52 ダブル・スタンダード
せっかく「テス」の話を思い出したので、純文学の話をします。
「テス」は結婚するにあたり夫になる人に、実は純潔ではないという過ちを手紙で告白したが、彼にその手紙が届いていなかったので結婚後にモメてやがて…という話です。
もちろんもっと文芸調で格調高い文体ですが。
これを責めるなら、夫側も勿論ヴァージニティを守ってなきゃいけないと思うんですが、そうでは無い。
男は良くても女のそれを許せないっておかしくない?と、ダブル・スタンダードなんて言葉も知らなかった当時の私は、読みながらムカついてました。
純文学では、男はいいの許されるのよ〜。跡取り息子ならちょっとのハメ外しは大丈夫〜という感じの話が多いです。相手役の女性は立場も弱く、生活のために身を落としていたりするのですが、それは許されない。
社会情勢とかを分からないまま読書していた私は、なんでこんなに簡単に借金ができるんだろう?とか思ってたわけですよ、馬鹿ですよねぇ。
跡取り息子なので、将来絶対に回収できるから金貸しも簡単に貸してくれるんですよね。
「舞姫」なんか本当に、男性主体の話だよね~と腹が立ちました。
「いい友達だけれど、憎む気持ちもある」(意訳)なんてさぁ、自分の不甲斐なさを棚に上げて言うなよ、と思うんですよね。
エリス側から見れば、子どもまで出来て結婚してもらえると思ってるのに、放り出されてお金も仕事もない、そりゃおかしくもなるでしょうよ。
でもこの話、もしきちんとエリスを連れて帰って結婚してたら、そんな小説の需要があるんだろうか?
悲劇ぶってるけど、「旅先でのアバンチュール」的な話に思えるんですよね。他人の人生を台無しにしちゃってる辺り、もっとたちが悪いと思いませんか?
それを言うなら「テス」も、ラストはそれはもう酷い。ヒーロー側が煮え切らないあまりに、ヒロインが振り回されて、あんな事に…
誰も不幸にならない話って、小説の題材になりがたく、書くのも難しいな〜という話でした。




