表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/112

委員長の案と委員長の決断

 「なぁ、委員長。どうするのかは早めに教えてくれないか?」

 距離があるとはいえ近づくと話しにくくなるからな。一体何を考えているのやら。

 「心をつないで2人で話せるようにするつもり。」

 「つなぐ?」

 ヨシエ委員長が人と心をつなげられるようになっているのは知っていたけど、自分以外の2人をつなげることもできたんだな。でも、それって、

 「つなぐのはいいけど、それじゃ普通に話すのと変わらないんじゃない?」

 単純につなぐだけだと面と向かって話すのと大差ないよな。声を出さなくても話せるのは都合がいいかもしれないけど、末次さんが断れない状況は変わらないんじゃないか?俺に悪意がないことを伝えるためか?

 「そうね。ただつなげるだけじゃなくて、同時に幻覚もみせるつもり。」

 「え?幻覚?」

 そんなことまで出来るようになっていたのか。そんなに鮮明な幻覚を2人同時にみせて制御できるのか?

 「幻覚と言っても、九十九君の深層心理から告白に適した場面を投影する感じ。それで心愛さんの精神状態はいつも通りにすれば対等に話せるはずよ。」

 なるほどね。俺の深層心理ってところが気恥ずかしい感じもするけれど仕方がないか。それより問題なのは、告白ってアリシア以外にしたことないぞ。

 「幻覚でも何でもいいけどさ、要するに告白して良い返事を貰えってことでしょ?失敗したらどうするんだ?」

 「そんな心配してもしょうがないでしょ。とにかく成功することだけ考えるの。」

 いやまぁ全力は尽くすけどさ。上手くいくかどうかはわからんぞ。しかも彼女になってくださいとかいう話じゃないからな。

 「ねぇ、2人って仲良かったの?」

 「うーん。どうだろう。」

 悪くはなかったけど、いきなりプロポーズしてなんとかなるほど仲良かったかと聞かれると何とも言えないな。

 「告白するのはいいんだけどさ、アリシアの事は話さなきゃダメだよね。」

 「それは、どうだろう。」

 「その幻覚って、地球のものになるんだよね?」

 「そうだと思う。」

 じゃぁ価値観も地球由来になるよな。まさか既婚者だとは思わないだろうし、前提が結構変わってしまうよな。

 「みんなはどう思う?」

 「どうって言わなくてもいいだろ。そもそもハードル高いのに、これ以上あげてどうする?」

 「でもさでもさ。大事なことだし知っておきたいよね。」

 「そうだね。」

 男女で意見が割れてしまっているな。マコトの言う通りハードル高いんだよな。だって末次さんってついこの間まで高校生だったわけでしょ?

 「わかった。九十九君、言わなくてもいい。私が説得する。」

 「え?いいのか?」

 なんだか意外な返答が来たな。一昔前のヨシエ委員長なら絶対に言わなさそうな事なんだけど。

 「前の私ならね、こんなこと言えなかったと思う。でも、そんなこと言っていられない状況だと思うし、ハードルが高いのもその通りだから。みんなにもわかって欲しいな。」

 みんな口々に同意の意思を示してくれているけど、俺はまだ迷ってしまっているんだよな。なんだか騙すみたいで、気が引けるというかなんというか。でもまぁ、それしかないと思うのは俺も同じなんだけどさ。


挿絵(By みてみん)


 「デカい扉だな。」

 「開けそうか?」

 「任せろ。」

 マコトはぶつぶつと詠唱した後に入口の扉を開けているんだけど、思ったより音が大きいな。大丈夫か?

 「な、なぁ。すごい音だな。」

 「しょ、しょうがないわよ。」

 そりゃしょうがないけどさ。まっ、バレないことを祈るしかないか。1人分通れるくらいに開けばいいから、なんとかなるとは思うんだけど。

 「これくらいでいいか?」

 見てみると、ちょうど1人が通れるくらいに1人ずつ中に入ってもらい、俺は最後に中に入ることにした。のはいいんだけど、どこにいるんだ?

 「どうやって探そうか?」

 「ちょっと待って。心の声を探すから。」

 そう言うとヨシエ委員長は集中して何かを探しているみたいだな。詠唱魔法と言い、信じられないレベルで使いこなしているみたいだな。

 「自分でも驚いているわよ。まるで子供のころからずっと使っていたみたいな感覚で。」

 「え?」

 「ごめんなさい。つい心を聞いてしまって。心愛さんはみつかったから、行きましょ。」

 「あ、ああ。」

 つい、ね。本当によく使いこなしているみたいだな。それで、目的地は結構高いところみたいだから、女子たちを担いで俺とマコトで運ぶことになった。なんか思ったより重いな、ってあんまり考えない方が良いか。そんなこんなで末次さんの部屋まで辿り着けたんだけど、眠ったままで全く起きる気配がない。

 「これ、大丈夫なのか?」

 「大丈夫ではないな。まだ間に合うとは思うけど。」

 俺とヨシエ委員長以外は直接見ていないんだったな。3人ともすごく心配そうにしているけど。

 「それじゃ、時間もないし始めるわよ。」

 「あっ、どれくらい確保できる?」

 「幻覚の中だから、できるだけ時間の流れはゆっくりになるようにするけど、3日くらいね。」

 「わかった。やってくれ。」

 3日か。思ったより短いな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ