問いの続きは、君とじゃなきゃできなかった
ゴールデンウィーク。
ユウは、ふと思い立って電車に乗った。
向かったのは、ナナミが通う研究施設の最寄り駅。
「前もって言えよ」
駅の改札で出迎えたナナミは、やれやれという顔をしながらも、
なぜかほんの少しだけ嬉しそうだった。
「お土産は?」
「問いひとつ」
「それは受け取ろう」
ふたりは研究所近くのベンチに腰を下ろす。
「なあナナミ」
「ん?」
「“また会いたい”ってさ、なんで生まれると思う?」
ナナミは少しだけ考えて、答える。
「一度“この人じゃなきゃだめかもしれない”って思った記憶が、
心のどこかに残るから」
「それって、確信じゃなくて?」
「ただの仮説。でも、何度も検証されて、まだ否定されてない」
ユウは笑った。
「つまり、今の俺たちがそうってことだよな」
「観測的には、そうなる」
しばらく風の音だけが流れる。
でも、そこに言葉はいらなかった。
帰り際。
ユウは、駅の階段を降りる前にナナミへ言った。
「俺、たぶん“問いのある関係”しか長続きできない気がする」
「私も。だから君とは、終わらないと思う」
「それ、確信?」
「いいえ、“期待値”」
ふたりは、別々の電車に乗った。
でも、その会話はまだ終わっていなかった。




