖くなったあんなに優しく話しかけてくれた澪奈なのに。2つ目の理由はどちらも彼氏ができたこと。二人で遊ぶ機会もなくなったというシンプルなことだ。

3つ目は千代も知らない。澪奈のお母さんが千代と付き合うなといったからだ。再現すると

「澪奈?まだあの子とやってるの?あんな馬鹿な子と付き合わないで!」

のように言われたのだ。澪奈もそれのため千代に冷たくしたのだろう。

・華恋と親友になったこと。

これは、千代も澪奈と別れてしまい、華恋も友達と決別してしまったということだ。親友ではないが亜優美とグループだ。

千代は華恋と話が合い、千里も華恋と友達だ。華恋のほうも千里を気に入った。そして華恋の弟にも合わせてくれた。その前までは体が弱いからと合わせてくれなかったのだ。

高校になってから

高校の確認テストは満点だった。塾で千代は華恋と一緒にそのことを笑いながら話した。

「でねー。翔がけんを持って遊んでたの!小5にもなって剣で遊ぶとかお子様だよねー」

華恋が人見知りなのは最初だけのようだ。

「ねえ明日千代ちゃんち遊びに行っていい?あのお仕事図鑑千里ちゃんにも見せてあげたいんだ。」

華恋は嬉しそうに言った。

「いいよ。千里も華恋ちゃんのこと好きって言ってたし。家に来るのはちょっとしかないもんね」

「へぇ。うれしいなぁ。まだ小5はかわいいね」

「そっちも小5でしょ」

千代は華恋とそういう会話を毎日交わしていた。同じことしか話してなくてもお互い楽しいのだ。それが気に食わなかったのが澪奈だった。澪奈は高校受験に成功して、青柳高校に入学した。しかし

「何なの?私と別れてすぐ友達作って」

澪奈もその言葉にびっくりした。今まで自分は純粋だったのだ。だったのになぜこんなに人を見下しているのか、嫉妬しているのか。考えるだけで息が止まりそうだった。少し遠くにいるはずの二人の会話がやたらと大きく聞こえた。澪奈は耳をふさいだ。これは澪奈の特殊能力だ。耳をふさげば様々な音が聞こえる。数年前の音もはっきりと聞こえる。いつもはお母さんの声とか小学校の時の友達の声とかが聞こえるのだ。だが今日は違った。千代の声しか聞こえてこないのだ。

「うぅ」

澪奈はがっと立ち上がって教室を出た。椅子も倒れてみんなの注目の的だった。澪奈は走って走って塾の外へ出た。もうすぐ授業が始まることくらいわかっていた。でも教室になんか行けなかったのだ。しかし、澪奈は勇気を出して教室に行った。

「澪奈さん、遅いですよ。どこに行っていたのですか。」

「ちょっと、トイレに行ってたら混雑してて」

澪奈はとっさになって嘘をついた。授業が終わる前は塾の校外に出てはいけないと決まっているのだ。

「そうですか。これからは気を付けてくださいね」

「はい」

澪奈は静かに椅子に座った。千代は変だと思った。

次の週末

お父さんは今は旅行をやめて研究をしている。研究が成功すれば、この家はお金持ちになれるらしい。

「千代、千里。ただいま」

千里は走ってお父さんのもとへ行った。

(げ)

千代はそそくさと逃げた。

「どうしたんだ千代。調子でも悪いのか。」

「違う」

「お姉ちゃん?」

千代は千里のキョトンとした顔に正気を取り戻した。

「ううん、何でもないよ。お父さん見て、これ、この前学校でやったロボット研修で作ったロボットが表彰されたの!」

千代は高校生だとは思えないほど明るく言った。

「え!?すごいじゃないか。やっぱり僕の娘だ。範囲は?」

「日本。でも私は佳作だよ。亜優美ちゃんは審査員賞取ってた。」

「すごい!みせて」

しかし、千代はこの時抑えきれないくらいの胸のゾワゾワが広がった。さっきの幼い笑顔は一瞬にして消えた。

「もう、私子供じゃないんだけど。あと2年で成人だよ?マジでウザい」

千代も自分の言葉にびっくりした。でもこの状況でなかったことにはできないし、なかったことにしたくなかった。だって今言わなかったら、ずっとこのままだろう。

千代は走って自分の部屋にこもった。あの5年前のあの時のように。

一方リビングにて家族会議が行われていた。なぜか千里も参加している。

「千代も始まったのかしら。反抗期が」

「そうだねぇ」

お父さんは100年生きた人みたいな遠くを見る目で言った。

「今日のお姉ちゃんなんか変。今日じゃなくてここ最近」

お母さんは困ったように千里にうなずいた。

「千里も成長したのね。ねえねじゃなくてお姉ちゃんになって」

「ちょっと前からだよぉ」

千里はクシャっと顔を笑わせたけど少し硬かった。

「どうしようかねぇ」

お父さんはまたさっきの顔をした。

「まぁ、成長の一部なんだしちょっと話さなかったらおさまるわよ」

お母さんの鶴の一声で家族会議は一瞬で終わった。

千代は自分の部屋でアルバムを見ていた。アルバムには生まれたばかりの千代をお母さんが宝物のように抱いている写真から千代が中学校に入学した写真までがある。すごく分厚くて、合格・入学祝いにお母さんに「これからどんどんためていくの」と言われもらったのだ。

もらったときは、使い物にならないと思っていたのだが今は少し心を癒してくれる。中でも千代がお気に入りなのは千里の一歳の誕生日に千代が千里を抱っこしている写真だ。この時は千代にとって初めて千里(人でもある)を抱っこした記念日なのだ。なぜか、涙が頬を伝っていた。

「お母さん、お父さん」

 それからも千代の反抗期は続いた。いただきますと言う習慣も日々日々消えていったし、何かというと論破してくる。二人が何も言えなくなっていると千代はいつの間にか消えているのだ。実際は家を出て悠里に愚痴を言っているだけだ。悠里はもう反抗期はとっくに終わっている。お母さんには男子のほうが成長が遅いと言われたのに私はまだまだ子供だなぁと思う千代だった。

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