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寄る年波  作者: きむらきむこ


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 146 母の入院、その後

 実家の母の施設行きが、濃厚になってきました。

と、言うのも入院生活が長くなってきた割に、リハビリがあまり進んでないのです。


 基本的に独居老人なので、もし家の中で転んでしまったら……と思うと、誰も助けに行けない可能性があるからです。


 手術前なら、足が痛くても自分一人で歩けていたのに!と母は、手術を受けると決めたことをものすごく後悔しているようです。


 母の頭の中では、術後にスタスタ歩いている友人の姿だけが、理想の形としてあったようです。


 痛い、入院生活で自由が利かない、友達にも会えない、というストレスからか、会うたびに「死にたい、死にたい」としつこく言います。


 加えて「死にたい」作文をあちこちに書き散らしては、看護師さんに見えるように置いとくのです。


 先日、見かねた看護側からの提案で、気分が変わるようにと、外出許可を勝ち取りました。


 「死にたい作文」でのゴネ勝ちです。


 外出許可の一言しか耳に入らない母は、「三十分」という時間制限には全く頓着しないまま……


 忙しい中時間を作って母の外出に付き合った妹に、「私の外出に合わせて休みとるくらいしたかて、ええやろ!」と文句を言い続けました。


 もともと病院側からの「三十分」を、母は妹の都合での「三十分」だと思ったようなのです。


 妹は近くに住んでいるのもあって、洗濯物やら差し入れやら色々と母に代わって対応してくれているのに……


 私から見ると、妹はそこまで母にしなくてもええやん、と思うくらいに優しいんですけどねぇ。


 母サイドからは、「もっと恩をかえせ、親孝行しろ」という態度が透けて見えるので、面会に行くたびに気が重くなります。


 自分の母親にも、義母にも、介護なんか一日たりともしたことのない私の母は、自分の娘たちにとてつもない献身を求めてきます。


 看護師さんたちにも、ものすごく要求が厳しいだろうな……


 自分の命を盾にとって要求を通してくる患者……

考えただけでも、退院の日が待ち遠しいですね。


 私が看護師さんなら、万歳三唱で母の退院を見送ると思います。


 とりあえず、今週中にまた面会に行って、施設の件を話し合ってきます。



 

 

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― 新着の感想 ―
このエッセイが大好きです。 私は大学生の時に母が病気になり、介護をし、看取り、実家を出ました。 細々とした手続きから、何かを買ったりだとか、とにかく身の回りの事を整理してあげるの、大変ですよね。 身…
お疲れ様でございます。 義母は万歳三唱されたと思います。 退院の付き添いをした義妹の話では、1秒でも早く帰って欲しそうにされ、無言の見送りをされたそうです。 義妹は「恥ずかしかった」と言っていました…
死にたい作文―― これはまた新たなパワーワードを……苦笑。
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