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まさかの再会

「ゆ、悠里!どうして、東京に行ったんじゃないの?っていうか、なんで私の居場所知ってるの!?ストーカ?」

千代の前には悠里がたっていた。あの、東京に行ったはずの悠里が。千代は、自分のことを追いかけられたと思い、警戒をほどかなかった。

「そんなんじゃない。」

悠里は千代に近づいた。

「じゃあなんで、」

「すべて話してほしいか。」

悠里は少し悲しそうだった。千代は少しためらう。しかし、自分を守るためには悠里の話を聞かなくてはならないと考えた。

「あ、当たり前でしょ!」

悠里は口をひらいてまた少し閉じてあけた。話したくないようだ。

―悠里はあれほど受験を頑張ったのに東京の中学に行くことはできず、緑川付属に行った。悠里は悔しくて悔しくて何も考えられない毎日だった。しかし、緑川付属では成績がよく低い学校に入る意味も分かった。だが、周りの子がすごいところに入っているのを知って、また気持ちが落ち込んでいた。

悠里が学校から帰るとき、足元にプリントが落ちた。名前が書いてあったので家に帰って捨ててあげようと思い拾ったとき、野村千代という名前が目に入った。

「野村。よもぎの1年かぁ。あの野村にも俺は負けてしまった。のか。」

悠里はまた落ち込み気味で、顔を上げた。と、そこにはよもぎ中があった。自分の家の近くにあったのだ。悠里はもう一度千代に会ってみたいと思った。―

「やっぱりストーカー。」

千代はため息交じりにつぶやいた。悠里は小学校の時から、少しネガティブな性格で、悪いことを予想してしまうのだ。理科の実験のことを思い出すと千代はぞっとした。サクッというと面倒だ。

「ってことなので」

悠里は後ろを向き、帰りだした

「はぁ?」

千代は怒ったように帰り路を歩く。気配を感じて後ろを向いた。

「なんでついてくんの。ストーカー」

「帰り道、同じ方向だけど。」

悠里は平凡な様子で答えた。

「そうか」

千代はふらふらと帰った。何もしゃべらないのが気まずかった。

「悠里、変わったね。ちょっとだけだけど。少しポジティブになってきたかも」

悠里は嬉しそうにうん。とうなずいた。悠里は走り出して、じゃといって走っていった。

次の日の帰るとき

「…」

千代は目を疑った。また悠里がいたのだ。

「悠里さぁ。そんなに遅くていいの?」

「うん、俺部活も入ってなくて1時間は遊んで来いって親に言われてるから。野村俺の暇つぶし。」

悠里は千代と自分を指で指してジェスチャーで示した。

「暇つぶしっていうほどしゃべってないのに。」

千代は悠里に聞こえるようにぼそっと言った。

「私も塾あるの。毎日来られても困るんだけど。」

「ちょっと話したいだけだから」

悠里は千代に近づいた。だが、千代は悠里が一歩近づくほど反対方向に動いた。

「危険」

千代は大きな声で言って、走って帰った。

「そんなに嫌だったかなぁ」

悠里がとぼとぼと歩き始めた。

「野村」

千代が女の子と手をつないで歩いているのが見えた。小学生ぐらいだろうか。

「野村!」

悠里が呼ぶと千代はむっとした顔をした。

「こっち来ないで。妹だから。勘違いされても困る。何か言いたいことあったら言えばいいじゃん。」

「野村も変わったな。なんか、私立の子って感じがする。強くなったっていうか」

それだけ言うと帰ってしまった。

「ねえね。あれ誰?彼氏?好きな人?」

千里が秘密めかして言った。千里のクラスでは恋占いが流行っているのだ。

「ち、ちがうよ。だから誤解されるって言ったのに。ホン、とに好きじゃないからね」

千代はびっくりしながら言った。

「ほんとー?じゃあ、私が占ってあげようか。」

「い、いやだ!」

あいのゆうりとのむらちよ合わせて11文字だ。ぞろめがでればいい感じ♡となっているのだ。千里は千代をにらんだ。

「ほんとだよ」

千代は千里の頭を撫でた。それから千代は少し気になったことがあった。

「ちーは好きな人いるの?」

「秘密ね。ぁぉぃくん」

千代は息が止まりそうになった。愛生君は千里の習い事仲間で2つ上だ。それはそれは顔はいいわピアノは上手だわ優しいわ完璧な子だった。

「センスいいね」

千代は目を大きく見開いていった。うふふふふと千代と千里が笑った。二人とも女同士でよかったと思った。

「また悠里」

また次の日も校門の前に悠里がいたのだ。

「ほんとにやめて。私のこと好きなんでしょ。」

悠里は顔を赤くするとうつむいた。

「私が悠里に厳しくしてたのはちゃんと気持ちを言ってもらうためだよ。私は悠里のこと嫌いじゃない。今の悠里はね。昔は嫌いだったよ。自慢ばっかりのネガティブマンなんだもん。ね。」

「うっ」

「まっ、自分のタイミングでいいけどね。いわれたときに言うのはさすがに気まずいもんね。悠里とはそういう関係になるまで、一緒に帰らないよ。」

千代はそれだけ(結構言ってる)いうとすたすたと帰った。

「なんでわかるんだよ」

悠里は悔しそうなしている一方、千代は晴れやかな顔をしていた。

「あー、すっきりしたー。男は甘いなー。すぐばれるんだから」

「ただいまー」

千代は大きな声で家に入った。しかし、家はシーンとしていた。両親がいる日のはずなのに。机の上に置手紙があった。

―千代へ 千里の調子が悪くなったので病院へ行っています。何もなければ5時くらいに帰ります。その時間を過ぎたら連絡してください。―

千代はすぐさま時計を見た。ちょうど今長針がカチッと動いたところだ。時計は4時半を刺している。

「あと30分か。大丈夫かな」

千代は胸の奥がぞわっとした。もし、千里に何かあったらと考えると怖いのだ。

「だ、大丈夫だよね。大丈夫、大丈夫。」

千代はそう自分に言い聞かせて宿題と予習に取り組んだ。それをやっていれば大体30分かかる。だけど、ラストスパートに入っても帰ってこなかった。時計を見れば4時56分だ。千代はさっきよりも強いぞわぞわを感じた。千代はスマホを開いて澪奈に連絡した。

―千里の調子が悪くて病院へ行ってるみたい。5時に帰ってこなければ何かあったって書いてあるけど、大丈夫かな

千代は指が震えて最後の「。」が打てなかった。

―多分だけど香織さんがぐったりした千里ちゃんをおんぶしてタクシーに乗るの見たよ。すごい顔が青いとかじゃなかったけど。

千代は苦しくなった。もしかしたら、澪奈は私を気づかって顔が青いとかじゃないといっているのかもしれないと思った。

―それ、どこで見たの。

―公園のところ。結構進んだのかな。

千代はおかしいと思った。お母さんは力がないから家のところでタクシーを呼ぶはずだ。それによく考えてみればお母さんは車を持っている。

―それ千里じゃないかも。お母さん車持ってるし、そんな遠くまで行くはずないし。

―じゃあ違うかな。ごめん私今習い事なの。

と、澪奈にはあっさり切られれしまった。時計を見ると5時10分だ。千代はまたスマホを手に取りお母さんに連絡した。

「もしもし、千代?」

「うん。千里に何かあったの?」

「うーん。何かあったわけじゃないんだけど、いやわかんないんだけど、千里ぐったりしちゃって点滴中なの。」

「病状とかは?」

「帰ってくるときに急に顔青くして倒れたって聞いてる。一緒に帰ってきたこが、学校の電話番号知ってて、公衆電話で連絡してくれたんだって。千里は吐き気がして体が熱いって言ってる。咳とかはないけど…」

千代は怖くなった。

「そう、大丈夫じゃなさそうだね。朝は?」

「普通だったよ。でも、学校の体育で張り切りすぎて保健室に行ったとは聞いている」

「うん。いつ帰ってこれそう?」

「今の状態だと今日中は無理かな。コンビニでお惣菜でも買っといて。」

「はい。お大事にね」

「うん」

ぷつっと電話が切れた。千代の頭にはどうしようということしかなかった。今の自分にできることは千里の無事を願うことだけだ。千代は家を出てお惣菜を買いに行こうとした。

「あれ?野村?」

「う、悠里…も、もう話さないって決めたでしょ。」

「なんで話さないんだよ。恋人じゃなきゃ話しちゃいけないのか。」

「ちがう。そうしなかったら悠里ずっと私のストーカー続けるでしょ。もういい」

千代は全力で走った。悠里は結構怖い。このまま行ったら千里のことを言われそうで怖いのだ。コンビニについて後ろを振り返ったけど悠里は追いかけてきてなかった。千代はほっとしてコンビニのとんかつ定職を1パック買った。コンビニを出たところで茶色の小瓶が鳴った。千代のスマホだ。

「もしもし。」

「もしもし、千代?千里ね、学校でいじめられてたんだって。」

「え、嘘でしょ」

「嘘じゃないわ。でも、千里は勉強もできてクラスのアイドルって感じだったからいじめられてもおかしくない。それでストレスと疲労で倒れたんだって。」

「帰れそう?」

「うーん、千里の気持ちと体が落ち着くまで帰れないかな。でもちゃんと学校に連絡して休ませればちゃんと治るから安心してね」

「うん。ありがとう。今お惣菜買ったとこ」

「はーい。じゃあね。また連絡するね」

千代はため息をついた。まさか千里がいじめられてたなんて。千代は歩いて家に帰った。家に入ろうとしたところで。

「野村!」

「何なの。遠くから来ないでよ。」

「俺は、千代が好きだ!」

千代はにこっとした。

「私もだよ。悠里。小学生の時は嫌いだったけどね」

悠里は千代のほうへ近づいた。

「それにしてもあそこまで冷たくする必要あったか」

「冷たくしたら、早めに言っとかないとみたいな気持ちになるかなって」

「それって、千代が俺に告白させる作戦?」

悠里の顔がちょっとこわばった。千代はにかっと笑った。

「じゃあ、かえってね。また明日はなそう」

千代は家に入った。うれしい笑顔で入っていった。

翌日のまた翌日

「ねえね!」

「千里―!お帰り。大丈夫だった?」

「うん!」

千里が手を洗っている間お母さんは千代に話した

「千代ありがとうね。二人がちっちゃい時に交換し合った折り鶴が千里を元気づけたの。」

「そうなの。お母さん!」

千代はタイミングを見計らって声を上げた。

「うん?」

「私ね、彼氏できたよ」

お母さんは3回目をパチクリさせた。

「誰?」

「悠里。自慢屋だったけど、今は違うの。」

「よかったわね。」

お母さんはそれ以上何も言わなかった。お母さんは彼氏ができたということは反抗期ももうすぐだろうと思い、過度に心配するのもやめようと思ったのだ。千代にそれはわからなかった。

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