ガーダンの仲間とガーダンの特徴
「それじゃ頼んだよ。こちらもまだ調べる事があるからの。」
「あまり期待はしていないがな。」
「ふぉっふぉ。まぁそう言わんでくれ。ところで、トキヒサ殿。」
「何でしょう。」
「・・・。いや、また今度ゆっくり話すかの。」
「え?あ、はい。」
俺の記憶はそんなに悲しかったのか?こっちじゃ、ああいうことは無いのか、それとも長老が涙脆いだけなのか。アリシア?そんなに心配しなくても大丈夫だって。
「それで、ドワーフの街を目指せば良いんだな?ダンボグの街だったか。」
「そうじゃ。それで、ガーダンも1人連れて行っておくれ。」
「え?よろしいのですか?あっ。」
アリシアが驚いて、思わず声をあげてしまっている。無理もないか、ガーダンって要人警護を生業にしているから。そのへんの人が連れ歩くなんて考えられないんだよな。
「転移者は魔力が無いんだろ?何かあった時に人手はあった方が良いと思ってね。ほれ、ご挨拶。」
「はっ。お久しぶりです、テルペリオン様。そしてはじめましてトキヒサ様、アリシア様。エイコムです。よろしくお願いします。」
「お前か、久しいな。」
「はい。テルペリオン様のお役に立てて光栄です。」
テルペリオンの知り合いか?まぁ長老なら顔見知りのガーダンがいても不思議はないか。結構若い女性みたいだけど、いつ知り合ったんだ?
「では借り受けるとしよう。ではな。」
「え?長老が1人足りないみたいだけど、いいのかテルペリオン?」
「あのバカは二日酔いで寝ているので、気にしないでもらえるかの。」
二日酔いって、あの巨人が?一体どれだけ飲んだんだ?
王都から長老のところに来ちゃっていて、ドワーフの街に行く準備をしたいから子爵様の屋敷に戻ったんだけど、すごい久しぶりって感じがするな。ずっとテルペリオンに乗ってきたから、ちょっと疲れたし、あんまりエイコムと話せなかったし、たまには部屋でのんびりしても問題ないでしょ。
「それじゃ、エイコム。よろしくな。」
「あの、エイコム様。お世話になります。」
「はい、よろしくお願いします。アリシア様、私のことは呼び捨てで結構です。」
「そ、そうですか?」
アリシアが委縮してしまっている。ちょっと空気をほぐした方が良いのかな。
「なぁ、テルペリオンとは知り合いなのか?」
「はい。テルペリオン様には、幼少の頃からお世話になっておりました。」
「ちょっと、トキヒサ。」
「大丈夫ですよ。お気軽にお話しください。」
「と言われてもな。その話し方をされるとこっちも砕けにくいというか。」
「これは私共の文化ですので。お気になさらないでください。」
文化ねぇ。ガーダンって、とても従順な種族で、他種族に仕えることを生きがいにしているんだっけ。それにしてもずっと敬語だと距離感を感じるな。
「まぁいいけど。ダンボグの街ってどういうところか知っているか?」
「はい。ダンボグは炭鉱の街として有名ですね。観光地というわけでは無いですが、活気に溢れている所です。」
「へー。でも炭鉱ってことは石炭だよな?そんなの使われているのか?」
「はい。ドワーフは魔法を使えませんので、主要な動力源として重宝されております。人間でも使っている方はいるはずですよ。魔力も無限ではありませんので。」
「なるほど、ね。」
「今回は、どれくらい滞在することになるのかな?」
「ん?どうだろう。人探しだからな。どうして?」
と言いつつ、この感じは一緒に行くつもりだな。別に危なくはないだろうから、良いんだけどさ。そんなにずっと留守にして大丈夫なのか?
「私も一緒に行きたいなって。」
「まぁ、来るのは良いけどさ。子爵様には話しているの?」
「まだ話していないけどさ。長老の依頼の手伝いって言えば大丈夫。」
「そ、そうか。」
大丈夫なのか?あとでテルペリオンと口裏合わせしておいた方が良さそうだな。
「アリシア様。一緒に行かれるのでしたら、お召し物の準備をお手伝いしましょうか?」
「え?いえ、こちらで準備しますので、」
「エイコム。なんか心配なのか?」
「はい。炭鉱の街ですので、すぐに汚れることを考慮する必要があります。それに長旅になりますので、なるべく荷物は少ない方が好ましいです。」
あ~、痛いところを突いてくるね。アリシアは荷物が多くなるからな。
「トキヒサ様は戦闘用の軽装で問題ないと思われますが、アリシア様はそのようなものをお持ちでないと思いまして。」
「アリシアが戦闘用の服を持っていないってよくわかったな。」
「はい。動きを見れば概ね。支援に特化した方とお見受けします。」
「え、ええ。そうですね。」
ガーダンは近接戦闘が強い種族とは聞いていたけど、動きだけで戦い方がわかるのか。まぁアリシアはわかりやすい方なのかもしれないけど。今度、手合わせしてもらおうかな。




