表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/112

長老の村と長老の結論

挿絵(By みてみん)


 長老の村に戻ると、俺はずっと1人になれた。テルペリオンは他の長老たちと話に行ったし、ガーダンは積極的に話しかけに来たりしないからな。

 「どうしようか。」

 なんか、やることがないな。何をすればいいのかわからない。高校生の時にこっちに来たんだっけか。向こうで1人の時は何をしていたんだっけ。

 「トキヒサ、トキヒサ。」

 ん?この声は。

 「ルーサさん?エルフの里に行ったんじゃないの?」

 「そうよ。エルフにお願いして送ってもらったの。」

 そういえばエルフの魔法ですぐ戻れるんだったな。だとしてもせわしないな。

 「全部、わかってる。」

 「見ればわかるわ。大丈夫?」

 大丈夫ではないな。なんというか、もう何を信じたらいいのかわからない。

 「あんまり。」

 「やっぱり。ごめんなさい、テルペリオンと2人で話し合ったんだけど、やっぱり元凶はちゃんと見極めないといけないって事になったの。トキヒサの負担になったとしてもね。」

 「それはいいよ。というかテルペリオンが押し通したんでしょ?」

 ルーサさんは性格的にむしろ止めそうなんだよな。テルペリオンが問題ないとか言ってごり押ししたのは想像がつくな。

 「でも、私も最後は賛成したから。これからどうするの?」

 「わからない。今すぐみんなのところに戻るのはやめた方がいいとは思っているけど。」

 今戻ると、どう話が転んでも真相を全て話すことになりそうなんだよな。誤魔化せる気がしないし。

 「ええ、やめた方がいいと思うわ。その、ヒドイ顔よ。」

 「そこまでか。」

 「そこまでね。今帰ったら、根掘り葉掘り聞かれるわよ。」

 じゃぁやめた方が良いな。だとするとこれからどうするかが問題になるんだよな。

 「ルーサさんはこれからどうするの?」

 「どうって、何のために戻ったと思ったのよ。トキヒサがどうするのか決めるまでは一緒に言わせてもらうわよ。」

 まぁ、それもそうか。他に戻ってくる理由なんて無いからな。どうするかなんて、いつ決められるのかわからないけどな。

 「長くなるかもよ。」

 「わかってるって。でも何もしないのは良くないんじゃない?」

 「そうだけどさ。」

 とはいえ思いつかないんだよな。いっそパトリックの所にでも遊びに行くか?でもなぁ、せっかく2人きりになれたところを邪魔したくはないしな。

 「まっ、困っちゃうのもわかるけどね。ところでテルペリオンはどこに行ったの?」

 「ああ、なんか長老達で話しているらしいよ。」

 一体何を、って転移者の事に決まってるか。内容自体は気になるけどね。

 「ルーサさんも参加すれば?妖精の代表者はいないんでしょ?」

 「うーん、そうね。トキヒサも一緒に行きましょ。」

 「いいのか?」

 「いいんじゃない?当事者だし。」

 それもそう、なのか?ダメならルーサさんのせいにしちゃえばいいか。


 「テルペリオン、入るわよ。」

 ルーサさんは気軽に話しているけど、長老の威厳が。まぁいいけど。部屋に入ろうとすると、ちょうどエルフと巨人の長老が部屋から出ていくところだったみたいだな。軽く挨拶して部屋に入ると、テルペリオンは何か考えていたみたいだな。

 「ルーサか。もう戻ったか。」

 「まぁね。トキヒサの事を放って、何を話していたの?」

 「残りを探せるのではないかと思ってな。」

 残りって、そういえばクラスメートはまだ半分以上残っているのか。

 「つまり子孫がいない魔源樹を探すってこと?」

 「そうなる。」

 「どうやって探すのよ。」

 まぁ、子孫がいた場合は魔力量が減っちゃうから、それで判断できるんだよな。いない場合はどうするんだ?

 「1つは生まれながらに子を産めない人間の魔源樹。1つは犯罪者を犯した者の魔源樹だ。」

 うーん。1つ目はわかるけど、犯罪者の魔源樹は切り倒されるんじゃなかったっけ?

 「犯罪者の魔源樹って残ってるの?」

 「トキヒサの国では切り倒してしまうが、残す文化の国もある。」

 「へー。」

 そんな場合もあるんだな。他国に行くのは大変そうだけど。

 「犯罪者については、他の長老が調べる予定だ。私は子を産めない人間の方が担当だ。」

 「じゃぁ、あの2人はもう出発したって事?」

 エルフと巨人の長老とすれ違ったけど、そういうことだったのかな。

 「いかにも、あくまで一時調査だがな。だが早急に調べるべきことでもある。私もすぐに発たねばならぬ。」

 もしかして、それで考えていたのか?別に1人で行ってくればいいんじゃないか?

 「まさか、トキヒサを置いて1人で行くつもりじゃないでしょうね?」

 「うーむ。エルフと巨人も総出で調べるらしいが、範囲が広いのでな。他のドラゴンとはすぐに連絡はできんし、私が不参加というわけには、」

 「トキヒサも連れて行けばいいじゃない。」

 俺も?まぁ行ってもいいけど、クラスメートがいたら逆に話がこじれないか?

 「いや、俺は別に、」

 「どうせ他にやることないでしょ?こういうときは何か行動した方がいいのよ。」

 「だがな、魔源樹絡みの事を今のトキヒサにというのはな。」

 「なによ、そんなの今さらでしょ。いいから3人で行くわよ。妖精族も参加しないわけにはいかないんだから。いいわね。」

 お、おう。なんか押し切られた感があるけど、まぁいいか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ