14 かんころ餅
今は亡き父の出身地が、長崎は五島列島でした。
元々は諫早の駅前で酒屋をしていたそうなのですが、祖父に赤紙が来てそのまま祖父母の実家のある五島に引き上げたのだと思います。
そのへんの詳しい話は聞いたことがないので分かりません。 本人もあまり話しませんでしたし、というか父本人も子どもだったので知らなかったのかもしれません。
聞きかじりの知識をつなぎ合わせると、終戦後に生まれた子を含めて五人を育てるのに苦労した祖母が婚家に上三人を預けて、下の二人を連れ再婚した、という事実しか残りません。
祖父の実家の居候をしながら中学卒業まで面倒を見てもらった父は、その後も大伯父の家とそれなりのやり取りをしていて、年末には手作りの食品なんかも五島から届いておりました。
五島列島の特産品に「かんころ餅」というのが有りまして、私はこの「かんころ餅」というのが、大好きなのです。
言ってみれば餅米を少なくした分、さつまいもで誤魔化すという庶民の知恵的な食べ物なのですが、ほのかに甘く、生姜などでピリッと、薄く切ってトースタで焼くと、とても美味しいおやつになるのです。
家によって味が違うのですが、父の従兄弟の家で作るかんころ餅が私も妹も大好きで、送られてくるととても嬉しかったのです。
観光客向けに真空パック包装の「かんころ餅」というのも販売していて、取り寄せも可能なので昔取り寄せてみたのですが、なんというか「〇〇の切り餅」感が抜けませんでした。
(一昨年、お墓参りで五島に行った際に買ってみましたが、なかなか美味しくなってました)
父が亡くなって、実家でお餅をつかなくなったので、この数年はもっぱらパックのお餅を食べているのですが、今年はちょっと贅沢して少しお高めのお餅を買う予定です(これを投稿した時点で既に買っているはず…)
パックのお餅も便利で使い勝手が良いので、普段、買い置きには愛用してます。
なんと言ってもカビないところが、最高です(笑)
私が子どもの頃は、田舎のおばあちゃんが送ってくれたお餅(杵つき)が、正月も七日を過ぎると怪しい点々が浮いてたりして、削って食べされられたのです。
なんでお鏡なんか作るねん、鏡開きの頃には確実に硬くてカビてて最悪やん、と子ども心に思ってました。
一度カビると削ったところで、全体にあのカビの味がついてしまうので、飲み込むのが辛かったです。大好きなかんころ餅は甘く味がついてるので、絶対にカビさせてはなるものか!という勢いで食べるので無事でしたけどね。
カビた食品を食べた思い出って、どんな生活だったのか?と哀れさに涙も誘われますが、割と普通に育ったと思ってます。宅配とかの交通事情が良くなる前、更に言えば冷凍技術が良くなる前は、こんな感じだったのではないでしょうか?
それともこんなだったのってウチだけ?
今年は生まれて初めて小説を書き投稿した、という私の中で画期的な年でした。
来年もよろしくお願いします。




