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エルフの里とエルフの意見

 「よく来たな、エルフの里へ。そして久しいな、テルペリオン。」

 「世話になる。」

 「構わん。もはや長老だけでは手に余るのだろ。そやつらが転移者とやらか?」

 「そうだ。これが10年前からいるトキヒサで、残りの7人が最近来た転移者だ。」

 「そこの人間は?」

 「関係者だ。」

 「そうか。テルペリオンとルーサ。先に我々だけで話をしたい。」

 「私は里には入れん。トキヒサも同席させる。」

 「いいだろう。では他の者は、彼らに着いていきたまえ。」

 結局、大世帯で里を訪れることになって、転移者じゃないアリシアが気になったみたいだけど、滞在は問題なさそうで良かったな。アリシアもヨシエ委員長の事が気になるみたいで、みんなとも仲良いし着いてくることになったんだけど。エイコムの事は、特に気にしていないみたいだな、流石ガーダン。みんなとあと2人が屈強なエルフの男達に案内されている後ろ姿を見ながらテルペリオンとリンクした、こうしないとテルペリオンの巨体は里に入らないからね。

 「準備は終わったか。では行くぞ。」

 エルフの男はみんなと違う方向に歩いていく。どこもかしこも木や葉で作られていて、石材がほとんどない。なんか遺跡とは雰囲気が違うな。

 「すみません、前にエルフの遺跡に行った事があるのですが、結構雰囲気が違うのですね。」

 「遺跡?あぁ、それは遠い過去の遺物だ。」

 「もう使われないんですか?まだ動いていましたが。」

 「使いたければ勝手に使うがいい。我々には無用だ。」

 そうなの?結構便利だと思うんだけどな。っとここで話すのかな?椅子とテーブルが用意してあるし。

 「座りたまえ。何か飲むかね?」

 「お願いします。」

 「私も。」

 ついお願いしちゃったんだけど、これはなんだ?紅茶にしては色が青い。うーん、まぁ大丈夫でしょ。っと思いながら飲んでみたけど、意外に美味しいな。

 「では始める。話を聞く限り、人間というより賢者といったところだな。」

 「何を言うかと思えば、くだらん話をするためにここにいるのか?」

 「もちろん違う。では実りのある話をしよう。今話すべきは、どれだけ危険か。それだけだ。」

 「危険?」

 「当然だろ。そこのトキヒサとやらの行いは誉めたものだ。だが、他の転移者はどうなのだ?以前、3人の転移者が魔源樹を穢していたな。」

 さっきみんなを連れて行ったエルフが、全員屈強な男だったのはそういう意味か。

 「ちょっと何よいきなり。あの子達がそんな酷いことするわけないでしょ。」

 「どうかな。」

 「その3人は魔源樹の事を何も知らなかった。転移者が危険というわけではない。」

 「安全である保証もないのだろ。」

 「まぁな。・・・1つ、話さねばならないことがある。」

 「ちょっとテルペリオン。」

 「仕方なかろう。隠すのは良くない。」

 「何の話だ?」

 本音を言うならば、みんなの転移地点に壊れた魔源樹があったことを話してほしくないんだけど、そういうわけにはいかないみたいだね。テルペリオンが全部説明しちゃってるよ。

 「やはり危険ではないか。」

 「待ってちょうだい。別に悪意があったわけではないわ。あったのならわざわざ案内したりしないでしょ。」

 「私は危険かどうかを聞いている。無自覚にやっているのなら、なお危険だ。」

 「それは。」

 「たとえどんなに危険であったとしても、転移者が罪を犯しているわけではない。」

 「・・・まぁ良かろう。だが、全員を里に残すわけにはいかん。前に来た娘を含めて4人までだ。いいな。」

 「その4人にひどいことしないでしょうね。」

 「丁重に扱う。監視はつけるがな。それとも、君が監視するか?」

 「私が?・・・いいわ、引き受けましょう。」

 「さて、1日くらいなら滞在を許そう。明日までに誰を残すか決めるがいい。」

 「すみません。1つお尋ねしたいことがあります。」

 「何だ?」

 「前に来た1人については、一度会うことは出来るでしょうか。」

 「構わん。好きにしろ。」

 「ありがとうございます。」

 よし、問題ないみたいだな。ちょっと不親切な感じもするけど、結局は受け入れてくれるみたいだし。ルーサも一緒なら、ひどいことにはならないだろうからね。それじゃあ、みんなのところに行って、誰が残るか決めないとな。いや、その前にヨシエ委員長の事とか、色々話さないとダメか。

 

挿絵(By みてみん)


 「と、いうわけで。4人だけここに残ってもらって、あとは俺の屋敷に来てもらうことになる。」

 なんとか理由をごまかしながら、4人だけ残ってもらうことになったことを説明したんだけど、みんなどっちにするか迷っているみたいだな。まだ話はあるんだけど、

 「えーっと、もう1つ伝えることがあって、委員長もここにいるんだよね。」

 それでこれまでの事情を、結婚のことも含めて話すと、アリシアはうつむいちゃうし、女子たちは少しショックを受けているみたいだし、男子は放っておくとして。

 「時久。なんで教えてくれなかったんだ?」

 「マコト、トキヒサを責めないであげて。私と相談して決めたことよ。あなた達それどころじゃ無かったでしょ。詠唱魔法のおかげで前向きになってくれて嬉しいんだけど。」

 ルーサさんの説明で納得してくれたのかな?少なくとも、これ以上何か言われることはないみたいだけど。

 「それもそうだな。悪い、時久、つい。」

 「気にするなって。」

 「・・・それじゃ、みんなで会いにいくか?」

 「ちょっと待ってちょうだい。この2ヶ月近くでどうなっているかわからないでしょ?これから私が様子を見てくるから、みんな待ってて。」

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