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安心できる人と安心を破ること

 「ねぇねぇ。九十九君、これ見てみて。」

 とか言いながら、川井花音が詠唱魔法で噴水を作ってて、いや器用なのはいいんだけどさ。使い方間違ってないか?まぁ転移地点までの道中で、アリシアの魔法だけに頼らなくてすむのは良い事なんだけどさ。

 「うん、まぁ、すごいんじゃない。」

 「でしょでしょ。」

 「ねぇ、これはどう思う?」

 ん?今度は伊藤ゆかりか。どうって、なんだ?その青い髪は。

 「どうやったの?それ。」

 「内緒。」

 内緒にしたところで、すぐにネタバレしそうだけどね。

 「ずるいずるい。私も。」

 「いいよ。」

 へー。他人の髪色も変えられるのか。見事な金髪に変わっていく。

 「どうどう?」

 「どうって、似合ってるんじゃない?」

 「「やったー。」」

 「花音、ゆかり、何してるの?」

 「髪染め。美紀もどう?」

 「なにそれ、すごいね。後でお願い。でもその前に九十九君、お願いがあるんだ。」

 「お願い?」

 「お風呂入りたくって、ここに作っちゃダメかな?」

 「風呂?」

 「ほら、岩を組み合わせて、水を張って、お湯にすればできるでしょ?詠唱だけでできると思うの。」

 「それはいいけど、俺にどうしろと?」

 「テルペリオン様に作っていいか聞いてくれない?」

 「俺が?テルペリオンに?」

 マコトといい、話しにくいのはわかるんだけど、俺によくわからん質問をさせないで欲しいんだよな。

 「お願い。どこまでやっていいかわからなくって。」

 「えー。」

 もう10年も入ってないからな。いまさら風呂に興味ないんだよね。懐かしくはあるけど。

 「後でアリシアさんと一緒に入ればいいじゃん。大きいのにするからさ。」

 「・・・待ってろ。」


挿絵(By みてみん)


 「何を作るのかと思えば。これは地球の文化なのか?」

 風呂を説明するのに難儀してしまって、最終的に詠唱魔法で地形を変えてもいいか聞いてみて、元に戻すなら良いって許可を取ったから、早速作ってもらったのは良いんだが。まさか7人総出で作り始めるとは。更衣室とか周りを高い岩壁で覆っているのは良いとして、サウナまで用意してやがる。

 「おいおい。元に戻せるんだろうな。」

 「大丈夫大丈夫。岩を退かせば良いだけだから。」

 なら良いけどさ。日帰り温泉施設並の規模になってないか?詠唱魔法を使いこなしすぎだろ。

 「入ろう。」

 「そうだね。ほら、薫、行くよ。」

 「う、うん。」

 「ねぇねぇ。アリシアさんも一緒に入りましょ。」

 「えっ?私も?」

 ん?アリシアが先に入っていくけど、俺も一緒に、というわけにはいかないよな

。なんか話が違くないか?あれ、梶原美紀だけ戻ってきて、

 「エイコムさんも一緒にどうですか?」

 「ありがとうございます。ですが私は警護ですので。」

 「それは、九十九君に任せれば大丈夫ですって、行きましょ。九十九君、あとはよろしくね。」

 「お、おう。」

 エイコムまで行ってしまった、のは別に良いんだよ。でも話が違うよね。

 「つくもー。」

 な、いきなり後ろから組みつくな。この声は佐久間健一だな、いきなりどうした?

 「なんでお前ばっかり、」

 「ちょっと待て、なんのことだ。」

 「なんで女の子達がみんなお前と仲良くしてるんだよ。こっちはなぁ、こっちは炭鉱で炭だらけになりながら働いてたって言うのにぃ。」

 「知らねーよ、そんなの。それに俺はアリシア以外に興味ねぇ。」

 「それが気に食わないんだよ。なんでだ?コソ練つくもが強いからなのか?そうなのか?」

 コソ練なんてしてないってば。それに理由なんて俺が知るか。

 「馬鹿ね、本当に。そんな理由なわけないでしょ。」

 「あれ?ルーサさんは風呂に行かないの?」

 「勘弁してちょうだい。」

 「ルーサさん、じゃぁなんでつくもばっかりモテるんですかぁ。」

 「別にモテてるわけじゃないわよ。安心しているだけで。」

 「どういうことですか?」

 「アリシアの前で変なこと出来ないでしょ?だから安心しているの。それにあなたはガッツキすぎなのよ。」

 「・・・ふむ。」

 「ふむじゃねぇよ。いい加減にしろ。悪いな九十九。」

 「別にいいけど。」

 「ま、つくもと違って、俺達はみんなで誓った仲だもんねぇ。」

 「どういうこと?」

 「ほら、詠唱魔法が使えることがわかって、可能性が広がっただろ?だから、この世界で生きていこうってみんなで決めたんだよ。」

 なんだ?その決意表明みたいなやつは。誓った仲って、かなり意味が違うんじゃないか?って風呂の方を見てどうした?

 「それにしても、楽しそうな声だなぁ。」

 「まぁ、それは確かに。」

 「お前ら、覗くなよ。」

 「「・・・。」」

 「時久の前で無茶するなって。」

 「「・・・裏切り者め。」」

 「ちょっとあなたたち、勝手にマコトを巻き込まないの。」

 それで結局、男だけで風呂に入ることになって、サウナ耐久なんていう馬鹿なことをやって、この時は平和に過ごせていたな。何せ、このあとテルペリオンが目の色を変えて追及することになって、みんな怯えちゃって、転移地点にあったものが壊れた魔源樹だったから無理もなかったんだけど。何も知らないっていうみんなの言い分を、最後は受け入れてくれたから良かったんだけど、みんなとテルペリオンとの距離感がますます開いてしまったな。


3章【終】

 お読みいただきありがとうございます。

これにて3章は終了となり、4章が開始となります。


 ここまでお読みいただければ、

私がどのような話を書こうとしているのか

ご理解いただけたかと思います。


 さて、3章投稿中も☆☆☆☆☆の評価と、

ブックマークが順調に増えてきており大変うれしく思います。


 引き続き作品をお楽しみいただければ幸いです。


 今後ともよろしくお願いします。

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