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音と心  作者: ふみりん
4/5

一人暮らし

親元を離れて自由を手に入れた美幸は学生生活を楽しんでいた。親からの仕送りは限られていたので、バイトで遊ぶお金を稼いでいた。折角入った学校なので単位だけは落とさないようにと親にはいつも言われていた。留年だけは免れたいとテスト期間だけは必死で勉強した。

テスト期間になると加奈子とさとみがお菓子を持ってやってくる。カセットで色んな曲を聞いたり、お菓子食べたりして眠気を飛ばしていた。一人で勉強するとすぐ寝てしまうので3人で集まって一夜漬けもした。しかし一睡もしないとテストの午後が眠くて仕方ない。何事もコツコツやる事が大切なのはわかっていたが部活や友達との遊びが優先されていく。


「次はチューリップでいいかな?」

加奈子はチューリップや日本のフォーク・ソングが好みだった。

「次は甲斐バンドで」

さとみは甲斐バンドが好きで甲斐バンドの良さを必死に語ってくれた。テレビで甲斐バンドを見た時は大分大人で美幸のタイプではなかった。さとみの彼が長髪で不良ぽかったのは頷ける気がする。

「次はビートルズね」

美幸はビートルズやエルビス、ジョン・レノンの曲を用意していて順番に聞いていた。

「ながら勉強してはいけない」

と高校生の時には父に言われていたが、親元をはなれて注意する人もいない。自由を謳歌するには一人暮らし最高だった。


試験が終わると3人でよく飲みに出かけた。カラオケはこの時代一曲歌う毎にお金を入れて歌うシステムで、良く考えて、自分の十八番を歌っていた。

声の質で歌う曲は違ってくる。

高い声の加奈子は聖子ちゃんの赤いスイトピー、

声の低い美幸は明菜ちゃんの飾りじゃないのよ涙はをよく歌った。踊りながら歌うとウケが良いので振りもつけていた。

そこでも色んな人と出会う。学生、警察官、役者、話を聞くことは面白かった。役者の人は黒澤明の映画に少し出たんだと自慢げに話をしてさとみを口説いていた。理系の私たちは看護学部ですと嘘をついて自分達の事は余り話さないようにしていた。一応身元がバレないようにガードしていたようだ。


ディスコにもお金を貯めてよく行った。この頃はマイケルジャクソンの曲がとても流行っていた。プロモーションビデオでスリラーを見て真似する人が多かった。ディスコではロボットダンスする男子もいた。

後半にチークタイムのスローな曲がかかると美幸はそそくさとその場を去った。きっと自分には声をかけてくる人等いないと思い、先手を打った感じだ。


ある日美幸はさとみと映画に行った。フラッシュダンスはとても流行っていたので後ろの席で立ち見だった。

「この映画の衝撃といったら何と表現したらいいのだろう?」

歌といい、踊りといい、若者には最高の作品だった。


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