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音と心  作者: ふみりん
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音との出会い

皆で歌ったり、弾いたりするの楽しいね♫

幼稚園の頃、母は妹をおんぶして音楽教室に来ていた。皆で歌ったり、オルガンを弾いたりした事を覚えている。

「小鳥がね、お窓でね、おくびをふりふり聞いてるよ」

そんな歌は今でも口ずさむ。

マグネットを使って遊びながら音階を覚えていた事も。

両親は情操教育の1つに幼い頃の音楽教育が大切だと話していた。読み書きよりも早く、歌や音に楽しむ事は心が豊かになるのだろう。桃子は今でも色んな曲が好きで、娘達にも同じように音楽に触れさせてきた。


初めは1つの音を真似する。

そして繋げてみる。

メロディーが生まれる。

左手で和音を弾いてみる。

「何か気持ち良い」

幼い頃は調とかわからずに弾いていたが、楽しい曲、悲しい曲、色んな興味と出会い、奏でる音が心に響くとホッとするようになった。

これが音への憧れの始まりだったと思う。


練習して、曲が弾けるようになると皆で合奏する。個人で弾くよりも音に厚みが出る。パートに分かれて1つの曲を皆で弾くと美しいハーモニーが作られる。オーケストラに繋がる音の世界を学んだようだ。


オルガンは音を間違えなければ正しい音階を奏でる事が出来る。しかし歌はそうはいかない。自分では同じ様に歌っているつもりでも違う音階になっている事がある。声の質も響きもその人が持っている要素が大きく影響する。自分に美しい声があったら声楽に進めるのにと思った。


「桃ちゃん、こっちの世界に戻ってきて」

音楽教室の先生に言われた。幼い頃は集中してレッスンするのは難しい。ついつい自分の世界に入り込んでしまう。先生はあの手、この手で子供の興味を自分に向けさせる。母の根気と本人のやる気がなければ幼児が習い事を続けるのは難しいと思う。

「さよなら、さよなら、これで今日はお別れしましょ」とレッスン最後の歌っている時が1番元気な声だったかもしれない。


小学生になると個人のピアノレッスンに変わった。友達と合奏するのは楽しかったが、一人になって何だかつまらなくなった。弾く曲も同じ様な曲や練習曲で音を楽しむと言うより、弾き方の練習のようだった。殆ど練習しない日が続いた。友達と遊んだり、本を読んだりしていた。


発表会があっても余り練習しなかった。当日かなりミスってしまった。顔も真っ赤になってますます弾くことが嫌いになった。辞めたいと思っていたがピアノを買ってくれた両親には言えなかった。

「こんなに練習しなかったら上手になるはずがない」自分でもわかっていた。


中学になって部活はバレーボールを選んだ。これをきっかけにピアノを辞めた。

今になって思う。

「吹奏楽を選べばよかった」と。

しかしそこには、ピアノを辞められてホッとしている自分がいた。

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